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新緑の京都 2009年5月9日

妙心寺塔頭退蔵院

みょうしんじたっちゅうたいぞういん

京都府京都市右京区花園妙心寺町64

JR山陰本線花園駅下車徒歩5分

マピオン

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妙心寺塔頭退蔵院

今回も京都。自分でもあきれかえるくらい行っている。

前回は雨と大風の影響で出鼻をくじかれたが、富士山が綺麗にみえるほど晴天に恵まれた。もう五月だというのに、まだ山頂には雪が積もっている。

今回は、古文化保存協会主催の「春季非公開文化財特別拝観」が開催中ということで京都を訪問する。

自分の興味関心に沿う公開寺院としては、妙心寺塔頭の退蔵院、隣華院、麟祥院、高山寺、心光院、仁和寺観音堂あたりだが、午後からは錦市場や四条あたりをぶらついて買い物なども楽しみたいので、それぞれ近くにかたまっている妙心寺塔頭と仁和寺観音堂を訪問して終わりにしたい。

高山寺は離れ過ぎているし元々無理。心光院は初めて聞く寺なので関心があるが、とりあえず今回はパス。

まずは妙心寺。三つの塔頭以外にも、三門楼上が公開されていた。前回既に拝観できているので今回は勿論パス。

左画像は看板を撮ったもの。

三門からすぐの退蔵院から。

左は縮尺いい加減の退蔵院境内図。

退蔵院は既に一度過去に拝観しているし、常時拝観可能な塔頭寺院だが、今回は書院と「元信の庭」が特別公開されている。

山門をくぐると退蔵院の庫裡が見える。典型的な臨済宗の庫裡だ。左手方向には小さな玄関があるが、そこから入ることはできない。

左は境内に咲いていたクレマチス。

庫裡内の天井は典型的なもの。奥には韋駄天が祀られ、いただきますのポーズを取っている。兜は日本風に顔の左右に返しが付いているもの。

庫裡と方丈の間にちょっとした坪庭があった。灯籠と蹲だけだが、情緒たっぷり。右の写真は、袴腰の玄関を写している。袴腰の玄関については後述する。

書院への回廊に囲まれた坪庭。こちらにも灯籠と、飛び石の先にちょっとした蹲がある。日が射し込んでいて明るい。ピンク色の花も咲いている。

まずは方丈の拝観。杉戸絵が計四つあり、右はそのうちの一枚「山羊二頭」。山羊が杉戸絵に描かれるのは珍しい。他に雉と梅、柳、鶴などがモチーフになっていた。特に雉は何かを凝視するかのように描かれており、ひょっとするともう一羽が描かれた戸が向かい合っていたかもしれない。

上間の間、別名檀那の間の襖には「*渓訪戴図(せんけいほうたいず)」(*は炎に立刀)が描かれている。*渓とは中国の地名。舟に乗っているのは晋の王とか。着の身着のまま悠々過ごしている様子が描かれている。実はこの方丈、第二次世界大戦時、兵が駐屯していたとか。

そしてこの上間の間からは、襖を開けることで元信の庭を観ることができる。この間からの元信の庭のショットは撮影禁止となっていた。

室中の間の襖には、西湖図。西湖とは杭州にあり、画題として好まれた。

下間の間、別名礼の間の襖には山水図。

書院では、瓢箪でナマズを捕らえようとしている漁夫を描いた瓢鮎図のレプリカが展示されていた。これは「つるつるしているなまずを、同様に表面がつるつるしている瓢箪を使って捕らえるには」という禅問答を画としたもの。つかみどころのないナマズを悟りのメタファーとしているようだ。

書院の奥には、一見しただけでは扉とは分からない入り口があり、その奥に茶室が隠されている。禅の修行の妨げになるということで茶を禁止されたが、それでも隠れキリシタンよろしく隠し部屋で茶を楽しんでいたとか。ただし、方丈から書院の奥の方へ飛び石が連なっており、手水鉢などがあって典型的な露地となっており、この先に茶室があることは明らかになっている。

隠し茶室への入り口の側には、梅や鳥が描かれた細い柱があり、印象的だった。こんなに細いところにまで描き込んでいるのが凄い。

茶室の中には、縦に「帰何処」と書いた書の隣りに太くてでかい「一」。これは「一帰何処」をわざとアンバランスに書いたもので、「一、いづくにか帰す」と読む。「根本原理はどこに所属するものか」、あるいは「物事の真理はどこにあるのだろうか」という問いだろうか。「一」をわざと太く大きく書いたのには、きっと訳がある。とある禅僧(誰だったっけ?)の書に、ただただ棒を横に大きく書いたものがある。これは、坐禅で凝り固まった筋肉をほぐすために叩く警策(きょうさく)という道具を表したものだが、この「一」も、それを意識して書いたに違いない。案内人に聞くと、静岡の妙心寺派寺院の住職によるものだという。

さて、堂宇の内部はこれにて終了。一度庫裡から外へ出る。

玄関前付近には色とりどりの春の花が咲いていた。名前は知らず…。

玄関の隣りの石畳を進むと、方丈の入り口へとたどり着く。破風のかたちが特徴的だ。その形状から、袴腰の玄関と呼ばれている。カクカクとしていてなめらかになっていない。

袴腰の玄関をくぐると方丈にいきつくが、方丈にあがれるわけではない、このまま方丈前庭園の砂利の部分に繰り出すことができる。

方丈前庭園の苔部分。先の方にピンク色の花が咲いているが、名前が分からない。

左は元信の庭を方丈前から撮ったもの。案内人によると、外からなら撮影可なのだとか。基準がよく分からない…。左は看板を撮ったもので、これこそが方丈内上間の間から観た元信の庭。

やっぱり自分以外にも撮影可の境界が分からない人がいた。一人旅風の外国人がたどたどしく、"picture, O.K.?"と訊いてきた。こちらもたどたどしく"outside, O.K., inside, O.K."と答えてやった。意味が通じればそれでよい。さっきから熱心に写真を撮っている。私より撮っているかもしれない。たどたどしさから察すると、英語ネイティブの人ではないのかもしれないし、あるいは日本人に通じるようにわざと単純に言ったのかもしれなかった。

さて、方丈前庭園から別のルートを辿ると(前掲境内図のピンクの矢印ルート)、余香苑と呼ばれる池泉回遊式庭園へと行き着く。このアプローチがまたなんともいえず楽しい。境内図を見ていただくと判るが、方丈へと向かう石畳とはわざわざ違う通路が設定されているのだ。

その先にはちょっとした門があるが、そこにはナマズが向かい合うように彫り物があった。そしてその中央にはひょうたん。徹底している。ほぼ同時にこの門に行き着いた先ほどの外国人に、門を指さして"catfish"と言ってみたら"yes"と言っていたので気付いていたようだった。この調子だと、瓢鮎図のなんたるかを知っているのかもしれない。

意味ありげなオブジェ。丸くくりぬいてある石柱だが、それが何を意味しているのかよく判らない。

余香苑入ってすぐ、右手に見えるのは「陰の庭」。何を以て「陰」としているのか判らないが、おそらくは砂の色をすこし暗くしていることでそれを表現しているようだった。

対してこちらは左手にある「陽の庭」。「陰の庭」に比べて砂の色が白くて明るい。周りを囲む垣には躑躅が使われており、花のつかない「陰の庭」に対して、何となく「陽」の雰囲気が出ているのは伝わる。

余香苑を進む。苔の上に花びらが落ちているものがあったりと、雰囲気は抜群。

このあたりまで来るともう余香苑のハイライト。植え込みの先には「ひょうたん池」があり、ちょろちょろという水の流れる音が聞こえる。その手前には六角の四阿「「跳珠亭」(なぜこんな名前が付いているのかは不明)がある。内部天井は竹の骨組みになっており、傘を開いたようになっている。

余香苑の片隅にたたずむ水琴窟。涼しい音を立てている。先ほどの外国人がやってきたので、"can you hear that?"と訊いてみたら"yes"と言っていた。おまえ"yes"しか言ってねぇよ。

さて、余香苑が一番綺麗に見える、藤棚の下まで行き着いた。水は微妙な段差のある水路を通って流れており、落ちる音が何重にも重なって聞こえていて耳にも涼しい。

大休庵という名の付いた書院風の堂宇には、抹茶席がしつらえてある。瓢鮎図にちなみ、窓もひょうたん型。中につるされている掛け軸も瓢鮎図にちなむ。希望すれば抹茶がいただけるが、茶請けとして出される菓子は、瓢鮎図をモチーフにした「瓢鮎菓子」というもので、ナマズと瓢箪の模様がある。

大休庵の近くの売店。「のらりくらり」「ぬらりくらり」とやり過ごすナマズに、瓢箪のほうが「堪忍」と音を上げている。

なお、茶請けとして出される「瓢鮎菓子」もここで買える。

予定ではこの次に麟祥院に立ち寄るはずだったが、途中で去年の秋にも特別公開で訪れた大法院が公開されていることを知り、いくぶん迷った末、大法院に行ってみることにした。紅葉の時期とはまた違った趣きがあるかと思ったし、少しおなかが空いていたので、出される抹茶とお菓子をいただくのもいいかと思った。

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