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第43回京の冬の旅 特別公開 2009年3月14日

妙光寺

みょうこうじ

京都市右京区宇多野上ノ谷町3

バス停福王子下車徒歩5分

マピオン

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妙光寺

妙光寺。初めて訪問する寺院。これまで存在すら知らなかった。

現在は臨済宗建仁寺派の寺だが、山門に掲げられた「本朝普化道場」が示すように、かつては虚無僧でおなじみの普化宗の寺だった。今では東福寺の一塔頭である善慧院にひっそりと受け継がれている。

妙光寺の見取り図を。

山門をくぐった先には禅宗寺院に典型的な庫裡があった。ただし庫裡からではなく、右画像の正式な入り口から入る。

境内には梅の花が咲いていた。

入ってすぐ火頭窓があって、方丈前庭園が見える。こういう「透過性」が好きだ。空間をいくつも貫通している。

方丈。右画像は外から塀越しに撮影したもの。

方丈前庭園は塀で囲まれており、白砂が敷き詰められた砂庭となっていて、その端に咲いていたのが椿。砂の海の上に島のように浮かんだ苔に生えた椿。

白砂に落ちた花びらが風情を醸し出していた。

あまり庭園についての説明は無かったが、砂紋が几帳面に付けられており、清潔感がある。中央に置かれた平べったい石はいわゆる「座禅石」だろうか。

方丈の隅から撮ったもの。奥に見えるのが先ほど見た椿。火頭窓の先は入り口だ。

方丈の東にある通路。この先がどうなっているのかは分からないが、それほど大きい寺院ではないので、あるいは墓地かもしれない。

右画像は方丈東部分の砂庭。ここだけ砂に色が付いている。手前には手水鉢があって、風情抜群だ。

方丈東部分の砂庭が気に入ってしまったので、色んな角度から紹介。

先ほど見た、東に位置する門の側にちょこんと置かれた手水鉢。

一体何のために置かれているのだろう…。

さて、方丈内を観よう。虚無僧の寺らしく、独特のカゴや箱が展示されていた。托鉢の様子を写した写真も。

「神器の間」という名が付いているように、一時はここに神器が安置されていたとか。

奥に掲げられている肖像画はここの開山である無門。

方丈の北西部に移動。左画像は茶室から見た坪庭。竹格子が風情たっぷり。坪庭も枯山水庭園となっている。

書院には「南泉斬猫図」が。禅問答で有名な「南泉の猫」をモチーフにした水墨画だ。

「南泉の猫」とは、南泉という和尚がやおら猫をつらまえ、「真実を言えないならこの猫を殺す」と言ったところ、誰も応えることができなかったため、南泉は猫を斬り殺した、というお話。その後、趙州というデキる弟子がその話を訊くと、いきなり履いていた靴を脱いで自分の頭に乗せて出ていった。南泉は「あの場におまえがいたら、猫を殺すことは無かったのに」と嘆息する、という話。

水墨画では、南泉が左手で子猫を抑え、右手で剣を持っている。それを二人の僧侶が見ている。二人の表情は見えないが、「ぐう」の音も出ない、といったところか。緊迫感のある画だが、子猫が心なしか笑っているようで可愛い(右画像)。

書院の片隅には、どこかで観たような赤ちゃんの顔が描かれていた。そうだ、建仁寺で観たんだっけ。ここ妙光寺は建仁寺派だから、その縁でこの絵があるのだろう。

庫裡のほうでは、風神・雷神図が展示されていた。実はこれ、描いたものではなく、織物なのだ。凹凸によって立体感が生まれている。また、光沢も放っている。

この風神雷神図、建仁寺所有の俵屋宗達によるものが最も有名だが、様々な画家によって描かれているポピュラーなモチーフでもある。俵屋宗達のそれは、風神と雷神の視線がそれぞれ合っていないが(雷神は斜め下、風神はまっすぐ)、画家によっては視線を合わせているものもある。自分は視線が合っているのが好き。

妙光寺の風神雷神図は視線を合わせておらず、俵屋宗達のそれと近いが、風神と雷神の距離が短く、地味なところで違っている。

さて、妙光寺はこれでおしまい。次は安楽寿院という寺院で、これも今回初めて存在を知った寺だ。ただし竹田のほうにあって、なかなか移動が難しい。現在は京都市街の北西にいるが、安楽寿院は南。ここからだと、京福、地下鉄を乗り継いでいくしかない。バスなんか使ったら時間がかかってしまうので、ここは電車だ。

妙光寺最寄りの京福宇多野駅。こじんまりとしている。勿論無人駅。

近くの自動販売機はチェリオのそれで、なかなかお目にかかれないプレミア飲料で埋め尽くされていた。上段の右から一番目はアクエリアス似の「アクアガードウォーター」、二番目はゲータレード似の「セイフガード」。名前だけでなく見た目も紛らわしい。四番目は一見醤油だが「なんちゃってオレンジ」というお茶目な飲料。この色を見てオレンジジュースだと判る人はいるまい。

二段目にはコンセプトのよく判らない商品が並んでいる。おそらくメロンソーダやクリームソーダを想起させる味の「思ひ出の味」、迷彩パッケージで微妙なネーミングの「jungleman」、三段目にはミルクティーではなく「ミルク紅茶」、レモンティーではなく「レモン紅茶」。なんでわざわざ。

帷子の辻で乗り換え。妙心寺から仁和寺に向かう途中で通過するのを見たレトロ電車が来た。中もレトロだ。

嵐電天神川で降りて地下鉄太秦天神川駅へ。この駅は地下鉄東西線が最近西に延伸したことにより誕生したまだまだ若い駅。この延伸が無かったら、乗り換えが大変だったはずだ。途中烏丸御池で烏丸線に乗り換えて、竹田を目指す。

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