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越南順化巡覧 2012年7月5~8日

虎圏,龍珠廟

Hổ Quyền,điện Voi Ré

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虎圏,龍珠廟

12時,民家がひしめき合う狭い道をすり抜けて,次の訪問先である虎圏に到着した。ニャットさんもチュンさんも日本人を連れていくのは初めて,というところだ。日本語でどう訳して説明したらいいのか分からなかったのか,ホー・クェンHổ Quyềnとベトナム語そのままに言っていた。ので,私もカタカナで伝えていた。

円形の競技場で,虎と象を闘わせて皇帝たちがそれを見て楽しんでいたという。階段から皇帝たちが登って上から見ていたというが,柵があってのぼることは許されていなかった。ドライバーさんが他の階段を探して調べてくれたが,そこも柵があって無理だった。…今思えば柵の手前まで登ってしまって,そこから見学する,という手があったなぁ…。

象が入場するのはこの大きなゲート。

対して虎のケージは5つある。虎と象,闘わせると必ず象が勝っていたという。なぜか? それは虎のツメと歯が全て抜かれた状態だったからだ。では,どうして象に肩入れしていたのか。それは象がベトナムの,虎が中国の象徴だったからだ。ここまでして,自己満足を得ようとしていたようだ。

なお,帝廟で象の石像があるように,象を兵器として戦争に使っていたので,戦闘訓練の意味もあったようだ。

ん,なんだか雲行きが怪しい…。チュンさんに訊いてみると,雨が降ってもおかしくないらしい。ただ,降っても30分程度で止むので心配いらないとのこと。日差しがなくなった上,風が出てきたので涼しくなった。

次の龍珠廟はすぐ近くなので歩いていく,とのこと。ここまで来ると住宅もない。

祠の立ち並ぶなかをすり抜けていくと,大きな池が現れた。龍珠廟の一部なのかは分からないが,気持ちのいい光景だ。向こう岸では牛が食事中だった。

するとガイドのはずのチュンさんが自分のiphoneを使ってこの池を撮り始めた。さては…と思っていたら,果たして先ほど教えたphotosynthを使ってパノラマ写真を撮っていたようだ。「これ,おもしろいですね」と感動していたので良かった。…だけど,あんたガイドでしょ? 一緒に写真撮ってどうするよ(笑)

虎圏と龍珠廟は世界遺産の登録上二つで一つになっているとか。龍珠廟はベトナム語でĐiện Voi Réと通称される。Điệnは祠,Voiは象,Réは叫びという意味で,「象の叫び寺」とでも訳せるだろうか。チュンさんも日本語でどう説明したらいいか分からなかったのか,虎圏と同様に,ヴォイ・レとベトナム語そのままに言っていた。

少し歩いたところで壁に囲まれた廃墟然とした建物が現れた。三関式の門が構えていた。階段は復元されたもののようだった。

門には儼芳院(?)とある。陶磁器で書かれた文字だ。

入ると広い場に出た。かつてはここにも堂宇があったのだろうか。突き当たりの屏風の装飾性が高い。麒麟が描かれている。

門を後ろから撮った。チュンさんがまだiPhoneいじっていた…。

壁の左右に門が一つずつある。その手前に小さな祠が一つ建っていた。

向かって左側の門をくぐり,屏風を裏側から。

これが龍珠廟の本殿か。実はこの本殿の裏手に象の墓があるのだが,すっかり失念していて見学しなかった。虎圏で死んだ象が眠っているとか,戦争で傷ついた象が眠っているとか,いろいろと伝説はあるようだが,ともかくも象の墓であることは間違いないようだ。

本殿向かって左手にある堂宇。車の車輪のような窓が印象的だ。

こちらは本殿向かって右手にある堂宇。がらんどうになっている。

その堂宇の手前に,今にも崩れ落ちそうな祠がある。


本殿の両脇には狛犬ならぬ狛象がそれぞれ立っていた。


牙にあたる部分があったようだが,今はもがれていた。

本殿を背にして左手の方を見たところ。二つの並行した壁があることから,かつてはそこに小さな堂宇があったことを思わせる。

これにて龍珠廟はおしまい。

次は社稷壇だが,その前にお昼ご飯を食べることにする。もう12:10。Les Jardins de La Caramboleというところが評判がいいと事前にネットで調べていた。社稷壇に近く,またちょうどこの辺りでお昼の時間になると考えていたからでもある。実際12:20になろうかという時間である。チュンさんにこのお店に行ってほしい旨伝えると,フランス語の店名なので「フランス料理のお店ですか?」と訊いてきた。「確かに名前はフランス料理なんですが,ベトナム料理みたいですよ」と言ったところ,チュンさんは「このお店もガイドするのは初めてですね(笑),知らなかったです。インターネットで調べたんですか?」となかばあきれていた。社稷壇の近くであることと,お店の住所を伝えた。

しばらくたくさん撮影することもないので,この間にiPhoneの充電が進んでくれるといいと思う。

この橋はバック・ホー橋という。「ホーおじさん」という意味で,すなわちホー・チ・ミンのことだ。ベトナムの人はホー・チ・ミンを呼び捨てにしない。ガイドさんも必ず「ホー・チ・ミンさん」とさん付けで呼んでいる。フエにはホー・チ・ミンがかつて学んだ大学がある。その話をチュンさんにしたとき,気を遣って私もホー・チ・ミンをさん付けで呼んだ。ベトナムは一党独裁体制であり,残念ながら密告が存在する。日本語で話している分には大丈夫かもしれないが,万が一ということもある。チュンさんが不利益を被るようなことがあってはいけない。

【注】
この橋はヤーヴィエン橋Cầu Dã Viênという。何をどう勘違いすればバック・ホー橋となるのか…。ただ,その後のホー・チ・ミンにまつわる話は当たっており,ホー・チ・ミンが学んだのはフエのクォック・ホック(国学)Quốc Học。

橋には所々四阿のようなものが建っている。

橋を渡りきると王宮のすぐ近く。明日見ることになる旗台を通り過ぎる。この当たりは旧市街と呼ばれる。かつて城の中だったところだ。北京風にいえば,外城。現在王宮と呼んでいるところは内城にあたる。小さな民家が集中しており,商業施設はあまりない。

象の寺から10分くらいでお店に到着。この辺りは旧市街でごちゃごちゃとしているが,このお店だけはこぎれいになっていた。

窓際の風通しの良い席を選んだ。まずドリンクメニュー。私は2年前に飲んで気に入ったフエのローカルビールであるhudaビールを。奥さんはマンゴーシェイクを注文した。私は他にLaVieのボトルを注文した。

食事のメニューを渡されたが,文字だけのメニューでイメージできないので,チュンさんに直接「イカとエビが入った焼きそばのようなものありますか?」と訊いてしまう。奥さんは結局ブンボーフエになった。

このレストランはフランス料理屋のようで実はベトナム料理屋。店名がフランス語なのは,経営者がフランス人だからということだけらしい。

何でも,その経営者は写真家だそうで,ベトナムの風景や人物を撮り,それをポストカードとして店内で売っている。帰りがけにちょっと見てみようと思う。店内に飾られたこの写真も経営者が撮ったのだろう。おそらくベトナムの少数民族のおばあさん。

暑くてビールを一気に飲み干してしまった。窓を開けっ放しにした店だが,店員が見かねたのか扇風機を付けてくれた。

食事ができあがるのを待っていると,店員がやってきて,「Where are you from?」と訊いてきた。日本だと答えると,「I can speak Japanese a little, err... コンニチワ」と言ってきたので,xin chào!とベトナム語で返してやった。嬉しそうに続けて「アリガトウ」と言ってきたので,cảm ơn!とベトナム語で返した。ハノイやホーチミンの外国人向けレストランだったらある程度日本語できたりするが,フエのような地方では日本語をしゃべれること自体珍しいんだろう。日本人を見かけるたび,この子はこうやって話しかけているのかもしれない。素朴で好印象を受けたのでGood Japanese!と誉めてやったらはにかんでThank you very much!と言って戻っていった。

ちょっと足りないかもしれないが,ちょっとバテていたのでこのくらいでいい。コース料理もあったと思うが,車貸し切りの時間を使うのは勿体ないということもあり,こうしたアラカルトにとどめておいた。

かくもベトナム料理というのはあっさりしている。こういう食事をしているのだから,細いのも分かる。ちなみに,2年前にフエとホイアンをガイドしてくれたクィンquynhさんという女性のガイドさんを知っているかどうかをチュンさんに訊いてみたら,知っているという。「女性ですよね? ちょっと太っている」と言っていたが,クィンさん,そんなに太っていたかなぁ…。確かに丸顔だったけど,日本だったらぽっちゃりとも言わないぞ。あれを太っていると言ってしまうベトナム人が凄い…。なおクィンさんはもうすぐ結婚するとのこと。

会計をする前にポストカードのチェック。これらを買った。いかにもなベトナムの光景だが,モノクロで撮るとより一層味わい深い。

会計を終えて店を出ようとするとニャットさんが現れ,まだガイドの食事が終わっていないのでちょっと待ってくれとのこと。店の外の席で少し待ち,車へ。ニャットさんたちは誰かと談笑していた。ガイド仲間なのかもしれない。ニャットさんたちもこの店で摂ったのだろうか。失礼ながらベトナム人にとっては高い食事だと思うのだが…。ちなみに,ビール一瓶,水一ボトル,海鮮やきそば,全部で140,000ドン,536円。ベトナム産とはいえ,ビール一瓶22,000ドン,84円というのが嬉しすぎる。ちなみにスーパーなどで買うと半額以下で買える。ビールが40円て天国だなぁ。

今回ばかりはドライバーも外に出て食事していたので,車の中が暑くなっていた。「ちょっと暑いですが…」とチュンさんは恐縮していたが,そうか,ドライバーは車の中が暑くなりすぎないように冷房をきかせて待っているというのも仕事の一つなんだな…。13時,再び出発。

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