嘉成殿（天授右陵寝）
天授右陵の墓部分をあとにして，今度はさらに西にある嘉成殿Điện Gia Thànhへ。天授右陵の寝にあたる殿宇。奥に見えるのがたぶんそうなのだろうが…。
月湖はハスでいっぱい。一房だけ花が咲いていた。
どうやら嘉成殿は工事中のようだ。トタン板を葺いている。
門の前までやってきた。数台のバイクが止まっている。こっそり中を覗けたらと思っていたが，これではちょっと難しそうだ…。瓦などが乱雑に棄てられていた。ちょっと警戒心を強めて臨もう。
門の前の階段は草が生え放題。竹などで拵えたようだが，今にも組みものが倒れてきそうで怖い。
一つ目の階段を上り終えるともう一つ階段が出て来た。
門の外から中を覗いてみると，ハンモックで人が寝ていた。この調子だと改修が終わるにはまだまだ時間がかかるのだろう。それにしても組み方が雑だなぁ…。
これ以上立ち入るのは危険なので，門の中を撮影して終わろう。屋根板が抜かれていて，ここでも恐怖を感じる
次は嘉成殿の南西500mほど離れた長豊陵Lăng Trường Phongに訪問するため，獣道のようなところを歩く。
長豊陵は肃宗Túc Tông孝寧皇帝Hiếu Ninh Hoàng đếと追号された阮福澍Nguyễn Phúc Thụの陵。阮朝の祖である嘉慶帝阮福暎Nguyễn Phúc Ánhは，ベトナム中部（広南）を根拠として支配していた広南阮氏の出身で，即位すると祖先たちに追号してフエにそれぞれの陵墓を設けて改葬した。その一つがこの長豊陵。阮福澍は広南阮主8代目である。
衛星写真をもとにした手製の地図を頼りに進んだが，衛星写真では分からない高低差や背の高い椊物の存在によってよく分からなった。どうやら川を渡らなければならないようだが，橋があるようには見えず，安全に越える方法が分からない。とある田圃に出たが，そこからどこかに出るような道が見つからず，陵墓も見えないので15分歩き回ったところで諦めた。ぼちぼち暑くなり始めているし，手持ちの水も限りがあるので深追いは危険だ。陽を遮るものがないので，日光が直に当たる。
一段高くなっている部分があり（左写真），その上に登ってみると平らに広くなっていた（右写真）。もしかしたらここが長豊陵なのかとも思ったが，衛星写真でははっきりと方形の墓が見えるので違う。衛星写真の罠は高低差が分からないことだ。平面に見えてしまうので，容易に辿り着けるのではないかとの希望的観測を持ってしまう。気をつけないと。
だいぶ後になって知ったことだが，この一体の陵墓一つ一つに至る道は比較的しっかりしており，このような草っ原を歩く必要は基本的にない。長豊陵に向かう道もしっかりと残っているようで，天授陵に至る道のかなり手前の段階で枝分かれしているようだった。再訪はいつになるだろうか…。
途中で農作業に向かう地元の人を見かけたが，接触すると面倒なことになりそうなので，嘉成殿までそそくさと戻った。
確かに地元の人が使っているような気配はある。