孝東陵
昌陵の入り口に戻り,ニンさんに次の陵墓の位置を伝える。衛星写真の地図を示して,この道であろうというところに入ってもらう。
13:31。民家の並ぶ細い道を通っていったところに果たしてあった。昌陵から出て北に少し入ったところだ。
孝東陵Lăng Hiếu Đôngで,ティエウチ帝の母である佐天仁皇后Tá Thiên Nhân hoàng hậu胡氏華Hồ Thị Hoaの墓だ。
門には扉がしつらえてあり,残念ながら施錠されていた。ただ,そのことはこの陵墓が放置されているわけではないことを示す。その証拠に門の額には「宝城門」の金泥文字が。また拝庭には草一本生えていない。
孝東陵向かって右手には小さな墓があった。
「故皇女之墓」と墓標にはあるが,具体的にどの皇帝の娘なのかは判然としなかった。あてずっぽうだが,孝東陵に附属していることから,佐天仁皇后が生んだ公主かと思うが,ミンマン帝の皇女に該当する人物はいない。左下に刻まれている小さな文字がヒントになるかと思ったが,拡大してシャープネスをかけてコントラストを強めても判読できなかった。「三女」らしき文字があった。ミンマン帝の三女ならば賢妃呉氏正Hiền phi Ngô Thị Chínhの娘である鹿城公主阮福琬琰Nguyễn Phúc Uyển Diễmということになるが,孝東陵のすぐ側に葬られている意味が不明だ。
宝城部分はコンクリート製なので改葬されているようだが,囲繞の壁は当時からのものだろう。