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フエの阮朝史跡探し 2018年2月27~3月4日

従善王陵・母阮克氏寶寝

Tùng Thiện Vương/Nguyễn Thị Bửu

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従善王陵・母阮克氏寶寝

11:09,松の木が生い茂るなかに立つ陵墓を見つけた。手前の墓は白いが,その奥に黒い門が見えている。


しかし気がかりなのは,犬がひどく吠えていること。吠えるならまだしも,どうやら鎖に繋がれていないようで,鳴き声が聞こえる位置が一定していない。こちらを探しながら吠え続けているらしい。…あまり宜しくない環境だ。彼らはあまり目が良くないので,複雑な動きをして遠回りをしつつ陵墓を探そう。

門の正面に入り口がなく,少しずらしている。門の屋根の上には大量の松の葉が。こりゃ相当なものだ。階段の左右には蟠龍。これは阮朝ゆかりの陵墓に違いない。


屏風の正面にクォックグーによる銘板が埋め込まれてしまっている…。残念な所行だ。


最初に「tùng-thiện-vương miên thẩm」とある。これは明命帝の第10子,従善王Tùng Thiện Vương阮福綿審Nguyễn Phúc Miên Thẩmのこと。久々に妃ではない,宗室皇子の陵墓を発見した。


墓本体は多く見られるものとは別のタイプ。こんもりとした丘となっており,その前に碑亭のようなものがある。内部には銘板。今度は漢字によるものだ。「従善王兼摂尊人府左尊人諡瑞恭之寝」「嗣徳二十三年三月三十日申刻薨」とある。従善王が死没したのは「嗣徳二十三年三月三十日」なので,ここの埋葬者は従善王で間違いない。


従善王の陵墓の門から外を見ると,立派な碑亭があるのが分かる。


「御製文碑亭」とある。碑文の最初に「嗣徳二十三年五月二十三日」とある。


碑亭の先にかろうじて階段が残っている。


従善王陵を背後から見たところ。


従善王陵の近くで,もう一つやけに黒い陵墓を見つけた。手前に碑文があるが,碑亭の中ではなく吹きさらしなので,文字がつぶれてよく分からず。


規模としては従善王陵よりも大きい。


またもや屏風に埋め込まれた俗悪な銘板。「nguyễn khắc thị bửu」とあるのは,おそらく従善王の生母である明命帝の嬪妃たる阮氏寶Nguyễn Thị Bửuではないか。


墓本体は亀甲型か。


墓の手前はただの祭壇で銘板はなかった。


屏風の裏はおそらくコウモリ。


墓の裏手に碑亭がある。あそこに正解が刻まれているようだが,確認しようとすると墓の上を踏むことになる。ちょっと恐れ多いので遠慮しておく。


さて,まだ11時を過ぎたところだが,朝ご飯が早かったせいかかなり空腹だ。ホテルに戻ろう。ここから1.7km程度。自転車ならすぐだ。