会津越後異境巡礼 2003年1月6〜9日 柳津

柳津

只見線の駅名は「会津○○駅」というのが多い。というかほとんどそうだ。でも車内放送では「会津」の部分を言わない。

柳津で降りたのは僕ら二人のみ。


これが会津柳津駅。無人駅だが地域の人が管理しているため駅舎は奇麗。駅舎内にはストーブが置かれていて無人駅としては快適だ。地域の人が雪かきをしている。冬場なのに何故かぼんぼりが下がっている不思議な駅。駅前には3台ものタクシーがドアを開けて待っていたが、僕らがトイレに行っている間に全て誰も載せずに去ってしまった。

柳津は観光地だが、それ程客が来るようなところとは思えない。適度なすたれ具合が柳津の魅力の一つなのだが、これ以上すたれてしまうのもさみしい。柳津町の観光に対する努力は感じるのだけど、もっとPRに積極的になってもいいと思う。

雪はちらつく程度。晴れ間も覗いている。積雪もそれ程ない。三回目の訪問にしてやっと天気のいい柳津だ。道路の融雪水も出ていないし、歩きやすい。


駅前から見えるのはスキー場。だけどリフトが動いているような様子がない。こんなに雪があるのに何でやってないんだろう。勿体ないなぁ。これまで柳津駅に降り立ったのは陽が暮れたあとしかなかった。陽が暮れるとスキー場のライトが闇と雪に奇麗に映える。

駅から少し歩くと、柳津の魅力、さびれた街並みが広がる。柳津はもともと福満虚空蔵尊の門前町として発展してきた。立ち並んでいた宿坊は今では温泉宿に形態を変えている。柳津の街には饅頭屋が多い。伝説では、福満虚空蔵尊の本堂が焼けたとき、住職が岩井屋という菓子屋に「火災に遭わ(アワ)ないように」と粟饅頭(あわまんじゅう)を作って貰ったのが始まりだそうだ。

写真はある饅頭屋。蒸気が絶えず吹き出していて、食欲を涌かせる。


少し歩くと只見川に架かる橋が見えてくる。赤い鉄骨タイプの橋が2つかかっていて、小さな吊り橋が1つかかっている。只見川は非常にゆったりとした静かで大きな川で、この川も柳津の魅力の一つである。赤い欄干は、福満虚空蔵尊が近づいていることを暗示させるものだ。

円蔵寺(福満虚空蔵尊) 福島県柳津町

 
少し急な階段を上ると福満虚空蔵尊・円蔵寺の本堂。裏門から入ったことになる。円蔵寺は崖の上にあり、懸け造りの本堂という僕好みの物件。自称「日本三大虚空蔵の一つ」。空海が海に流した3つの霊木がそれぞれここ柳津と千葉の天津小湊(??虚空蔵)、茨城県の東海村(村松虚空蔵)に流れ着いたという。会津の郷土玩具というと赤ベコがあるが、その起源はここ柳津の虚空蔵らしい。虚空蔵は丑・寅年生まれの護り本尊だからだ。赤という色は縁起のいい色だからだという。

明日(7日)の夜、ここ円蔵寺で裸参りという奇祭が執り行われる。本当は7日に宿泊したかったのだけど、満室だったので一日繰り上げた。その時は何故満室なのか分からなかったが、どうやら7日の客はこの裸参りの見物客のようだ。ふんどし一丁の男、いや漢どもが鰐口にむらがり、縄をよじ登っていくというもの。柳津の観光パンフレットにはかならずこの祭の写真が掲載されている。凄い光景だ。わざわざこれを観に柳津にやってくる人たちがいるということは、まだまだ柳津も大丈夫なのかな?と安堵。


以前来たときには開いていた扉がしまっている。もしかして祭の準備で拝観が無理になっているのか?

 
回廊を通って、もう一つの入口に廻ってみる。懸け造りの御堂につきものの舞台がある。残念なことに雪が積まれていて乗り出すことができない。夏であればこの舞台の上に立てるのだろうか。橋が見えている。この舞台から只見川が奇麗に見えるのかと思うと、また夏に来たいなぁと思う。


もう一つの扉は開いていた。よかった。


何故か巨大な鍾馗の絵がある。天井をみあげると、漢どもが腰をかける梁などがみえる。照明が少なく、奥行きを感じさせる。本尊の前には何故か柵が設けられていて、全然見えない。以前来たときにはなかったような・・・。残念。

朱印を求める。若い僧侶が担当してくれたが、「圓蔵禅寺」という印鑑を90度向きを間違えて捺してしまった。謝られたけど、レアなアイテムということで。全然大丈夫です。

円蔵寺は禅寺だったのか。今まで宗派が分からなかった。帰ってから調べたら、臨済宗妙心寺派らしい。

本堂の前には狛牛と狛虎があった。やっぱり虚空蔵菩薩。先ほどの裸参り、起源は柳津の民衆が龍神を撃退したことに始まるのだそうだ。ところで虚空蔵菩薩の眷属は鰻。この辺の人々は鰻を食べない。龍神と鰻、何かあるような気がする。龍と百足が対立しているのは聞いたことがあるが、鰻か・・・。

関係ないが、日光の中宮祠で執り行われる新年の行事に、中禅寺湖に矢を射るというものがある。むかし龍(男体山)と百足(赤城山)が戦ったのに由来し、赤城山に向かって矢を居るのだそうだ。


宝物殿。六角。入れればいいのだけど、閉まっているみたいだ。しかもそれ以前に雪かきが為されておらず、近づけない。

 
高台からは只見川が見えた。3つの橋が奇麗にみえる。

 
山門を逆にくぐる。山門ちかくのちょっとした崖にたくさんの大きなつららが下がっていた(右)。

 
階段を降りきり、山門を崖下から見る。格好いいロケーションです。吊り橋には小さな電球が鏤められている。まだ14:00過ぎだというのに点灯していた。陽が暮れるととても奇麗なのだ。宿のパンフレットでは、毎年8月10日にこの辺りで打ち上げられる花火の写真が掲載されていた。それに只見川に行灯が流されるらしい。本気で夏の柳津も訪問してみたいと思った。


これは本堂。懸け造りのお堂であることが分かる。格好いいです。崖下には小さな大日堂がある。臨済宗で大日堂?古くは真言宗のお寺だったのかもしれない。

寺を立ち去り、少し歩くとこの町唯一(?)のコンビニ風の店がある。河内屋。多分24時間営業ではないだろうな。


河内屋の前には贔屓の饅頭屋、岩井屋がある。以前に探偵ナイトスクープで紹介された店のようだが、最初にここを訪れたときに先輩に連れられて入って気に入った店である。饅頭を買えば饅頭一つ、お茶がサービスされる。古い民家の作りの店内で饅頭を頬張れば幸せな気持ちになれる。お土産に粟饅頭を買っていくつもりだったが、固くなるとのことで、明日また来店することにした。今食べるために4つバラで粟饅頭を購入し、店を出る。

できたてでほかほか、形も容易に変形してしまうほど柔らかい粟饅頭を一つ頬張りながら宿へ。まだ15:00を少し廻ったところだけど、入れて呉れるだろう。柳津に来るときはいつも宿泊している宿。その名もつきみが丘町民センター。ばりばり公共の宿という感じの名前、外観もさえないが6500円から泊まれる温泉宿なので利用している。今回も真ん中の7500円のプラン。

宛われた部屋は可も不可もない典型的な和室。小さめのテレビがおきまりの金庫に乗っている。壁は非常に奇麗だが、絵や掛け軸はない。また窓辺のミニリラックスゾーン(チェアー2つ、ミニテーブル1つ、冷蔵庫)もない。トイレもないため一度部屋を出て、廊下のトイレに入らなくてはならない。廊下はまったく暖房がきいていないためトイレに行くのが大変だ。まあ、7500円なのだからこの辺はしょうがない。温泉は24時間入れるのだから善しとしよう。


しかもこんな絶景が拝めるのだから!!何度観ても只見川はいい。まるで水墨画のようだ。禅画の世界。


怪しげな建物もあるし・・・。まるで五重塔だ。どうやら旅館のようだが、夜になっても明かりが点かないので、廃業してしまったようだ。

しばらく只見川を臨みながらお茶とさっき買った粟饅頭を食べた。湯飲みがつきみが丘町民センターオリジナルのものになっていた。以前には無かった。うさぎと三日月、それとうぐい(淡水魚だよ)のイラスト。可愛いデザインだ。何故うぐいかというと、近くにうぐいの群生地があるから。天然記念物になっていて、勿論釣りは禁止。

落ち着いたところで温泉。露天風呂はないものの、大きな窓から只見川が拝めるという絶好のロケーションだ。一人先客がいたがすぐに出ていった。ひょんなことで温泉が口に入ってしまった。しょっぱい。塩分が含まれているようだ。景色がよく、湯加減もいいので僕にしては長く浸かっていた。

部屋に戻り夕方の地方番組をつれづれに観る。宿泊の醍醐味の一つだ。最近はこういうゆるゆるな楽しみが好いなぁと思う。

しばらくゆったりしていると係の人が布団を敷きに来た。布団を敷いてもらっているうちに夕食を摂ることにする。夕食はまあ、典型的な旅館スタイル。ミニ鍋、天ぷら、茶碗蒸し、伊勢エビのグラタン、ホタテなど。山奥なのに伊勢エビ、ホタテが出たのはご愛敬。これで7500円は凄い。特筆すべきは刺身。魚ではなく、馬刺だった。ちゃんと山の幸。タレも美味しくて満足だ。宿泊客は他に3組しか無かった。この宿の経営、大丈夫だろうか。立ち寄り湯として町民によく利用されているようだし、町営だからそうやすやすと潰れないとは思うが、低料金のこの宿が無くなってしまったら非常に困る。

夕食後再度温泉。日が暮れて来たし他の客も無かったので、全ての電気を消して入る。この方法だと夜の只見川が奇麗に見えるのだ。勿論眼鏡を架けて入る。見とれてしまった。夏だとまた違った顔を見せるのだろう。風呂の帰りロビーのアイスボックスを覗く。「喜多方ラーメンアイス」なるものを発見!いくらなんでもこれは・・・。

部屋に戻り、会津若松で買った生酒を飲む。おいしくてすぐに飲んでしまった。ほろ酔いのいい感じのところで床につく。・・・しかし眠れない。疲労している筈なのにどうしてだろう。

2時を廻ったところで、気分を変えるために温泉に入ることにした。24時間入れるのは好いことだ。また、というかやっぱり客が居なかった。またまた電気を消して絶景を独り占めである。

部屋に戻って布団に入るとようやく眠りにつくことができた。

7日

起床後、朝食前にもう一度温泉へ。朝風呂である。やっぱり人が居ない。贅沢な時間を過ごす。結構雪が多く舞っている。電車は止まらないだろうか。ちょっと心配になった。

朝食は非常にシンプルだった。ハム、きのこ、漬け物、納豆、温泉卵、海苔。どれがメインなのかよく分からないラインナップだったが、朝食はこの位がちょうどいい。食堂から見える景色も好かった。小さな神社が見える。雪もゆったりと降り積もっている。神社の名前は「諏訪神社」。またまたいろいろ考えてしまう。諏訪神社というと蛇・・・、とかね。

只見線会津若松行きは、9:30頃の次は13:30。急いでチェックアウトして会津若松に戻ってもどこへ行くこともないので、チェックアウトぎりぎりの10:00頃までゆっくりした。朝には結構降っていた雪もちらつく程度になった。陽も出ている。

電車が来るまでかなりの時間があるため、おきまりのコースになるが斎藤清美術館に行く。斎藤清はここ柳津にゆかりのある版画家。相方は興味があるようなので丁度よかった。僕は3回目となるが年に4回入れ替えをしているので行く度に違ったものが見られるので飽きない。
 
斎藤清の作品もいいが、大きな窓から見える柳津の風景も一つの作品として観賞できる。絶景だ。窓の前に「座って見てくれ」と言わんばかりにイスが列べてある。

円蔵寺の懸け造りが奇麗にみえる。

美術館を出た後、すぐ隣の物産館へ。ゆっくりと売り物を見たあと、附属のそば屋へ。ここ柳津もそばが名物。博士山で穫れるそばなので博士そばという。ここで辛み大根の絞り汁をつけだれにする「高遠そば」を注文。かなり辛く、勢いをつけてすすればむせそうだ。だけどとても美味しい。すごいコシのそばだ。

物産館を出て、最近開放しはじめたらしい斎藤清のアトリエにも立ち寄る。アトリエを出たあと、駅方向へ。途中岩井屋で約束の饅頭を購入。茶饅頭、粟饅頭、栗饅頭を3つずつ入れたミックスを注文。サービスとして出されたのは茶饅頭。この饅頭屋で粟饅頭以外の饅頭を食べるのは初めて。茶饅頭も美味しい!出されたお茶と共に頂く。

  
左から粟饅頭、栗饅頭、茶饅頭。粟饅頭は粟のほろ苦さとあんこが絶妙。栗饅頭は白あんの中に甘栗が丸ごと一個入っている。しかもクルミのかけらが上に乗っていて香ばしい。粟饅頭も美味しいけど、栗饅頭もかなりのうまさ。やばい、ファンになりそう。茶饅頭はオーソドックスなお饅頭。今回は買わなかったけど、この店では他に鮎最中も売られている。これは次回の課題としよう。

岩井屋近くでは清水が湧き出している。飲んでみると冷たくない。少し温かく感じる程だ。やっぱり地下水。水温が一定しているのだ。


今日は何故か融雪水が道路の真ん中から噴出している。靴やズボンを濡らさないように気を付けて歩く。中には元気のいいのがあって、異常に高く噴出していたり勢いが強いのもある。

饅頭を抱えて駅へ。駅舎内では10人ほど電車を待っていた。観光客半分、地元半分といったところか。駅舎内では演歌がかかっていてちょっと残念な感じ・・・。

柳津観光マップには円蔵寺の近くに「竜蔵権現」なるものがあった。聞いたことのない名前。ネットで調べても全然分からない。


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