関帝廟
結構くたくたになってしまった…。あと少し。
次の目的地は関帝廟。 その途中で神戸華僑幼稚園があった。内部のタイル絵は、大きな桃をひっぱるこどもたち。桃は邪気を追い払う力があると信じられている。 関帝廟の近くだし、この幼稚園の向かいにも神戸中華同文学校があることから、神戸華僑が多く住む土地なのだろう。 ちなみに神戸の中華街として知られる南京町は線路の向こう側で少し距離がある。 |
なぜか鳩に好かれてしまっている不思議な家を発見。いったい何羽止まっているんだ?
さてさて、仰々しいのが見えてきた。もう地図を見るまでもない。 関帝廟といったら中華街のど真ん中にあると思ったので、ここにあるというのは意外だった。 |
丸瓦には「関帝」と。かっこいいなぁ。龍も彫られているが、なんと指が五本。関羽はその名の通り皇帝としての格を持っているようだ。
山門。外観が派手だが、その天井も派手派手。
さらに中門まである。「龍門」とあるが、登龍門の「龍門」である。 |
中門の右隣りの建物は…なんだろう。右写真に見えているが、屋根の上に五つの動物の像が載っているのが分かる。吉祥を象徴する瑞獣で、その数がその建物の格を表しているという、中国独特の作法だ。瑞獣には十種あるそうで、それらのうちどれが載っているのかによっても格が決まるらしい。
本堂が見えてきた。屋根の上に青龍がにらみ合っている。ちなみに瓦が黄色なのは意味がある。これは黄瑠璃瓦と呼ばれ、皇帝が居住する建物にのみ許された瓦だ。
陰陽五行説では各方角に色などの属性を充てている。東は木、春、青、龍。南は火、夏、朱、鳥。西は金、秋、白、虎。北は水、冬、玄(「くらい」と訓読する。玄人と書いて「くろうと」と読む。「幽玄」はかすかでくらいことを意味する。つまり黒)、亀。
そして中央には土、黄の属性が与えられており、天帝(北極星)が坐すところ。土とはつまり中原の黄土のことであり、その理由で黄色が割り当てられている。皇帝はその天帝から世界の支配を委ねられた存在であるため、黄色とは皇帝の色ということになる。これも関羽が皇帝として扱われていることを象徴している。ちなみにかつて紫禁城(天帝の住む紫微宮と、一般人の侵入が許されない禁地という意味を含んだ都市)と呼ばれた故宮の瓦の色も黄色である。
右画像は本堂内部の天井。中央に金色の龍が据えられている。
本堂の内部には、顔を真っ赤にした関羽が祀られていた。脇侍として右に養子の関平、左に眷属の周倉。 右の壇には聖観音、左の壇には玄天上帝を祀っている。玄天上帝とは即ち玄武のこと。指南宮という別名があるが、それは玄武が北に坐しており、南を向くことによる。 |
私はアジア史を専攻したが、三国志はからきしダメで、関羽と言えば信仰の対象である関帝聖君という側面しか知らない。
ちなみに桃園の誓いの途中で堪えられずに挫折した。
他に四阿も。「洗心亭」とある。 境内には華僑の人たちがいて、中国語でしゃべっていた。 実は、もともとは長楽寺という黄檗宗の寺院だったそうで、明治期に廃寺になったのをきっかけにここに移して関帝廟となったそうだ。当初は媽姐も祀られていたが、戦時に焼失したという。 信仰のスタイルとしてはなんでもありとなっていることから(まぁ道教は雑多な民間信仰をおおざっぱにまとめあげたもの…)、今では華僑の信仰の場としてだけではなく、互助の場、精神的なよりどころの場として機能しているようだった。 |
かなり陽が傾いてきたし、体もくたくたなので次に向かう「モダン寺」で終わりにしようか。