長禅寺さざえ堂 2002年4月18日(木)

長禅寺三世堂(さざえ堂)

 取手駅東口から徒歩6分。

 今日は木曜日。平日です。何故か取手市に居ます。今日4月18日は長禅寺のさざえ堂の年に一度の公開日。なんとしても見たい。ということで○○をサボタージュして参りました。私はさざえ堂マニア、さざえ堂中毒ですから、ええ。不良文系。

 さざえ堂が何かっていうのは、めんどいのでパス。っていうのは余りにも手抜きか。

 簡単に言うと、江戸時代中期に造られた三階建ての観音堂のこと。内部には西国三十三ヶ所、坂東三十三ヶ所、秩父三十四ヶ所の合計百観音が納められている。驚くべきなのはここから。お堂に入ってから出るまで一度も交差することなく三階まで昇って出てこられる。一つ一つの観音を滞り無く見るため、あるいは見せるための仕組みなのだ。拝観者は堂内を回転しながら上昇し、そして下降するが、その時の拝観者の動きがさざえの殻のようなので、さざえ堂というのだ。

 このさざえ堂は江戸時代非常にブームとなり、関東から東北にかけて各地で建立された。最初のさざえ堂は本所(今の江東区の深川のあたり)の五百羅漢寺のもの。江戸の庶民に大変親しまれた。日本の建築史上、三階建てというのは非常に珍しいもので、庶民は三階からの眺望などまず見られない。さざえ堂の迷宮的な構造に加え、そういった事情も人気の高さの理由であろう。

 さざえ堂の最上部はテラスのようなものがあって、そこからは富士山が見えたという。葛飾北斎も『冨嶽三十六景』でさざえ堂から富士山を眺める江戸の老若男女を描いている。また江戸観光スポットのガイド誌『江戸名所図会』でもさざえ堂が紹介されており、三階のテラスからたくさんの人々が外の風景を眺めているイラストが描かれている。

 前置きがかなり長くなりました。それでは、長禅寺のさざえ堂をご紹介しましょう。長禅寺のさざえ堂は三世堂と呼ばれており、平将門の護り本尊十一面観音を安置している。1763年に当時の長禅寺住職幻堂によって建立された。住職の名前が凄いね。「凄いもん造るよー」って感じだよね。さすがだ。

 これがさざえ堂の外観。木が邪魔してよく見えないけど、見た感じでは二層。でも実際は三層になっている。

 三階に丸窓が二つあるんだけど、分かるかな。実は二階にも一つある。

 
 左は『江戸名所図会』に描かれている本家五百羅漢寺のさざえ堂(中央「さゞい堂」と書かれたお堂)。右は長禅寺のさざえ堂。似てるよね。本家のさざえ堂は現存しないけど、ひょっとすると内部の構造も同じだったのかも。長禅寺のさざえ堂が本家のほぼ完璧なレプリカだと仮定すれば、本家の内部構造を偲ぶことができる。

 では、実際に中に入ってみましょう。キアイ入れて図を作りました。何せさざえ堂バカですから。ええ。

  
 左から1階、2階、3階。図の数字は堂内で撮った写真と対応しています。→は写真を取った方向。オレンジの線は行きのルート、緑の線は帰りのルート。中央の「コ」の字になっているところに、観音像が安置されている。

 1階。1階には十一面観音と、坂東三十三ヶ所の観音がある。

1. 入っていきなり白象がお出迎え。その上にはミニミニの幼い仏陀像が載っています。分かりずらくて御免。

2. よく分からんけど、1階のへこみ部分。これが護り本尊の十一面観音だろうか。11個ないけどなぁ。あ、そうそう、平将門の護り本尊です。その為、この寺の紋(?)は九曜の紋になっております。


3. おばちゃんがたくさん居ました。


4. 結構たくさん居ました。

5. さざえ堂は本来、混雑なく拝観できるように一方通行の順路が設定されているわけなんだけど、思いっきり混雑してます。階段が急なので、足の弱いおばあちゃんは大変なのだ。そういえば、おばあちゃんは沢山見たけど、おじいちゃんはあまり見かけませんでした。何故?


6. ここから2階です。参加してくれた方が写りました。階段は結構狭い。


7. かなり詰まってます。えらく混雑してます。


8. はい、これが2階の丸窓。

 
9. 丸窓からは鐘の裏側が見られます。これは貴重な光景です。2階の丸窓がこんな位置にあるため、外観からは丸窓は見えず、実際は3階建てなのに2階建てのように見えてしまうのです。右写真は外からみた2階の丸窓。


10. 後で3階から降りてくることになる階段です。急なのが分かるでしょ。

11. 奥に見えるのは1階へ降りる階段。帰りのルートです。今のところは関係ありません。ルートを分ける柵が低い。結構貧弱です。


12. 10番とは逆の方向から撮った写真。


13. 1階へ降りる階段。


14. コメントなし。


15. 3階へ昇る階段。

16. 左に見える斜めのものが、3階への階段。右から廻って行けば、1階から昇ってきてすぐに3階へ行くことができてしまう。ショートカットが可能なのだ。動線が不完全となっていていて不満。ちゃんと閉じていて欲しいなぁ。

17. さあ、最上階の3階でございます。先頭のおばあちゃんはこの後、3階に備え付けられていたパイプイスに座って休んでおりました。年を取るとさざえ堂見学もラクじゃないのだね。

18. 3階のテラスからの展望です。下に見えるのは山門。話に拠れば、天気が良ければこの寺から富士山が見えるのだという。『冨嶽三十六景』には、江戸の本所のさざえ堂から富士山を眺める江戸の庶民の姿が描かれていたが、長禅寺のさざえ堂からも富士山を眺めることができたのだ。奇しくも本所羅漢寺のさざえ堂と、長禅寺のさざえ堂は外観が非常に似ている。富士山もコピーしたということなのだろうか。


19. これもテラスからの眺め。もう鯉のぼりがあがっています。

20. 2階へ降りる階段です。かなり急なのが分かるでしょ。足の弱い人には、後ろ向きで降りることを勧めていました。

21. 3階にはテラスへ出る扉があって、徘徊することができる。テラスを歩いて別の扉で中に入るとショートカットしてしまい、観音像をもれなく見ることができなくなってしまう。図を見て頂くと分かるが、そうでなくても3階の動線はかなり不完全だ。2階から上がってきて、すぐに2階に降りることもできてしまう。さすがにこの日はポールが立てられていて、ショートカットできないようにされていた。


22. ここが出口。お堂の左から放出される仕組みになっている。

 最初に見たさざえ堂が会津若松だったので、今ひとつ衝撃度は低かったけど、それでも奇怪建築の質は高いと思う。ただもう少し動線の確保をしっかりして欲しかったなぁと思う。でも、良かったよ。

 参拝のおばあちゃん達が、お寺の人から「また来年お会いしましょう」と声をかけられていたのが印象的だった。そう、次にさざえ堂に入れるのは365日後。2003年4月18日。午前九時から午後四時まで。但し午前十時半から正午までは法要の為、閉堂してしまう。ご注意。


さざえ堂の隣には大師堂がありました。


本尊(?)右にはミニミニ大師が処狭しとひしめきあっていました。

 ここでは「あま茶」ティーパックのついた「御供物」をゲット致しました。

 外に出てみるとお茶会が催されている模様。勧誘されてしまった。でも、ここまで来たのだから、ということで素直にお茶を頂くことにした。

 こういうのは生まれて初めてで、作法なども全然知らない。でたらめにお茶を頂く。意外と美味しい、と書くと失礼か。これまで僕は、色々手間を掛けるわりに大して美味しくないというイメージしか持ち合わせていなかったのです。紅白饅頭がお茶請けとして供されました。貴重な体験をしたので、かなり得しました。それにタダでお茶飲めたし。饅頭もタダで食べられたしね。

 それから境内をふらふら歩いていると、今度は急須でお茶が配られていました。こっちは庶民風。さっきお茶を飲んだばかりだというのに、ここでも頂く。タダならなんでも貰うぞコラー!!こっちのお茶は「あま茶」だそうだ。さっき大師堂でゲットした「あま茶」と同じなのかな。飲むと後味がほんのり甘い。お茶を配っている人に訊くと、「アマチャヅルが使われている」のだそうだ。あ、だから「アマチャ」ヅルという名前なのね〜。一つ賢くなりました。

 もう見る物は無くなったので、山門から階段を降りて、寺から出ます。まだ2時前。このまま帰るのも勿体ないので、牛久シャトーに行こうということになりました。牛久シャトーはワイン工場。レストランやカフェもある。

 牛久駅に降り立つと葡萄のオブジェとカッパのオブジェが至るところに鏤められておりました。牛久はカッパ伝説のまち。


このカッパは怖かった。噴水のほとりで佇む。この一体だけ。

牛久シャトー

 牛久シャトーに入ると庭園が広がっていた。スカした感じの庭園だと思っていたが、これが結構トンデモ物件だったので嬉しかった。

 何故かターレス。この他にもヨーロッパの賢人どもの胸像が至るところに立っている。この庭園はどう見ても欧風なのだが、灯籠や青磁風のイスなども置かれていて和洋中が混在するカオスな世界になっていた。

 ワインセラーの中はほどよく暗く、階段も多いので迷宮のようでおもしろかった。ワインの試飲ができると聞いていたのだが、試飲できる場所をみつけることができなかった。ひょっとすると、平日はやっていないのかもしれない。

 牛久駅からつくばへ帰る途中、バス酔いしてぐったりしていた。ぶらんこでも酔うほど三半規管が弱い。それにしても牛久〜つくばは高い。870円も取られた。


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