雍州春景 2007年3月30日〜4月1日

今日は最終日。15時には京都を離れなくてはならない。しかも15時には深草バス停に居なくてはならないため、動けるのは実質的に14時くらいまでだ。昼ごはんの時間もあるから、実はあまり動けない。

三十三間堂

ここに訪問するのはもう三度目になる。自分にとっての三十三間堂のメインは、二十八部衆。

雷神。真下を向いているのは、雲の上にいるからだ。手の指は三本なのに、足の指は二本。血管の表現が凄いので、よほどの力を入れているんだろう。よく見れば眉毛がつながっていて、なんとなくサルっぽい。厳めしい顔つきの割には、お供えの品が「いちごちょこ大福」。

まずナーラーヤナ。筋や血管の表現が半端じゃなく凄い。裸足。ダリ風の鬚が良い。右手を返してピーンと張っている。

ラクシュミ。下の地面すれすれまで衣が垂れており、先がくるっとカールしている。振袖のふわふわ感がたっぷり。先がくるっと反った中国風の靴。ひじの辺りに沢山のかえしが付いている。意外にももみあげが長い。女性だから「ちゃり」か。

キンナラ。音楽の神ということで、鼓を持っている。二の腕の辺りに鳥の羽が描かれているのが幽かにわかる。光背には三つの炎があり、その一つ一つにかるら炎がしっかり表現されていて細かい。

マハーマユリ。ブーツ、というよりゴム長靴に近いものを履いている。衣の裾には法輪などが描かれているのが幽かに描かれている。彼の頭の上には一本の角が生えているのだが、その奥になぜか象の頭が! 垂れ耳でかわいい。髪型が狛犬のような超天然パーマ。

ブラフマン。男だが、大弁功徳天と同じように振袖が長い。靴も中国風で似ている。オトコマエなのだが、ちょっと腹出ているのが気になる。ビール腹?

ガンダルヴァは裸足。上半身裸だ。光背の三つの炎には、かるら炎が表現されている。

プールナ・バドラ(満善車王)。逆立つ3D眉毛。長い振袖の先を、邪魔にならないように絞っている。胸当てのショルダー接合部のベルトのバックルには、キツネのような獣の頭が付いている。髪がハリのように逆立ち、まるで針山地獄のようだ。こいつの光背の炎にもかるら炎が。

シャガラ。蛇の神だけに、左手に蛇を持つ。ブーツの上の部分に獣が付いていた。頭上には、首をもたげた五匹の細い蛇が冠のように立っている。

マニバドラ。光背の炎にかるら炎が表現されている以外は、特徴なし。

クンビーラ。正面にゴツい獅子面の付いた兜を被る。弓を番えている。目が細く鼻がぺしゃんこの、顔を潰されたような獅噛が付いている。光背には炎がついているが、かるら炎は確認できない。

五部浄。わかりやすい獅噛が付いているが、歯がたくさんついていて、心なしか笑っているように見える。サンダル履きのカジュアルなやつ。日本刀のような刀を持っている。しかも二刀流の伊達男。こいつもかるら炎が確認できない。

ハリティー。馬の首を頭の上に載せていた。かるら炎は確認できない。

ガルーダ。一番特徴的なやつだ。今回初めて確認できたのが、前掛けにしているものが、獣の皮だったということ。しかも頭つきだ。その頭は上を向いている。

さて、中央の観音菩薩までたどり着いた。そのまわりに二十八部衆のうち四体が囲んでいる。二十八部衆とはいえ、要するに四天王。そのうちのひとつは東方天と呼ばれているが、ドリタラーシュトラ、つまりは持国天である。

毘楼勒叉、ヴィールダカ(生長するもの)でありつまりは意訳して増長天。四天王のうちこいつにだけ獅噛が付いている。

毘楼博叉、ヴィルーパクシャ(たくさんの目を持つもの)でありつまりは意訳して広目天。

そして四天王最強の男ヴァイシュラヴァナ(よく聞くもの)、音訳で毘沙門天、意訳して多聞天だ。

マハー・バラ(摩和羅女)は、その静かなたたずまいとは裏腹に大力将軍女と訳されている。靴が独特。年取っているのに振袖。嫁入り前のオールドミスってことか? 髪と衣が一体化している不思議な構造。

ナンダ。抱えている大きめの竜には、足もあり、ナンダの左手の上に一本の足を乗せている。三本指の竜である。

ヴァス。鬚の部分が鬚に見えず、どちらかというとファラオのような顎飾りのように見える。裸足だし杖をつき、黒眼も描かれていないのでどこか空也にも似ている。腰巻には獣の皮を使っており、獣の顔も確認できた。二の腕や首すじ、足首には割と太い血管が走っている。年取っているけど結構元気そうだ。ついている杖は非常に細く心細い。顔は非常に日本でいう典型的な翁面だ。頭巾は着脱可能だという。

マヘーシュヴァラ。まるで鶉のような鳥を杖の上に載せているが、鶉というには異常にボリュームのある尻尾を持っている。裸足で天然パーマ。表情もやんちゃ風だ。

ヴィバカーラ。歯が白い。他にこれといった特徴もない。

アスラ。奈良の興福寺のようなオトコマエではない。胸飾りの作りが非常に凝っている。興福寺のアスラはサンダルを履いていたが、こいつは裸足。しかし衣の文様が凄いのは興福寺と同様だ。牙が上に向かって口の外に飛び出してしまっている。六本ある腕のうち、右下の腕の人差し指はなぜか何かを指差している。

インドラ。名前とは裏腹に菩薩形で女性風。長い振袖風だしね。ブラフマンと対になっている。衣の波打ち表現が凄い。中国風の靴を履いている。

サンジュニャーナ。最も自分が好きな奇抜系仏像のひとつ。顔の皮は剥がれており、中から新しい顔が出ているというとんでもない造形だ。腕のかえしが凄い。十字架のような首飾りが不思議だ。鎖のようなもので下がっており、パンク風だ。振袖の先は邪魔にならないように縛っている。こいつのひげもダリ風で普通ではない。また、額には第三の眼がついている。

満仙人。逆立つ眉が印象的。斧を持つほかはこれといった特徴がない。

マホーラガ。龍王。ギター担当。弦が実際に張ってあるのは面白い。目が四つの奇抜系。頭に蛇が帽子のようにとぐろを巻いている。裸足である。

ヴァジュラパーニ。金剛力士でガード役。稲妻のような血管表現が凄い。筋も出ている。腰巻には細かい文様が施されているのが確認できた。

最後に風神。豚鼻。牙が上を向いて飛び出しているので豚というよりは猪っぽい。やっぱり雷神と同様に、雲の上にいるかのように、真下を向いている。おのれの風の所為なのか、髪の毛がぐちゃぐちゃになっている。手の指は四本、足の指は二本で雷神と全く違う。眉がつながっていないのも雷神と違う。立膝を着いている。


毎回発見のできる三十三間堂は面白いところですぞ。


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