雍州春景 2007年3月30日〜4月1日

花園駅に戻った頃には雨がぱらぱらと降りはじめた。傘を使うほどのものでもないので、とりあえず様子をみよう。予報では夕方まで降らない筈なのだが…。

花園駅のホーム下のハートイン(JR西日本のコンビニ)では、内部でパンを焼いているようで、焼きたてのおいしいパンが食べられる。そういえばまだ朝食を食べていないな。パンを焼くにおいに惹かれて、やわらかロースかつサンドイッチを。

ホームは少々寒かった。天気予報では20度まで上がるはずなんだけど、雲もアヤシゲな動きを見せているし、気温も充分には上がらないみたいだ。

嵯峨野線(山陰本線。JR西日本では独自の路線名で呼ぶのでややこしい)沿線の観光案内を円町駅でゲットしていた。電車が来るまでちょっと見ていると、太秦駅から少し歩いたところに蛇塚古墳なるものがあるようだ。数々の京都本を持っているが初耳だ。イラストによればかなり奇妙な様相を呈しているので、自分好みの物件だ。寺社以外の物件なので、これまでずっとチェックできていなかったのだろう。余裕があれば訪問してみようかな。

さて、嵯峨嵐山駅で下車。次の訪問地は鹿王院。この寺にアクセスするなら素直に嵐電の鹿王院駅で下車すればいいのだが、花園からJRだと嵐電への乗り換えがうまくいかない。JR嵯峨嵐山駅からそれほど距離がないようなので、歩いてしまう。

京阪神エルマガジン社の『京都地図本』があるので、大丈夫だろうと高をくくっていたのだが、鹿王院付近は見事にカバー地域から外れてしまっていた。まあ嵐電に沿って鹿王院駅まで歩けばいいと考えていたのだが、これも甘かった。

この辺りは住宅地。抜けられると思って細い道を進んでいくと大体が袋小路。何度も行きつ戻りつを繰り返し…。

 
迷っているうちに発見した不思議な店(?)。その前に立つ犬のような木がかわいい。かわいすぎるよ…。木の中心に開いている穴は天然のようで、そこに両目となる穴を後から開けたようだ。

30分ほどうろうろしてようやく鹿王院駅までたどり着いた…。

鹿王院駅まで来れば鹿王院はすぐだろうと考えていたのだが、これも甘かった。案内板さえも一切ない。自転車屋のおじさんに訊いてようやく鹿王院の所在を確認。意外と駅から離れていた。疲れたよ…。

鹿王院


鹿王院。まず寺名が格好いい。キング・オブ・ディアだからね。

 
なかなか風情のある境内。苔にツバキが咲いていた。拝観客も少なく、落ち着いた感じ。午前の早い時間だし天気が悪いからなのかもしれないけど。


嵐電沿いの住宅地のど真ん中にある寺なので、こぢんまりしていると思っていたが、境内は意外にゆったりとしていた。

 
方丈内部に安置されていた韋駄天(左画像)。お決まりだが、目が怖い…。そして隣には正体不明の明王像(右画像)。禅宗ということを踏まえると、ウッチュシュマではないだろうか…。

鹿王院はもともと宝幡寺の塔頭として建立されたが、宝幡寺が荒廃し、塔頭である鹿王院のみが残った。境内の堂宇としては、客殿と本堂、舎利殿しかないが、それでも禅寺らしく廻廊で連絡されている。ただし、廻廊とは言いつつも「輪」ではなく、舎利殿までの「盲腸」となっている。

 
左が舎利殿。禅宗様の宝形造りで格好いい。境内の中心となっている。廻廊はコの字になっていて、囲んだ部分が苔で覆われた庭となっている。禅寺らしく「色気」のない、質実剛健な雰囲気の庭だ。

先ほど観てきた等持院、法金剛院にも庭園があった。庭園の読み解き方が分かると、もっと寺が面白くなるはず。何か適当な本が欲しいなぁ。

 
これが本堂で、廻廊に完全に接続されている。舎利殿のような重厚さもなければ、客殿のような大きさもない。かなり地味な本堂。

内部には、釈迦如来と十大弟子達が中心となって安置されている。十大弟子には、名を説明するような札が付いていないが、釈迦如来の左右の二人はなんとなくアーナンダとマハーカーシャパだろうし、向かって一番左で座して釈迦如来の方を向いているのは実子のラーフラに違いない。これは知恩院や南禅寺三門楼上のラーフラもとっているポーズなのだ。

 
須弥壇前面には獅子の装飾。釈迦を暗示しているのだろう。他に達磨が安置されていた。よく見ると、この達磨は腕がない。お腹に置いた鉢には手が添えられていないのだ。何年も壁面して腕が取れたというエピソードがあるが、その修行を終えた後の姿なのだろうか。

達磨の衣には龍のイラストが描かれている。この龍は三本指。正統な龍である。龍は中国皇帝の象徴であり、三本指の龍を描けるのは皇帝を表すときだけで、他の場合、敬遠して四本指にするのがある種のルール。なかなか挑戦的だ。

自分の他に、一人旅風の男性一人がいた


さて、舎利殿へと侵入。内部はやはり釈迦如来一色。


入ってすぐに涅槃図。舎利(骨)の前に涅槃段階があるのだ、ということだろうか…。涅槃図があれば、猫が居るかどうかを確認してしまう。どうやらここの涅槃図はスタンダードバージョンのようで、猫は描かれていなかった。

なかなか動物が豊富に描かれている。左の緑色の動物はヌエ、もしくはカマイタチ? 想像上の動物まで描かれている。まぁゾウやトラだって時代によっては「想像上」の動物ではあるんだけど…。いつも思うのだが、見たことがないのにもかかわらず描いちゃうというその根性が凄い。

 
舎利殿の中心には仏舎利。四隅を四天王が護っている。仏舎利の上部には龍が描かれた天蓋が下がっている。本堂の達磨の衣と同様三本指。正統な龍だ。釈迦如来の権威を高めている。


四天王はどれもスタンダードで特筆すべきことはない。邪鬼の表情が良かった。

 
舎利殿内部には十六羅漢の像が下がっていた。ヤギやサルなど、動物の描き込みが多い。どれも可愛いぞ。


客殿に掲げられていた鹿王院の扁額。足利義満の筆なのだという。彼ゆかりの金閣も鹿苑寺というし、鹿が好きだったのかな?

あまり期待していなかった分、良かった。見どころも多く、穴場である。


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