山陰九州四国異境巡礼 2004年2月27〜3月5日

11:00頃に仁万駅口に到着、バスを降りた。壁に貼られた「集団密航NO!」というスローガンが、ここは日本海であるということをまざまざと認識させる…。

こんなに早い時間に仁万駅に到着したところで、次の電車は14:00。まだ3時間もある。そこで時間を潰すため仁万駅から次の馬路駅まで歩くつもり。駅間には琴ヶ浜という、鳴き砂で知られる砂浜があるので、そこに立ち寄ろうと思うのだ。

琴ヶ浜周辺

この辺りはやはり「砂」をウリにしているようだが、町なかで見かけた「スナック砂」という店名はどうかと思う…。

仁万駅から少し歩いたところのポプラというコンビニで軽い昼食を購入。ポプラの利用は初めて。以前から知っていたコンビニだが、あくまでマイナーな存在としての認識しかなかった。しかし山陰に入ってから急に多く見かけるようになった。ポプラの弁当には御飯が入っていない。買った時に、ほかほかのコシヒカリを詰めてくれるらしい。ホカ弁の発展形だろうか。しかしこれだと飯時にはレジ前に長蛇の列ができそうだ。

昼食をかき込みながら、琴ヶ浜方面へ歩く。馬路駅までは2kmほど。普通に歩いても30分だから、十分に時間はある。というわけで、寄り道。ポプラを出てすぐのところに、サンドミュージアムという博物館があるので立ち寄ってみる。

大きな荷物を背負い、自転車を降りて階段を登っていく先客がいた。何か自分と同じ臭いを感じた。どう考えても地元の人ではないし、普通のマトモな観光客とも思えない。彼の自転車の後部には保温用のシルバーマットがたたんで積まれていた。

階段を登ったところは公園めいており、椅子とテーブルなどが設置されていた。先客の彼はそこに陣取って休憩している。向こうもこちらを気にしているようだ。おそるおそる声を掛けてみた。やっぱり彼は自転車旅行者だった。訊くと米子から出てきたとのこと。これから山陰を海沿いに西へ向かい、下関で折り返し、山陽を通って中国地方を一周する予定だという。一体何日かかるんだろう。昨日は雨と風が強く、テントの中では大変だったらしい。こういう旅にも憧れているけど、やっぱり大変そうだ。彼の手にはポプラのビニール袋が。中には道路地図。車に気をつけて頑張ってくれ!!


これがサンドミュージアム。あの一番大きな三角の中に、一年を計る砂時計があるらしい。あまりこれといって大した展示物もなさそうだし、700円もかかるというのでパス。


公園の一部には遺跡もあった。これは柚ノ木谷横穴群というらしい。古代のものらしいが、何のために利用されていたのかについては言及がなかった。


横穴群の山に登るための階段。その入口の両脇には怪しげな石像が…。説明によると「ドルハルハン(石のおじいさん)」というらしい。韓国済州島の鎮魂のためのモニュメントだとか。右手が上がってるのは文官、という記述があったが、どちらも右手が挙がってるんだよね…。でも何故済州島の石像がここに?

さてさて、さっきのチャリダーはさっさと西へ向かっていったし、ここに居座ってもあまり快適でないので、自分も出発することにした。なお、サンドミュージアム周辺は町民のための公園になっていて、奥には湯迫温泉という立ち寄り湯もあった模様。入っていけば良かったかなぁ…。


少し歩くとこんな素晴らしい景色が。もう春かー。そういえば明日はもう3月なんだよなぁ。


鳴き砂らーめん…。なんでもやりますなぁ。

歩道の無い国道をずんずん進む。ちょっと危ない。少しずつ上り坂になっている。

道を上りきったところに「琴ヶ浜→」という看板を見つけた。普通の車はあまり通らないようなところを進むと、


切り通し、そしてその先には!海だー!

海が見えてきただけでなんだかさわやかな気分になってくる。とんびも飛んでいて、たまに鳴いてくれるから嬉しい。

漁村の細かい路地をかき分けるように進むと、

 
琴ヶ浜到着ー!海鳥が休憩中だった。彼らに警戒されないよう離れたところから水際へアプローチ。日本海。なかなか雄壮だった。さて、鳴き砂だが…。

鳴き砂は乾いていないと鳴かない。あいにく昨晩は雨が降ってしまい、湿っていた。仕方がない。このまま立ち去るのもつまらないので、鳴き砂を採取。


さっきポプラで買ったお茶のペットボトルに、少量の砂を詰めた(多いと重いから…)。ただ、採取したからといって何の役にもたたないのだが…。砂はかなり細かいと思う。

さて、もう他にすることもない。そろそろ馬路駅に向かいたいのだが、予定外の行動で、地図を用意していないために駅へどう向かったらいいのか分からない。まぁ、とにかく線路をたどっていけば到着できるかもと安易に考えていた。

砂浜を出ると小さな簡易郵便局が。そこには「鳴き砂は地球が何百年という歳月をかけて作り出した芸術品です。茶碗一杯の鳴き砂に耳掻き一杯のチョークの粉を入れただけで鳴りません。」と。デリケートなものなんだなぁ。

さて、馬路駅だがみつからない…。かなり小さな駅らしい。さらに混乱させているのは細かく入り組んでいる道。まっすぐ進むつもりでもいつの間にか曲がっていたり。線路の方へ出て、駅らしいものを遠くに発見。どうにかそこにたどり着こうとしたが、どうにもならない。駅へ到着できる道がなかなか見つからないのだ。

こうして無駄に30分も歩きまわったあげく、ちょっと無茶をして「ここを横断しないで、遮断機のある場所にまわってください JR西日本」という看板が立っているところを横断。見つかってはやばいのでそそくさと駅ホームへ駆け上がった。


これが問題の馬路駅。撮っている場所はちゃんと公式に設けられた駅の通路。到達するのが難しい駅として認定してもいいのでは…。国道からこの駅に来るにはかなり迷うはずだ。

馬路駅は無人駅だが、ちゃんとホーム上には締め切ることができる待合室があった。風が強いのでありがたい。待合室の椅子には綺麗なざぶとんが敷いてあり、地元から愛されているのが感じられる。

さて、時間はまだ12:30を少しまわったところ。ここまでの行程などをメモする時間に充てることにした。ちなみにこんな微妙な時間に待合室に居るのは自分だけだった。

13:00をまわったところでおばさんが入室。メモを終えて、おばさんに話しかけてみた。すると「えっ?日本の方?」と驚かれてしまった…。自分はたまに人から外国人のように見られる。そんなに外国顔かなぁと自分では疑問なのだが…。オランダ人だと固く信じる人が居たり、そうでなくてもハーフだろ、とか。ネパール顔と言われたり。あげくの果てにはモンゴル人から「貴方はモンゴル人よりモンゴル顔をしていますね」と言われてしまったり…。

おばさんからは琴ヶ浜の事についていろいろ話を聞かせて頂いた。朝鮮半島からゴミが流れついて汚くなる、今は寒いから地元の観光協会も掃除をしないんだとか。朝鮮半島からのゴミ。やっぱりここは日本海なんだなぁ。さっきは気づかなかったけど。琴ヶ浜でゴミを観察してみても面白かったんだな。

おばさんはやがてやってきた上りで去ってしまった。あと30分は自分の時間だ。実は今日の予定はこれで終わってしまっている。午後の早い時間だが、後は萩まで列車を乗り継いで行くだけだ。

14:00の下り列車に乗車。車両数は相変わらず少ないが、それでも席に座れるのが恐ろしい。だがそのおかげで車窓をよく見ることができる。


やっぱり山陰はオレンジ色の屋根が多い。なんでだ?
→石州瓦という。石州は石見国のこと。オレンジ色になるのは、宍道で取れる独特の釉薬を使うからだそうだ。しかし宍道は出雲国だが…。


田圃をトタンや網などで囲んでいる。多分猪垣だろう。中国地方は猪による農作物被害が特に多いという。


途中浜田という駅で乗り換え。40分も接続時間があったので駅を出てみると、駅前のからくり時計が15:00の作動時間を迎えていた。

駅前のコンビニでおにぎりを買って小腹を満たす。ただそれだけでは時間は潰れない(自分は立ち読みが苦手だ)。駅周辺には特に見どころが無い様子。そこでキヨスクの新聞に目を付けた。旅行中はどうしても世間の動きに疎くなる。そこで新聞。100円程度で時間がつぶせるならとてもオトクだ。せっかく旅行に出ているのだから全国紙を買っても面白くない。ここでは「山陰中央日報」を買ってみた。

浜田から40分乗って、さらに先の益田で乗り換え。そこから萩までは1時間程度。長丁場。

 
さらに山陰の日本海沿岸を西へ向かって進む。新聞と車窓を交互に見ながら。新聞を隅から隅まで読んで1時間くらい潰せたかな。


もうすぐ萩というところで夕景が撮れた。夕方になって漸く晴れ間が見えてきた。しかし明日もあまり天気がよろしくないらしい…。午前中は萩をレンタサイクルで回るつもりなのに…。

東萩で下車。萩市は萩駅より東萩駅を中心に栄えている。駅から5分ほど歩いたところに今日の宿がある。

萩リバーサイドホテル小川


今回唯一の和室だが、かなり変わった雰囲気…。とりあえず夕食を買ってこよう。フロントでスーパーの場所を聞き出し、買い物へ。近くにローソンはあるが、地方色の出るスーパーのお弁当が食べたい。しかし、15分も歩いたところにあったスーパーにはありふれたお弁当しかなく、しかも高かった…。

また15分ほどかけて戻った…。ちょっと疲れたな。


宿は阿武川沿いに建っている。結構綺麗な夜景を撮ることができた。しかしまだ20:00だというのに、車の往来が…。ちょっと萩やばいぞ。 それでもまぁ、これまで車窓から見てきた山陰の微妙な街と比べれば萩は都会。人口が分散していて、中心となるような都市がないのが、山口県を地味せしめている要素の一つかもしれない…。 宿のテーブルには山口県銘菓と自称する鶏卵せんべいが置いてあった。ありふれた薄いサブレのようなもの。結構おいしかったけど、果たして山口県を代表するお菓子かどうかは疑問だ。聞いたこと無いぞ。

予報を見ると、明日の午前中の降水確率は20%だとか。雨の場合を考えてレンタサイクル以外でまわるプランも考えていたが、自転車で大丈夫みたいだ。


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