甲陽巡覧 2006年7月8〜9日

6月の中旬頃からなんだか疲れてしまって、温泉宿に一人で一泊してゆっくりする、という旅をしてみたくなった。しかし、なかなか行き先や宿が決まらず、そうこうしているうちに7月になってしまった。

都会の喧噪から離れられること(かつあまり遠くないこと)、和風旅館であること、温泉であること、露天風呂があること、24時間入浴が可能であること、食事が部屋出しであること。これらが宿の最低条件だった。夜中にむくりと起きだし、独り占め状態で露天風呂にのんびり浸かる、というのをやりたかったのだ。

ただし上記の条件を全て満たそうとすると、かなりの出費を覚悟しなくてはならない。なかなか行き先や宿が決まらなかった最大の原因はこれだった(仕事で疲れ、調べることもままならなかった、というのもあるけど)。

なんとかそれらの条件を満たしうる諏訪湖畔の宿を見つけ出した。宿泊日一週間前になってようやく予約をすませた。

当初は遅く東京を出て、諏訪湖のほとりでぼーっとし、ゆったりチェックイン、という計画だったが、いつもの悪い癖が出てしまい、大幅に計画は変更された。適当な山梨の諸物件をいろいろ見て回ってから諏訪湖に向かうという、結局はいつもの旅のスタイルになってしまったのだ。

まぁしばらくぶりの一人旅だし、好きに動き回ろうと思う。

ゆったり一人旅、なんて言ってたのに、会社に行くよりも早い時間に起床。新宿でスーパーあずさ5号に乗り換えるのだが、新宿の中央線特急発車ホームはやたら遠く、走るはめになった。ホームに到着し、急いで弁当とお茶を買って乗車したらすぐに発車してしまった。いったい、ゆったり一人旅はどこに行ったんだ?

思いがけず朝一番で運動してしまった。あさりごはん弁当を食べて落ち着くと、いつの間にか一時間ほど寝てしまった。

窓の外はぶどう畑。まさしく山梨だ。南アルプスというくらいだから、東京より涼しいんだろうなぁ、と呑気に思っていた。

ほどなくして甲府に到着。あまり降りる人はいなかった。みんな終点の松本まで行くんだろうか。

とりあえずコインロッカーに荷物を預け、軽装で出る。駅内の観光協会ブースで市内の観光マップをゲット。観光ガイドは、結局地図付きで紹介しているものが一番使い勝手が良い。

駅の外へ。暑い…。東京とあまり変わらないじゃないか。

まずは昇仙峡行きのバスに乗車。自分の他に5,6人ほど乗ったと思うが、ほとんど市街地で降りてしまい、昇仙峡に向かうのは自分と初老の男だけになった。初老の男はバスの運転手と親しく話していて、バス会社関係者なのかもしれず、そうだとしたら、乗客はまさに自分一人だけということになる。

かつては有料道路だったという昇仙峡グリーンラインを通ってバスは昇仙峡に到着。昇仙峡にはそこそこの観光客がいた。ふつうは自家用車で来るんだね。

売店では、山梨らしく巨峰ソフトが販売されていた。これから寺院に向かうので、ここで買うわけにはいかない。とりあえず帰りに食べることにして、さっそく渓谷の方へ。

 
とりあえず、昇仙峡。ここよりももっと見応えのあるところはあるんだろうけど、全てを見ようと思うと一日費やしてしまうので「とりあえず」。

数km上流の方へ向かえば、仙娥滝という滝があるそうだが、この暑いなか昇り坂を数km歩くのはイヤなので、目当ての羅漢寺を観たら早々に引き揚げてしまおうと思う。


羅漢寺橋。羅漢寺側から撮ったもの。


そんなに「渓谷」っていう感じじゃないけど、観ているだけで涼しげで気持ちがいい。


さて、これが羅漢寺の羅漢堂。仏堂という感じがしない。屋根の傾斜が独特なのは、雪が多く降るからなのだろうか。

  
内部はこんな感じ。一番単純なひな壇式だった。羅漢像はかなり小振りで、あまり表情を読み取れない。これといった特徴の思いつかない羅漢像だ。中央の釈迦如来の脇侍になっているのは、たぶんカーシャパとアーナンダだろう。それ以外はどれが誰なのか比定不可能。

内部もなんだか山小屋みたいな作り。


何故か尼僧のような羅漢もいた。

さて、このままバス停に向かってもいいが、バスの時間まで少し余裕があるので、昇仙峡マップに書いてあった「石門」というのを観に行ってみる。掲載されている写真によれば、岩がせりだし、まさに天然のゲートになっているのだ。

しかし行けども行けども見えず…。所詮はイラストマップ、縮尺はいい加減なんだろうな。バスを逃してはまずいので、「石門」は諦める。

 
途中、廃墟を発見。やたらとでかい看板に、やたらとでかい筆文字で「観光の思い出に是非宝石洞窟をご高覧くださいますようお願い申し上げます」というやたらと古めかしい文句が書かれてあった。その看板の先にあったのが、上の写真で撮した廃墟。

このあたりの山では「水晶が取れる」ということで、この手の観光博物館が他にもいくつかあったりする。ただし、どれも訪れる人は少ないようで、このように既に廃業してしまっている例も。人々の楽しみが多様化している現在、こうした観光資源では集客力不足なのだろう。


「石門」ではないが、それっぽいトンネルがあった。


バス停へ戻り、巨峰ソフトを。


バスの発車前に、とりあえず昇仙峡の先の覚円峰を撮っておく。あの先に仙娥滝があるそうだ。バスには、行きにも乗っていた初老の男がいた。「どうだった? 滝観たかい?」とあまり聞いてほしくないことを聞かれた。「滝観なきゃだめだよ」と突っ込まれてしまった。ちょっとうっとうしい…。初老の男は話し好きのようで、市内までずっと話相手をすることになってしまった。

このあたりは松茸がとれるということ、甲府は盆地で暑いということ、水晶は実はもう取れなくなってしまったということ、などなどを話してくれた。

甲府駅までは戻らず、途中のバス停で降車。


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