京都異境巡礼 2003年7月27日〜8月2日

万福寺

ここ万福寺は中国風味全開の黄檗宗大本山。明より政治亡命した隠元が伝えた新しい禅宗だ。だから至るところで中国の伝統が発揮されており、漢字の読み方さえ唐音だ。またその禅風も日本の禅とは一風変わり、念仏なども行う。政治的配慮からだと思うが、徳川幕府からは特別の保護を受けている。ま、一言で言えばいろいろ変わっていて楽しい宗派、ということになる。

ここには高校の修学旅行で一度訪問している。その時は中国への興味があっただけで、仏教に関する知識など皆無に等しく、もう一度訪問する必要があると思っていた。


これが万福寺の総門。わかりやすく言えば実際の入り口ということになる。入り口で既にチャイナの臭いがしてきた。

 
はい、三門です。いわずもがな山廊が付いており、登楼が可能。過去に楼上が公開されたかどうかは未調査。ただ、楼上には仏像などは安置されていないとのこと。ここの三門は門としての機能を持っていて、これをくぐらないと境内の中心部に入れません。城壁のように境内が囲まれているのです。

また、禅宗伽藍の一つの特徴なのだが、総門と三門が一直線に並んでいません。総門と三門を繋ぐ道は途中で折れます。何故なのかはまだまだ勉強不足ですが、なんだかその方が格好いいですな。


三門をくぐった先、正面に見えるのが天王殿です。日本の伝統的禅宗伽藍にはないお堂。飛び石が菱型をしているのが格好いいです。さて、この天王殿に何が安置されているのかというと…

布袋?いえいえ、弥勒菩薩です。中国では弥勒菩薩は布袋スタイルなのだとか。ゴールデンなのが中国全開!てな感じです。なんだか笑い気味ですし。

 
そしてその肥満型弥勒菩薩を囲むように安置されているのが四天王。


弥勒菩薩の真後ろには北向きにスカンダが控えていた。まあ、韋駄天のことです。須ノ陀天と音訳されたが、「須」が落ち、さらに「ノ」の手扁とにょうが取れた形が「韋」と混同されてしまい、「韋駄天」となった…という説をどこかで聞いたことがあります。彼は別名カルッティケーヤともいい、シヴァの息子さんです。めちゃくちゃに早い、いや速いです。

さて、天王殿以降は全ての堂宇が回廊で繋がっています。どちらからでもいいのですが、右回りに巡ってみることにします。


寿塔という八角のお堂がありました。他のお寺でいう宝塔といったところでしょうか。壁で周囲を囲まれています。


これは開山堂から撮影したもの。卍型の欄干が黄檗宗の堂の特徴です。緑色は蓮の葉。ちなみに右には工事中の目隠しシートが張り巡らされていましたので、それが入らないようにこういう中途半端な位置から撮影したのです。


回廊には燈籠がつり下げられていて、雰囲気は抜群。ちょっとした階段があるのもポイント高し。


祖師堂に祀られているのは、当然ボディ・ダルマです。祖師堂の先、拝観客には到達できないようになっているお堂からお経を読み上げる声が聞こえました。何を言っているのか気になりましたが、当然分かるわけもありません。呉音ならともかく、唐音は分からない…。

 
次は大雄宝殿。いわゆる本堂、本尊が安置されているお堂です。禅宗なので、やっぱり釈迦如来とカーシャパ、アーナンダが中心に安置されています。そして、その周りには…
 
十六の羅漢像です。大分大きいですな。十八羅漢が安置されている、というので中央のカーシャパとアーナンダも計上しているのでしょう。

 
逆光できれいに撮れませんでしたが、ラーフラです。さすが、お腹を割いています。高校の時もこの羅漢像を見たけど、こいつには何故か気が付かなかったなぁ。いくら興味のない高校生でもこんなに奇抜なスタイルの像には注目すると思うのだが…。本当に興味無かったんだな。高校の時も羅漢像は写真に撮っているが、そのときは音訳漢字大好き人間だったため、やけに仰々しい名前の羅漢のみに注目していたのだと思う…。


こちらの羅漢の持つ巻物は木製ではなく、ちゃんと本物です。実際に巻物を持てるように造ったというのが凄い。


こちらは先ほどのラーフラの背中。面白い構図ですな。


こちらは法堂。内部には入れませんが、こちらの欄干も卍型です。


この魚板も黄檗宗のエッセンスの一つ。今にも出そうで出ない玉をくわえているのが特徴です。


これは境内西にある鐘楼。天守閣のようです。

全ての堂宇が回廊で有機的に連絡しているのがとても格好いい!統一感のあるお寺は大好き。万福寺の伽藍配置は龍の形をしているという。実は総門前の左右には龍目井という井戸めいたものがある。伽藍配置をどうみても龍の形には見えないが、見立てて設計したということは事実のようだ。日本禅宗伽藍では人間の体に見立てているが、こちらは龍。さすが中国です。

まだ二度目だけど、何度来てもいいお寺だと思う。格好いいです。

万福寺を出たところで、いい加減病院に行くことを決意、黄檗駅から六地蔵駅へ行き、六地蔵総合病院で診察を受けることにした。受付で事情を話したところ、やっぱり耳鼻科になるらしい。待合室では、母親に連れられ耳鼻科に来た5才くらいの男の子が泣いていた。どうやら診察が怖いらしい。僕もこの子の頃、中耳炎で耳鼻科に通ったことがある。風邪の診察なら子供でもどんな診察をするのか予測できても、耳では不可能だ。不安になるのは分かる。今の僕ののどのつかえだって怖い。男の子の泣き声を聞いているうちに、こっちまでなんだか辛くなってきた。ついさっき電車であんな死ぬ思いをしたのだ。しかも一人、遠い地で。とても心細い。

診察では鼻からカメラを入れられ、のどを看ていただいた。何も異常はないとのこと。…へ?何もないの?じゃあ、実際に僕が感じているつかえは何?「疲れとか影響してますか?」と聞くと、ストレスで異常を訴えることもあるのだという。心因性の喉頭異常なのかもしれないとのこと。そこで一番弱い精神安定剤を頂くことになった。過呼吸に陥ったことを伝えると、過呼吸になってしまうのは仕方ないけど、その対処法さえ知っておけば大丈夫とのこと。第一、心因性なのだから「大丈夫だ」という意識を持っていれば正常に戻るのだ。

まずは一安心。あとは財布の心配だ。とりあえず17000円ほどはあるが、それ以上だとやばい。会計では15000円以上も請求された…。旅行で来ている旨、事情を説明すると、とりあえず三割負担で再計算する、後で保険証のコピーを送ってくれればいい、とのこと。よかった…。それでも3500円の出費はイタイ。今後二度と使わないであろう診察券と薬を受け取って出る。

とりあえず、過呼吸に陥らなければ大丈夫だと思うので、旅を続けることにした。次の訪問先に向かうため、六地蔵駅から京都駅へ移動。


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