京都異境巡礼 2003年7月27日〜8月2日

7月27日

今回もやはり出発は夜になってから。夕食を済ませ、風呂に入り支度をすると20:30。近所のバス停で21:00発の土浦駅行きに乗る。半袖一枚では少し寒さを覚える。実はまだ関東では梅雨明けしていない。既に梅雨明けしている京都に合わせた格好なのだが、冷房が効いているであろう夜行では大丈夫だろうかと少し不安になる。

一時間ほどかけて上野駅に22:50頃到着。23:33発の急行「能登」という金沢行きの夜行に乗ることになる。この電車はとてもシブい。今時こんなのあるか!というくらい前時代的なスタイル。昭和30年代に走っていた路線バスのボンネットのような頭を持つ。というか急行というだけで既にシブいぞ。また同じような時間帯に同じ上野〜金沢間を走る特急「北陸」なる夜行寝台列車があり、その電車一つで間に合う筈なのだが…。中途半端すぎる。それに普通西日本を目指す人は、この時期であればおなじみの「ムーンライトながら」に乗る筈で、好きこのんでこんな中途半端な電車に乗る人など珍しいといっていいだろう。ええ、自分もその一人です。まあ、この電車に乗るメリットは、料金(急行券や特急券の値段のこと)が安いということだろうか。急行券は101km以上は1260円になっているので、遠距離であればあるほどお得なわけです。それに、この夜行の車内灯がかなり暗くなることもメリットの一つだと思います。それと、あまりめでたいことではないのですが、存在が中途半端すぎて利用者が少ないというのもメリットだと思います…。

能登の発車20分くらい前に、隣りのホームから寝台列車である北陸が発車した。いつかは横になれる寝台列車に乗ってみたいなぁ。寝付きの悪い僕でもなんとか眠れそうだ。

急行は乗車券の他に急行券が必要だが、特急より安いので、この能登を帰宅する際に使うサラリーマンも居る(定期券+急行券で乗れる)という情報を事前に得ていた。そういうわけで自由席は混雑することを察知、今回指定席を取っておいた。窓側の席。通路側の隣りの席には大宮を過ぎても誰も乗って来ない。高崎を過ぎても乗って来ないので、遠慮なく二席を独り占めさせてもらった。高崎を出ると車内アナウンスも無くなり、また車内もかなり暗くなった。他の席を見ても、二席に二人が座っているのは皆無。指定席の埋まり方というのは、端から一人ずつ埋まるように指定席券が発券されるのではなく、実はどの車両もまんべんなく人が入るように発券されている。従って、乗客が少なければ一人で二席を独り占めすることが可能なのだ。高崎から先は、二席のスペースを使い、横になることができた。途中、湯桧曽という駅のホームはトンネルの中にあることが判明。また越後湯沢を過ぎたところで登りの能登とすれ違った。

ようやく二時過ぎ頃に眠ることができたのだが、四時過ぎ、後ろの爺様のシェーバー音で起こされてしまった。こんな朝早く迷惑です!寝付きの悪い僕は、これでもう眠ることができなくなってしまった。年寄りが寝ていられないのは分かるが、周りの事も考えてください!自分一人で乗っているわけでないのだ!

目を覚ますと座席の向きが進行方向と逆になっていた。長岡からは進行方向が変わるのだ。日本海が見えてきた。どうやら親不知の辺りを走っているようだ。既に日が昇っている。

富山県に入ると停車駅が増え、下車客も増えてくる。ほとんど若い女性なのが謎。しかもどの子も「MIJ」と書かれた赤と白の紙袋を携えている。後で気が付いたことだが、多分この子たちは東京でSMAPのライブを見てきたのだと思う。最近彼らはMIJというアルバムを出したらしいのだ。北陸の若い子たちにもこんなシブい電車が知れわたっていて、東京へのアクセスに使っているというのが驚きだった。この辺だったら大阪に出たほうが早いと思うのだが…。

富山駅からは車内の灯りが戻り、またアナウンスも再開される。それでもまだ朝の5:30だ。

6:30頃、やっと終点の金沢に到着。ここで7:00頃に出る特急サンダーバードに乗り換えて京都入りする。30分ほど時間があるので一旦改札を出て、朝食を求める。目当ては名物駅弁「加賀牛肉弁当」だが、生憎どの店舗もまだ開店していなかった。仕方がないので混雑する駅コンビニで「鮭わっぱ」を買って、特急に乗り込む。

北陸は特急だらけの地域だ。普通より特急の方がはるかに多く出ている。18きっぷユーザーには不利。今回使う「サンダーバード」の他に「雷鳥」なる特急も走っている。ネーミングが謎だ。雷鳥を英直訳したのがサンダーバードか?平塚サンダーバード(らいてふ)。

隣りの座席のサラリーマン風のおやじがおもむろに携帯で話しはじめた。すかさず「デッキでお願いします!」と注意するも無視される。おやじの肩を思い切り叩いてもう一度。しつこいと思ったのか、おやじはこちらを見て手をかざす。すぐに通話は終わったが、「すみません」の一言も無いのが腹立つ。居心地が悪くなったのか、このおやじはどこかに行ってしまった。さっさと自由席にでも行ってしまえ!愛煙家もそうだが、自分たちの立場を弱くするようなことを自分でやるからますます肩身が狭くなることを携帯ユーザーは知らない。自分も携帯ユーザーだが、こういう馬鹿どものせいで肩身が狭くなるのがいやだ。どこかへ行ってしまったと思ったおやじは四席ほど前の席に陣取っていた。ふとおやじは振り向きこちらをにらみはじめる。…子供か、おまえは。当然にらみ返す。おやじが視線を逸らすまでにらみ続ける。圧倒的におまえの方が不利なのだぞ。途中福井駅で沢山の客が乗り込んできた。さあ、どうする?おまえの席は僕の隣りにしかないぞ。駅に到着する度におやじはウロウロ。さっさと自由席にでも行ってしまえ!いつも思うのだが、中年の方が若者よりマナーが悪い。「最近の若者は…」と言う前に自分を見ろ!

福井駅で乗り込んで来た乗客には家族連れが多い。この電車の終点、大阪にでも遊びに行くのだろうか。子供は父親と駅弁をほおばっている。電車で家族旅行、僕には無かったなぁ。いつも車だった。あこがれの一つだ。

このサンダーバードは琵琶湖の西、湖西線を走る。初めて通る路線だ。琵琶湖を見るためにわざわざ湖側の席を指定したのだ。海かと思うほど大きい。さすが日本一大きい琵琶湖だ。琵琶湖に浮かぶ最大の島、竹生島も見えた。ここには西国三十三ヶ寺の一つ、三十番宝厳寺がある。懸け造りのお堂があるというので、いつか是非訪問したいと思っている。

ちょっと心配なのが天気。滋賀県では降水確率50%の微妙な予報。所々小雨が降っている。京都では大丈夫だろうか。初日が雨ってイヤだ。

湖西線は高架なので景色が良くみえる。山側でも比叡山が見える。車窓がすばらしい路線だ。大津を過ぎるとようやく京都に到着だ。9:00。自宅を出てから12時間過ぎていた。


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