近江京師巡礼 2007年8月11〜14日

さて、河瀬駅からは安土へ。10分のわずかな移動。興味はあれどいつも通過してしまうこの地、今回初めて降り立つ。

安土ではレンタサイクルで桑実寺まで行くのが一番の目的。ただし、これからの予定を勘案するとわずか43分しか滞在できないため、駅を出たところで急いでレンタサイクルを借り出した。


安土駅前には、かつて存在していた安土城天守を模したような建物が。かなり不気味なデザイン。現代人が安土城の復元図を観ると、同様に不気味に感じるが、ひょっとすると当時の人間にとってはそうは見えていなかったのかもしれない。

内部は観光案内所となっているらしい。


さて、桑実寺は駅の裏側に位置するため、地下通路を使う。上の画像に映っているのが、地下通路の入り口だ。なんと奇抜な。このように安土駅前は異様なスポットとなってている。ただし少しばかり離れるとすぐに普通の住宅地や田園が広がるというまともな町並みを備えている。

もはや織田信長の安土とはつながりが切れているのだ。連続しているものは何もない。

さて、地図を片手に桑実寺まで一目散。広がる田園を抜けて、山へと向かうと桑実寺入口が現れた。山の上にあるということは地図で確認していた。地図上では近くまで自転車で行けそうな感じがしていたのだが、実際には階段があり、つまりは徒歩でしかアクセスできないということになる。

とすれば、地図の通りにはいかない。実際看板には「寺までは徒歩で分」とあり、今回のスケジュールでは全く無理ということになった。

潔く諦め、優先度を低く設定していた他の物件を見て行こう。


桑実寺から少し戻ったところには、信長の館があり、天守内部が再現されているとか。博物館風なたたずまいであり、時間がないため今回はパス。

建物が六角形になっているのは、安土城の天守が六角堂の形をしていたからだ。しかもこの六角堂、二層であり、しかも上階にはしっかりと床がある。

先月、彦根城の天守に上ったが、中は殺風景で、矢や銃で外を狙えるような小窓が付いていたりと、居住空間では決してなく、砦としての性質しか持っていない。その構造に比べると、安土城天守の非常識さが分かる。城砦建築の上にどんと二層の六角堂が載っているのである。とんでもない建築だ。

しかも内部には儒教や仏教などの教条に沿って狩野派が描いたという壁画があったのだとか。その時点で既に他の城とは観念レベルで違っている。

六角堂が意味するものは何か。それは円である。筒のような建築は難しいため、六角にしたり八角にして、円に近似させるのだが、その指向は円に向かっている。円をサンスクリットではマンダラという。そしてこのマンダラという言葉は完全をも意味する。円こそ完全の象徴なのだ。

信長はこの奇抜な天守を以て、完全性を自認したかったのだろう。


信長の館の隣には、文芸セミナリヨと呼ばれている安土町の文化会館のようなものが建っている。安土時代にこのあたりに建てられたセミナリヨからインスピレーションを受けて建てたのだろう。セミナリヨとはイタリア語。英語でセミナー、ドイツ語でゼミナール、フランス語でセミネール。講座、すなわち当時のミッションスクールのような役割を持っていたらしい。


怪しげな建築。なんだろう? すっごい気になるけど、時間のほうが気になる…。


安土城考古博物館。かなり気になる。このあたりはもうちょっと時間的に余裕のあるときに再訪したい。

浄厳院

 
大きすぎて全てを撮りきれない本堂。典型的な浄土宗の建築。安土城と合わせて建築されたらしい。ただし、本堂は近江八幡からの移築とか。


時間を気にしながら撮ったので、何のお堂か不明。

 
案内には不動堂とあるが、内部には阿弥陀如来と思しき像しかない。移築前は天台宗だったらしいから、本尊が挿げ替えられ、堂宇の名前だけが残っているのだろうか。説明用の看板には、本尊についての言及がない。


楼門。大した情報なし。

浄厳院といえば安土宗論の説明しかなく、大した調査もできずに駅へもどる。かなりかつかつだ。


何でもない町並みの中に蔵などあり、往時を伝える。ただし遡れても江戸時代だろう。安土時代に行きつくためのてがかりは、安土城の焼失によって既に全て失われているのだ。


マンホールには永楽通宝とある。明朝の永楽帝の時代に鋳造された銅銭のこと。明朝内部では公式には銭の流通が禁止されていたから、日本で流通していたとか。米ドルがアメリカ以外の国で流通している(信用されている)ようなものか。江戸初期まで通用していたというから、安土時代の象徴としてマンホールに刻まれているのかもしれない。


なんと飛び出しお嬢が二体。

たった40分ほどの安土滞在ははっきり言って失敗だった。電車にはぎりぎりで間に合ったが、大分疲れてしまった。

安土からは能登川へ。

 
能登川駅前にはなぜか水車が。

ここ能登川からはバスで次の訪問先石馬寺まで行く。

バスが出るまで少々時間が開いたので、コンビニに立ち寄った。外はかなりの猛暑になっていた。ドリンクと少々の食糧を買って、バスの出発を待つ。この旅が始まってからまともな休憩時間はこれが初めてだ。


さて、乗車したバスにはレトロチックなデジタル表示の時計があった。しかしそこには乗客のはからいなのか分らないが、たくさんのハートマークのシールが貼られている。


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