日光には東照宮や輪王寺などの「世界遺産」があるが、あまり自分の興味を惹くような物件ではないと思っていたので、今回は単に避暑という名目でふらふらと歩くつもりで訪問したのだが、自分の興味関心の変化に伴っていくつかの新たな発見があったので、小訪問記をしたためることにした。
日光には浅草から快速でも2時間で行ける(東武鉄道には特急もあるが、さほど差がない)。会社に行くときより早起き。駅弁(深川めし)を買って乗り込む。
乗車1時間でもう長閑な田園風景が広がってくる。故郷の風景。懐かしい…。やっぱり落ち着きますな。ふと帰省してみようかな、なんて思ってしまった。
東武日光駅から徒歩で東照宮へ。バスもあるが、5年ぶりの日光を歩いてみたい。
土日なのに車の通行量が少ない…。5年前も駅から東照宮まで徒歩で行ったが、バスに乗ると渋滞にはまってしまい、結局徒歩のほうが早いという判断に基づく行動だった。5年のうちにこんなに日光はさびれてしまったのか?確かにもはや「市」とは呼べないほど人口が減少しているとは訊くが…。
5年前は東照宮にほど近い「ホテル福田屋」に宿泊したのだが、その宿も廃業してしまっていた…。なんだか寂しいなぁ。取り壊されないまま廃業している土産物屋もたくさん見かける。「観光」というものが既に終焉を迎えているように感じた。
金谷ホテル前のお土産屋兼食事処。5年前はここで昼ご飯を摂って東照宮に行った。パン屋もある。軒先には籠を模した電話ボックスも。
最近ようやく修理が終わった神橋。期間限定で橋の下で構造を見学できるというが、それほど興味もないのでスルー。
大谷川。きれいだ。見ているだけで涼しくなる。冷たそうだ。
左から馬頭観音、阿弥陀如来、千手観音。ここの仏像はあまり自分好みではない。
今回、阿弥陀の光背に飛天を発見した(右写真)。分かりづらいが、羽があり、笛を吹いてこちらを見ている。左写真は馬頭観音の頭上に載っている馬。
三仏エリアを過ぎると諸々の仏像。ここの不動明王像も炎が三次元で表現されている。炎の陰に不動の顔。
毘沙門天。やっぱり邪鬼がいい。体のプロポーションが毘沙門とは大きく異なる。頭が異常にでかくて愛嬌たっぷりだ。表情に余裕がある。
釈迦如来像? だったかな…。印に注目。さわりまくられて手前のパーツがそっくり取れてしまっていた。
このあと何故か寺務員が突然護摩堂に案内しはじめた。聞いているとお祓いの営業だった…。ここに限らず輪王寺&東照宮の人々は解説を始めるも、いつのまにか営業で終わる。なんだかしらけてしまうのだ。
他の客と一緒になって寺務員の解説(営業)を聞く必要は全くないので勝手に護摩堂へと進んだが、しつこく目で追いかけてくる。面倒なので終始無視だ。
護摩堂内には五大明王像がある。だが結構距離があるのであまりよく分からない。見学していると「どうぞ座ってください」と声をかけられた。しつこすぎる。無視して早々に出た。
夜叉門は四体の夜叉が安置されていることからこう呼ばれるのだが、この夜叉が印象深かった。門に安置される仏像といえばだいたい仁王か、風神・雷神か、四天王、あるいはまれに毘沙門天や韋駄天だったりするのだが、ここは夜叉である。そもそも夜叉は悪魔のことだ。どういうことなのだろう。
まず夜叉門正面右には、緑の肌の阿跋摩羅(アパスマーラ)。門をくぐろうとする者をチェックをするかのような鋭い眼光。こっち見てるよ…。こえー。眉毛繋がってます…。こえー。
装備品チェック。腰巻きにはなんと青白い虎の皮。虎の頭までちゃんと分かるようになっている。
夜叉門正面左は、赤い肌の毘陀羅(ヴェータラ)。幽鬼とか屍鬼とかの類。牙が上に向かって生えてます…。こえー。
装備品チェック。膝当てに正体不明の動物が。なまず…?さっきのアパスマーラは裸足だったけど、ヴェータラは靴を履いてます。
夜叉門背面右は、白い肌の【牛建】陀羅。キンナラ?あるいはスカンダ?サンスクリットで何というのか比定できなかった。牙が上に向かって生えてます…。こえー。
装備品チェック。裸足ではないけど、なんかの動物の皮を使ったワイルドな靴でした。夜叉たちの土台にはあざやかな柄が描かれている。水しぶき?
そして最後、夜叉門背面左は、青い肌の烏摩勒伽(ウマーラカ)。牙が下を向いている。肌が青いだけに幾分不動明王に似ている。
注目すべきは膝当て。ゾウです!膝にゾウといえば深沙大将。そういえば勝道は、深沙大将に助けてもらって日光を開山したんだっけ。この類似はどうなんだろう。そしてこのウマーラカ、右写真で分かる通り、こっそりと腰に虎の毛皮を巻いてます。ともかく、ゾウを膝当てにするのだから、相当でかい鬼神、ということなんでしょうな。
これらの四夜叉の人選がちょっと不明。少し調べたところでは、蓮華経の陀羅尼品に登場する夜叉のようだが、【牛建】陀羅だけが見えない。これらの夜叉たちは蓮華経を護持するものを保護する鬼神なのだという。護法神というところか。ただ、かなりマニアックなセレクトだと思う。他に作例はあるのだろうか…。これらの夜叉たちのディティールは何に倣ったのだろう。
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