塩船観音寺
塩船観音寺はずっと訪問したいと思っていた寺院。やっと念願かなった。 ここには二十八部衆が安置されているということで、気になっていたのだった。 さて、山門はちょっと頭でっかちの茅葺き。東京都にこういう山門があることが驚きだ。 額には「大悲山」とあり、まさに観音菩薩を本尊とする寺院であることを示している(観音菩薩の居する場を「大悲閣」というからだ)。「悲」とは「痛み、辛さを同じくする」という意味。 |
境内図。 見て分かるとおり、塩船観音寺は、一般的には二十八部衆よりつつじの寺として有名だ。 今はさすがにまだつつじは咲いていないため、人はまばら。 まんじまるさんに拠ると、つつじの季節になると人でごった返し、しかも普段 |
山門は仁王門だった。観音菩薩が本尊ということで、風神・雷神かと思ったが…。
山門を抜けるとすぐ阿弥陀堂。天井がなく、屋根が竹で組まれている様子が見えて面白い。抜けがよくて広く感じる。内部は非常にシンプルな堂宇だった。垂れ幕が神社だったり、奈良の古刹のような雰囲気。
外からでも竹で組まれているのが分かる。 茅葺きの上には、銅板が重ねられている。 |
本堂の手前にはまた茅葺きの堂宇。阿弥陀堂より少し小振りだが、薬師堂。 |
薬師堂も、阿弥陀堂と同様に天井がなく、竹で組まれていた。薬師堂内もシンプル。十二神将どころか脇侍さえいない。
いよいよ本堂。
これも茅葺き。質素だが立派な本堂だ。東京都に残っているのが信じられない。先ほどの吉野家のような屋敷が残っていることから、この辺りは空襲の被害が無かったのだろう。
内陣・外陣に別れている。当然二十八部衆は内陣にいる。
まずは中央の千手観音を見て自分をじらす。立派な厨子が中央にあり、秘仏である千手観音が収められている。厨子はそこそこ立派。欄間が繊細、豪華だが品のある絵。そして前立が一体。
そして…。
さてさて、二十八部衆! 左右に風神、雷神が据えられている。それ以外に二十八体あるはずなのだが、…数えてみると二十六体しかない。千手観音の両脇にある不動明王や毘沙門天の裏に隠れているのもしっかり数えても、それでも二十六体だ。ちなみに不動明王と毘沙門天は二十八部衆にカウントしない。
で、訪問後にまんじまるさんから「ところで先日訪問した塩船観音寺の二十八部衆、調べてみましたら二体足りないのは仁王二体でしたね。もしかすると意識的に仁王門の仁王とかぶらないように 仁王を作らず、本堂の二十六体&仁王門の仁王をカウントして二十八部衆というようにしてあるのかもしれませんね。(同時期に製作したのかも?) 」というご指摘を頂いた。かなり興味深い考察だ。もしそうだとすれば、境内全体で「二十八部衆曼荼羅」が組まれているということになる。
さて、やっぱり気になるのはサンジュニャーナ(散脂大将)。 四天王や十二神将のようにフォルムが似通っている「戦隊」も統一感・シンメトリーがあって好きだが、二十八部衆のように、てんでばらばらなグループも大好きだ。それぞれが強烈な個性を放っている。 そんな個性派揃いの中で最も強烈なのがサンジュニャーナなのだ。顔が中央からまっぷたつに割れていて、新しい顔が中から出ているというとんでもない像だ。 ここのサンジュニャーナがこれまでに見たもので最も顔の割れっぷりが凄かった。 二十八部衆といえば三十三間堂だが、そこのサンジュニャーナよりずっと「割れた」感が凄い。 |
風神の口が面白い。牙が上を向いていて猪のようだった。なんと鎧をまとっている。 三十三間堂のそれと比べると、口がより出っ張っている。サンジュニャーナもそうだが、全体的により誇張されていると思う。それが面白い。 |
不動明王の裏に隠れていたのはヴァス(婆須仙人)だった。こいつも二十八部衆の中でも綺羅星の存在。ガリンガリンのおじいちゃんなのだが、何か芯に秘めた強さを持っているような感じがする。誰も侵せないものを持っているような雰囲気。 |
上の段左はガルーダ。くちばしがある以外は人の顔だった。 手前中央はマハーマユリ(金色孔雀王)か。孔雀明王と同じものかと思うが、何故か頭上にゾウが乗っている。三十三間堂のそれと比べるとゾウの頭が大きい。というより、ゾウがマハーマユリの兜のようになっていた。かぶりもの。 |
塩船観音寺の絵馬は千手観音と脇侍の毘沙門天、不動明王。 この組み合わせは面白い。阿弥陀と毘沙門・不動は見かけるのだが…。 |
鐘楼も茅葺きだった。これは下から撮ったものだが、最初は本堂前から撮ろうとしていた。 フレームに収めたくて、デジカメのモニターを見ながら足を退いていたら、雨水を溜めている穴に片足の膝下までずぼっと入ってしまった…。 靴の中は砂だらけ…。トイレで靴を丸洗い。水は切ったが、それでもびしょびしょ…。今日は暖かいからすぐ乾くと思うけど…。 うー、後方不注意だ。でもあの穴、なんで蓋がなかったんだろう…。 |
護摩堂に足を踏み入れた…。自分の足跡が残ってしまった…。 (そうか、落とした足は右足だったか…) |
よく水は切ったつもりだったが、まんじまるさんの車にぬれた靴を入れるのが忍びなかった…。すみませんでした。