威光寺弁天洞窟(東京都稲城市)

威光寺はよみうりランド駅から歩いて5分足らずの所にある。近所には梨園もあり、新宿から30分とは思えない光景が広がっている。

境内に入ると白い観世音菩薩像が迎える。寺務所の受付で入洞料300円を支払うと、弁天洞窟オリジナルマッチと、竹片の先に小さい蝋燭を取り付けただけという非常に貧相な照明器具を受け取って入洞する。


洞窟の前にはこの橋を亘ることになる。小さいけど、結構絵になる風景だ。


洞窟の入り口。竹の生える小高い丘の下に位置している。


入り口脇にはこのような看板があって、「由緒ある」洞窟であることを主張している。ところで、鳥居龍蔵は人類学者じゃなかったか?


そして、このマップ。結構重要なのだ。というのも、洞窟内は本当に真っ暗だから。内部には照明など一切なく、少し入っただけで外の光が差し込まなくなる。マップを見れば分かる通り、確信犯的な構造。洞窟に入ると、外の光を遮断するようにすぐにカーブしているのだ。

またループは迷い易い構造だ。次にどちらへ向かえばいいのかすぐに分からなくなる。視界が無ければ目印など作れないので、なおさら分からない。

大黒天は階段を登った所に位置している。この洞窟は三次元的な拡がりをも持っているのだ。

赤い文字は消えかかって読みづらい。補足する。宇賀神の背後には大黒天。大黒天の前に並ぶのは十五童子。中央の三体の仏は、左から文殊菩薩、弁財天、毘沙門天。マップ上部の二体は両部大日如来。どちらが胎蔵界でどちらが金剛界なのかは不明。マップを見れば分かるとおり、二匹の巨大白蛇が壁に描かれている。

これらの神仏は、多分金属神として統一されていると思う。

白蛇→サンスクリットで白蛇はウガヤ。日本に伝わって稲荷信仰の対象である宇賀神(宇賀魂命)となる。
宇賀神→とぐろを巻いた蛇として描かれる稲荷神。蛇は金属と関係がある。
大黒天→もとは額に一つ目を持つシヴァ。日本に伝わると、神道の片目神と結びつき、金属神としての顔を持つようになる。
弁財天→元々ヒンドゥー教のサラスヴァティという女神。それが日本に伝わると、荼吉尼天(ダーキニー)と同一視された。ダーキニーは狐に乗る姿で描かれるため、稲荷神と結びつき、金属神としての顔を持つようになった。また、大黒天と荼吉尼天は同一視されることもある。
毘沙門天→日本ではムカデと同一視される。ムカデは金属との関連が強く、毘沙門天は金属神としての顔を持つようになった。


この通り。真っ暗で何も撮れない。フラッシュを焚けば済む話だが、この洞窟を真に楽しむためには、フラッシュなどという無粋な行為は忌避されるべきものだ。蝋燭の頼りないサイズも計算されている。少し動かしただけで炎の勢いが危うくなる。そのため自然とゆっくり進まねばならず、じっくりと仏像を拝ませる仕組みになっている。また視界を限定することによって、「迷い」の状況下、仏の救いを求めるという構図を人工的に創り出している。

白蛇の池と三ヶ月の池は繋がっているため、白蛇の池周辺に立つと、弁財天の前を歩く人が持つ蝋燭が遠くでゆれるのが見えて、非常に幻想的である。

なお、二体の白蛇は非常にグロテスクな表情をしていて、マップに書かれている程可愛くない。蝋燭の炎に照らしだされた蛇ははっきり言って気持ち悪い。マップ上部の龍神はとぐろを巻いている蛇である。


蝋燭に照らし出された大日如来。割と写った唯一の写真である。それでも分かりにくい。

わずか30分ほどだったが、視界を失うという強烈な、そして最も原始的な宗教体験に非常に満足した。下手な遊園地のアトラクションなんかよりずっと楽しい。これで300円は安い。結局二回入ったし。

帰る途中、境内に真新しい像と碑が立っているのを発見した。老婆が子を抱いている。ヒロという産婆らしい。洞窟とは関係がないので写真は撮らなかった。

この後、当初予定にはなかった穴澤天神社へと向かう。威光寺から50メートルと離れていない場所にあり、弁天洞窟内の両部大日如来が元々安置されていたという神社だ。


玉川大師へ


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