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越南漫遊記 2010年5月24~30日

水上人形劇

múa rối nước

57 đinh tiên hoàng

ファーストクラス 60,000VND
セカンドクラス 40,000VND
撮影料金 15,000VND/1US$

上演開始:17:00、18:30

上演時間:約1時間

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ハノイ 水上人形劇観劇

ドライバーの運転する車(日本車)に乗ってハノイの街へ。ハノイ市街までは30分くらい。なお、車内は当然エアコンが効いているので快適だ。長袖の白い薄手のシャツを着たままだが、外に出ない限り涼しいし、もう夕方なのでホテル着までこれでごまかそうと思う。

ちなみにベトナムでは右側通行。車も左ハンドルだ。これは「原付~」でも見た。

ハノイまでの道でもバイクや田んぼなど、「原付~」で見たような風景が続く。

途中で学校を見かけた。校舎のど真ん中に子どもとふれあうホー・チ・ミンの絵が掲げられており、ベトナムに来たことを実感させられる。

これからハノイ市街の水上人形劇場へと向かうが、時間があるようなので、いろいろロアンさんに質問してみた。まずは気温。今日は「34℃で涼しい」とか…。絶句。というのも、ハノイでは昨日は37℃まで上がったからだ。3度違うだけでもだいぶ楽になるらしい。
ちなみに37℃という気温だが、日陰での37℃なのであり、日なたであれば40度になるとか…。

心配していた雨だが、少なくともハノイではまだ大丈夫とのこと。なお、ホーチミン市は程なくして梅雨入りするらしい。ちなみにベトナム北部のハノイは亜熱帯気候で四季があり、南部のホーチミン市は熱帯モンスーン気候。それぞれ異なる気候帯に属している。

「原付~」では、ヘルメットを被っていないバイクが沢山いたので、ヘルメットについても質問してみた。以前は着けなくても大丈夫だったが、着用が義務付けられたとのこと。それを守らない人もたまに見かけるが、バイクに乗る人がたくさんいすぎるので、交通警察も取り締まりきれないとか。本音を聞き出そうと「でも暑いからヘルメットをかぶりたくないんじゃないですか?」と訊いてみると、「でも命のほうが大事ですから」とのお答え。なお、接触事故は日常茶飯事に起きているらしい。

ちなみに「原付~」では、現地の人がヘルメットを着けているのをほとんど見なかった。出演者の鈴井と大泉の両名は安全のため原則として着用していたが、着用せずに走っているカットもいくつかあった。おそらく、収録された2002年の段階ではヘルメットの着用は義務づけられていなかったものとみられる。

次に、一台のバイクに何人まで乗れるのか、と質問してみた。これは「原付~」で「家族5人乗りは当たり前」と言っていたのを踏まえてのこと。ロアンさんによれば、基本的に二人乗りまでOK、子どもなら三人までOKとのこと。

なお、免許を取ることができるのは日本と同じで16歳から。ただし一週間の教習が必要とか。長いな。ちなみにロアンさんもバイクに乗るらしい。SUZUKIをひいきにしているらしく、今のは二台目だとか。10年乗った一代目は、弟にお下がりで渡しているらしい。…ということは、16歳で免許を取ったとして、ロアンさんは26歳以上ということになるのか。ちなみに弟さんは釣りが好きで、古いバイクで出かけるらしい。

なお、「日本のテレビ番組でハノイからホーチミンまでバイクで縦断する企画があって、それを観てベトナムに来るのを憧れていた」と言ったところ、ベトナムでもたまに若い人がやったりするのだとか。

ロアンさんがベトナムの治安について説明してくれた。日本よりは悪いかも知れないが、他の国と比べたら良いほうだという。事実、日本外務省がウェブで公開している渡航情報はあっけないもので、危険情報についても特に何もない、という状況だった。

ハノイに近づくにつれバイクが増えてきた。それに人も多くなってきた。クラクションの音が方々で聞こえる。この車のドライバーもガンガンに鳴らしている。日本でクラクションを鳴らすと角が立つので、よほどのことが無い限りならさないが、ベトナムでは腹が立って鳴らしているのではなく、あくまで注意を促すため鳴らしている。交通量が多すぎるので、クラクションがある程度事故防止に寄与していると思う。このクラクションの「洪水」は、既に「原付~」で観ていた風景だ。

ノイバイ空港からハノイまでの間に、放し飼いされている牛や水牛を見た。道のそばでのんびりと草を食べている。鼻輪も無いので一見「野良牛」かとギョッとする。これらは肉牛や乳牛ではなくて、農業用だとか。ベトナムではまだまだ第一次産業の占める割合が多いが、農機が足りず、牛や水牛を使って農業を営んでいるらしい。

かなりの大河であるホン河(紅河)を渡るとハノイの市街だ。ホン河は中国の雲南省から発している。酸化鉄のために赤く見えるのでその名があるというが、赤くは見えなかった。ホン河のデルタに位置するハノイは、ベトナム北部随一の都市であり、ベトナムの首都。人口は600万人。ハノイは漢字で書くと「河内」。「河」とは勿論ホン河のこと。河の中にあるので「河内」なのだ。ベトナム北部の街ということで、昔から中国からの影響を強く受けてきたとか。旧名は「タンロン」。漢字では「昇龍」と書く。その昔、龍がこの地から天へと昇るのを見て、都を造ることを決めたらしい。以来ずっとベトナムの首都であり続けたのだが、19世紀に成立したベトナム最後の王朝であるグエン朝がベトナム中部のフエを首都としたのをきっかけに、昔の都城は全て破壊され、名前もタンロンからハノイへと改称させられてしまった。

なお、グエン朝が滅亡して後、再びハノイは北ベトナムの首都になったが、名前は戻されなかった。ただし、雅名として今でもハノイのことをタンロンと言うことがある。

ちなみにベトナム一の都市は南部のホーチミン市で、人口800万人。ハノイが政治の中心ならば、ホーチミン市は経済の中心。なお、人物のホーチミンと区別するため、この旅行記では都市のほうをホーチミン市と表記する。

巨大な白亜の門が現れたので、ロアンさんに訊いてみた。新しく建てられたマンションの門なのだとか。大きいのでてっきり政府が国威発揚(?)のために建てたのだと思ったのでちょっとがっかり。と同時に、経済成長ぶりに驚く。

マスクをしてバイクに乗っている人をよく見かけるので訊いてみた。ロアンさんに拠ると、まず日焼け対策。次に排気ガス・ほこり対策なのだそうだ。舗装が完全でない道も多く、砂埃が舞うらしい。だから女性や子供などがマスクを付けるのだとか。…見ているとこっちまで暑くなりそうだ。なお、「原付~」でも鈴井の荷台に二人乗りした嬉野ディレクターが、降りたら顔が「歌舞伎役者のようになった」らしい。2時間ほど乗っていてこうなのだから、マスクするのも肯ける。

ベトナム女性はいずれも細い。まず太った人を見ない(男性も)。首都だけあって、結構おしゃれな格好をしていたりする。

そんな中、たまに寺院を見かける。これは「参寶寺」。漢字が書かれているとなんかほっとする。ベトナム語はさっぱりだ。意味の見当すら付かない。なお、ベトナムでは漢字の使用を公式には廃止しており、表記文字としてのアルファベットを使って表記している。ただし通常のラテン文字だけでは、ベトナム独特の発音を表現するのに不足するため、オリジナルの文字や、声調(トーン、中国語でもある)を表す記号を付加している。声調の数は6つあり、中国語よりも2つ多く、日本人には発音が難しい。ちなみに日本語と同様に、ベトナム語には漢字語が多く、その6割程度が漢字語だという。先ほど解説した人の名前もそうで、漢字をベトナム語でいう「音読み」する。日本語のやまと言葉に相当するような読み方はしない。

ちなみに参寶寺に掲げられている横断幕には、まず「仏様の誕生日のお祝い」とあり、その後に「ハノイ、タンロン1000年記念」とあった。勿論これは帰ってきて調べた結果分かったことであり、この時は何が書かれているのかさっぱり分からなかった、

これがベトナムの一般的な住宅。やけに細長い。土地が狭いせいなのか、三階建てが多い。また、日本の家とは違って派手なデザイン、壁色の家が目立つ。まるで宮殿のようだが、これはフランスの植民地だったせいで、ヨーロピアンな意匠が加わっているためなのだろうか。ロアンさん曰く、日本人とは違い、ベトナムでは賃貸せず、家を建てて住むのだそうだ。

紫の色の花を付ける樹はバナバ。葉から煮出して茶として飲んだりする。街路樹としてハノイの街にはたくさん植えられていた。

カラオケ店をほうぼうで見かける。そのまま"karaoke"と書いてあるので分かりやすい。「ベトナムでも人気なんですか?」と訊いてみると、ロアンさんは嬉しそうに「そうです!」と答えた。きっとロアンさんも好きなんだろう。ベトナムの人はパーティの二次会や会社帰りにみんなで行ったりするとか。まぁ日本と変わらないな。

看板のうたい文句によると、1時間70,000ドンだとか。18,000ドンが1ドルなので、3-4ドルといったところか。日本の物価で考えれば安いが、果たしてベトナムではどうだろうか。

それよりも気になったのは7時から19時という営業時間。7時からって早すぎないか? それに19時までって…。

鮮やかなペイントが施された壁が続くが、これは2010年がハノイという街が首都(李朝の時)となってからちょうど1000年目の年であり、その記念の一環としてペイントされているらしい。この壁に施された竜は、どうやら三本指のようである。中華文化圏では、五本指の竜は中国の皇帝にのみ使用、四本指は朝鮮の王、三本指は琉球の王と、儒教文化の浸透ランクによって決まっている。ベトナムは琉球と同じレベルということか? この壁の向こうは鉄道かと思ったが、そうではなく、この壁はホン河の堤防らしい。

なお、この画像には、バイクの群れの中に悠々と自転車で走る女性の姿が写っている。日本では危ないので絶対に見られない光景だが、慣れっこになっているようだ。「原付~」でも、バイクの群れの中を、両手でどんぶりを持って悠然と余裕で横断する女性の姿があったので、それを彷彿とさせるような光景だ。

市街にも「福寺林」という名の寺院があった。果たして仏教寺院なのかどうかは分からない。

市内への道は既に混雑していた。もう17:00近いから、夕方のラッシュだからなのだろうか。それとも一日中こうなのだろうか。とにかくバイクが多すぎる…。

さて、既にハノイの中心部に入っている。並んで走っている人力車はシクロという。これはほとんど観光用だが、けっこう値段についてのトラブルが多いので、安易に乗らないほうが賢明だそうだ。ここはチャン・グエン・ハン通り。中国からの軍隊を追い返した英雄の名前(陳元汗)が付けられている。

この辺りはいわゆる「旧市街」というところで、下町のようなもの。住宅地でもあり、店の並ぶところでもあり、現地の人の生活空間だ。

早速行程表に記載されている「水上人形劇」を観劇する。劇場はホアンキエムという名の湖の近く。この辺りは本当に人が多い。車から降りて、ベトナムの街を実際に歩いてみるとちょっと怖く感じた。バイクの群れがすれすれで通り過ぎていくのだ。信号もほとんど無く、あったとしても無視する輩が多いので要注意。写真左手のほうがホアンキエム湖。

水上人形劇が行われる劇場。ホー・チ・ミンが子どもたちのために建てた劇場らしい。

ロアンさんに促されて劇場内へ。写真を撮るならば撮影料として1ドル必要らしいので払っておいた。100円ならいいよね。ちなみにドルを使ったのはこれが初めてだ。外国の金というのはリアリティがなくて、どうもおもちゃのように見えてしまい、「本当に使えるのか、これ?」と思っていたが、相手がすんなりと受け取ってくれたので、「本当に使えるんだな」と変に感心してしまった。ちなみにドル札は日本の札と比べて縦の寸法が短い。細長いのだ。

内部は非常に混雑していた。劇場は二階にあり、階段を登るその途中で怪しげな像があった。

これが舞台。門のようなものの下のすだれの中から人形が出てくる。

演奏、ならびにアテレコ、ナレーションをつとめているのがこちらの方々。

ロアンさんから受け取ったチケットの半券には「first class」とあり、舞台にほど近い席が指定されていた。ファーストクラスで60,000ドン。300円くらいだ。観客はほとんど欧米系かな。プログラムパンフレットは英語、中国語、日本語、韓国語と揃っているので、やはり外国人向けの観光スポットらしいことが分かる。ロアンさんに拠れば、言葉が分からなくても動きで分かるから大丈夫だとか。元々は庶民による遊びだったらしい。

既に17:00になっていたので、入って座るとすぐに劇が始まった。ロアンさんは劇場の外で待っていると言って退場した。

プログラムは、
1.祭の旗揚げ
2.テウさんのナレーション
3.竜の踊り
4.水牛と笛吹き童子
5.田植え作業
6.カエル採り
7.アヒル農法とキツネ狩り
8.釣り
9.凱旋帰郷
10.獅子舞
11.鳳凰の舞
12.レロイ王、ホアンキエム湖の伝説
13.水遊び
14.ボートレース
15.獅子のボール遊び
16.仙女の舞
17.竜、獅子、鳳凰、亀の競演
となっているが、多分それぞれの間に話の繋がりはない。

早速、前日に買ったばかりの三脚を取り出して撮影してみる。

1.祭の旗揚げ(かと思われるもの)
言葉が分からないので不詳だが、童子のような人形が一人で出て来て激しく動いた。ちなみにこの人形は、劇場に入って階段を上ったところに展示されていたものと同じ。

3.竜の踊り
二匹の金色の竜が激しく暴れ回る。

5.田植え作業
左の人が田植えをするのだが、植える作業を重ねていくと、水上に苗が植わっていくのが細かい。二頭の水牛が田んぼを耕している。

7.アヒル農法とキツネ狩り
とにかく素早く動くキツネを追いかけ回す農民たち。たぶん、アヒルを狙って来たキツネを捕まえるためなのだと思う。キツネを籠の中に入れようと奮闘するが、まちがえてもう一人の農民の頭に籠をかぶせたりと芸が細かい。ここで笑いが起こった。この手の分かりやすい古典的ギャグは万国共通のようだ。

9.凱旋帰郷
誰が凱旋したのか分からないが、大勢の人形が出て来て行列を作っていた。

10.獅子舞
動きが速すぎて捉えられない。

11.鳳凰の舞
二羽の鳳凰が現れ、水上を舞う。すると卵が産まれ、そのうち雛がかえって三羽で水上を舞うというもの。これも分かり易く、歓声が挙がっていた。

12.レロイ王、ホアンキエム湖の伝説
これが水上人形劇のハイライト。レロイ王とは、後黎朝の始祖である黎利(レ・ロイ)のこと。伝説では、ホアンキエム湖にいる大亀から譲り受けた剣で明を駆逐したという。この幕は、王がその剣を亀に返すシーン。

舟の先頭に座るのはレロイ王。剣を持っている。

亀と邂逅するレロイ王。

亀がレロイ王の手から剣を受け取りくわえる。この動きの細かさに驚いた。下に棒があるのが見え、それで左右に動かしているのは分かるが、腕の関節、亀の口の動きなどはどうやって操作しているのか不明。この技は「秘密」なのだそうだ。

ちなみに「ホアンキエム」は漢字語「還剣」のベトナム読みであり、この伝説に基づいたネーミングになっている。

14.ボートレース
これも分かりやすい。

15.獅子のボール遊び
これもその名の通り。二匹の獅子が一つのボールを取り合って乱舞する。

16.仙女の舞
音楽に合わせて仙女たちがシンメトリックに動き、腕を鳴らす。腕を閉じたり開いたりという細かな動きもする。派手な上に動きが静かなので撮りやすい。

17.竜、獅子、鳳凰、亀の競演
これまで出てきた獣たちが集合する。なぜこれがトリなのか分からない。あっさりと終わるし。

最後にスタッフが奥から出て来た。拍手喝采の劇場。ツアーの行程に入っているというだけで仕方なく観たのだが、ちゃちくて子供だましかと思っていたら意外に精巧に出来ていたので満足した。期待していなかった分楽しめたのかもしれない。

17:50。劇場の外でロアンさんが待っていた。「夕食までは少し時間があるのでどこかへ案内します」とのことだったので、すぐ近くのホアンキエム湖を案内していただいた。パックツアーということで、行程表通りガチガチに行動するのかと思っていたが、或る程度の融通が利くらしい。これは嬉しかった。どうせ二人だけなので、我々次第のようだ。

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