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越南漫遊記 2010年5月24〜30日

往路 成田〜ノイバイ

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往路 成田〜ノイバイ

5/24。1日目。

出発日、日本では雨が降っていた。ふいにベトナムの天気が気になったので、ネットで週間予報を観てみると、一番楽しみにしているフエやホイアンを訪問する日に雨が降るという予報が出ている。

「原付〜」では、初日からベトナムの激しいスコールに見舞われていた。降ったと思えばすぐに止み、止んだと思えばまたすぐに激しい雨が降り出すという有様だった。これをやられたらたまらない。

5月というと、ベトナムでは、北部と南部でちょうど雨季が始まる頃。また、中部では一番暑い時期らしいので、スコールと暑さはある程度覚悟していかねばならない。雨が降ってしまうと、行程の一部に変更が加わるらしいが天気が相手では仕方ない。

ベトナムではカッパが普通らしく、傘を差していると浮くみたいだ。どこぞの情報では、雨が降り出すとどこからともなくわらわらとカッパ売りが現れるらしい。1着300円くらいらしいので、買ってもいいかなと思っている。ともかく、日本からは傘やカッパは持っていかないことにする。

といっても、現に日本では雨が降っているので、傘を差して駅まで行かねばならないが、この傘を飛行機に持ち込むわけにもいかない。ということで、どこかで「置き忘れる」必要がある…。

また、ハノイは昨日37℃まで上がったそうで、想像以上の暑さであることを思い知らされた。相当の覚悟が必要だ。

フライトは12:00ちょうど。とりあえず、10:00に成田空港第二ターミナルのJTBのカウンターに行かねばならない。月曜の出勤時間に悠々と朝マックし、都心とは逆方向の成田へ向かう。月曜の午前に国際空港に向かう人はやはり少ないようで、電車では余裕で座ることができた。成田空港第二ターミナル駅で下車。ここで傘を「置き忘れた」。

奥さんには何回か海外旅行の経験があるが、自分は今回が初。成田空港に行くことさえさえ初めてだ。空港到着後、JTBのカウンターでEチケット控えを受け取った。Eチケットというのはいわゆる電子航空券で、紙の航空券にとって代わったものらしい。で、Eチケット控えはそれを買ったということの証明書類。これをカウンターで提示すると航空券をその場で発行して貰える。Eチケット控えには、日本−ベトナム間の航空券だけでなく、ベトナム国内便のものも登録されている。ということで、パスポートとEチケットさえあればとりあえず旅行ができるので、この二つだけは紛失しないように気をつけなければならない。

Eチケットを受け取ったので、早めにチェックインしておく。チェックインカウンターでは、我々の席が非常口近くになっていることを知らされ、これでいいか的な確認をされた。わざわざ確認を求めるということは、何かしら不都合となることがあるのだろうと思ったので、事情を訊いてみると、緊急時に客を誘導できる人、かつ英語が話せる人であることが求められるのだという。旅行の申し込み時にそんなこと訊かれていないし、何を以て我々がそんな席にあてがわれたのか全く不明だ。緊急事態にはならないと思うが、というかそうなって欲しくないが、ともかくなんだかめんどくさそうなので、他の席にしてもらうことをお願いしたら、すんなりと変更できた。席が空いているのに何故わざわざそんな席にされたのか全く分からない。緊急事態になったら「いの一番」で逃げるよ。

機内は乾燥すると思ったので、ついさっき水を買ったばかりなのだが、水を手荷物として持ち込むことができなくなったという。しかたないのでバックパックに入れて荷物として預けた。

さて、身軽になったので両替を済ませよう。いきなりベトナムドンへの両替をしようと思ったが、日本国内では両替不可とのこと。ガイドブックなどによると、ベトナム国内では米ドルも使えるようなので、160ドル分替えてもらうことにする。ベトナムでは物価が安く、あまりに高額な紙幣だとお釣りがないということで受け取ってくれないことがあるらしいので、小額紙幣でお願いした。1ドル紙幣20枚、10ドル紙幣14枚で160ドル。初めてドル札を手にした。全部ピン札で独特の匂いがする。日本の紙幣と違って表面がザラつく。ちなみに1ドル90円くらいだった。160ドルの他、日本円で4万円ほど持って行った。使わないと思うが、不測の事態に備えて。クレジットカードがあるので不要かもしれないが。

両替も済んだので空港の中をちょっと物色してみることに。職場の先輩からは、空港は行くだけでも面白いところだから、早めに入って色々観るといいよ、と言われていた。なんでも、帰国した時には通過できないところなので、出国時によく観るべき、とのこと。やっぱり外国人が喜びそうな土産物がずらりと並んでいた。舞妓さんが金閣を眺めている意味不明のビカビカな掛け軸や、はちまき、Tシャツなどが売られている。他にいわゆる「萌え」系なタッチで描かれた舞妓はんTシャツ、全国のご当地キティも揃っていた。こういう外国人受けな物ばかりかというと、そうではなく、井和井やよーじやなど、日本人も支持するようなお店も出ていた。

「可愛KAWAII」という意味不明テレホンカード自販機も。これを買う外国人はいるのだろうか。買っても日本国内でしか使えないんじゃ…。

他に書店を覗いたが、荷物を増やしてもしょうがないので、何も買わず。あらかた見尽くしてしまったので、ベンチで休憩。

外は雨。ベトナムでは降らないで欲しいなぁ。関西、東海では大雨らしい。フライトに影響がなくて良かった。

さて、そうこうしている内に搭乗時間が迫ったので、いい加減に出国審査を通過しよう。
その先では、堂々と水を売っていた。ここで買った水は持ち込めるらしい。水自体が問題なのではなく、出所不明の液体の持ち込みが問題のようだ。

AKIHABARAという名前のduty free店。もはや"AKIHABARA"は電器店を示す世界語になっているのか?

シャトルで搭乗ゲートへ移動。

相変わらず降っているが、フライトが中止されるほどの雨量ではなかったので安心。

日本国内なのか国外なのか分からない出島的なところでは、警備員が「未来の乗り物」チックなものでパトロールしていた。これ、何の意味があるんだ? 非常時には高速で動けるとか?

飛行機はvietnam airlines。色がいい。金色のようなものは蓮の絵だろうか。

女性アテンダントは全員アオザイをイメージした制服を着こんでいた。日本人とみられる女性が一人、あとの全員はベトナミーズのようだった。

これが非常口。当初はこの席に座るはずだったのだ。上の網棚的なところに救命道具的なものがある…。

気のせいか機内はほんのりとココナッツミルクの匂いがしていた。これがベトナムの匂いなのだろうか? 日本の空港は醤油の匂いがすると言うが…。

ベトナムの英字新聞を貰ってみた。日曜版みたいだ。右側の写真を見て、ベトナムでも紅葉するのか? と思ったが、後で分かったことだが、今の時期ベトナムでよく咲いているカエンジュの花らしい。こんなに鮮やかな赤は紅葉以外で見たことがなかったから勘違いしてしまったのだ。

左の方に"heavy metal drummer"とあるが、音楽のジャンルのことではなく、古代の青銅製楽器をメインとした展示を紹介する記事の見出し。

12:00、定刻に離陸。ハノイのノイバイ空港まで7時間半。ベトナムは日本より2時間遅いので、ノイバイ着は15:30になる。早速ベトナム時間に時計を合わせた。今回、ダイソーで買った100円のストップウォッチを持ってきている。ストップウォッチ機能はどうでもいいが、時計とアラーム機能を目的に買ったものだ。

また、デジカメの内蔵時計もベトナム時間に設定した。こうすれば、画像データにexif情報として記録される撮影日時がリアルなものになる。いっぽう、携帯電話はわざと日本時間のままにしておいた。

私は飛行機酔いが酷いので、今回は搭乗一時間前に酔い止めを飲んでいたが、それが見事に効いた。本来なら二錠飲むところを間違えて一錠しか飲んでいなかったが、それでも完璧に効いていた。凄い。快適な状態でベトナムまで過ごせる。

搭乗してすぐに配られたお手ふきはココナッツミルクの匂いがした。機内の匂いはこれだったのだろうか?

離陸して一時間後、早速水とビールを注文。ベトナムのビールが出るかと期待したが、麒麟だった。"otsumami"として出たのは、「味ごのみ」的なあられの詰め合わせ。製造元は千葉県になっている。

飲み放題なのでガンガンに飲みたかったのだが、トイレが近くなるし、汗をかいて水分が失われるので一缶で我慢。エアコンのせいか乾燥する。せっせと水を補給。

眼下にはどこぞの都市が。離陸して一時間ほどのところなので東海あるいは近畿の海岸都市だろうか。特徴的な地形だ。

ビールのすぐ後に、昼食として機内食が出た。メニューを見る限り、和食は茶そば、ご飯、パンと炭水化物がやたらと多く微妙なので、"western & asian style"を注文。

生ハムと鱈のフリッター、ポテトサラダ、チキンソテーデミグラスソースがけ、ごはん、温野菜、パン、フルーツ、カシスクリームケーキ。

パンが地味に美味かった! それとカシスクリームケーキが極上。人生初の機内食、期待してなかっただけに良かった。

酒のせいなのか、機内が暗いからなのか分からないが少し寝てしまった。

目覚めたのは離陸して約3時間後(日本時間15:10)。たぶん飛行時間からして日本ではないだろう。飛行ルートから中国浙江省か福建省のあたりかと思われる。だいぶ山がちな地形。

こちらも面白い。平野に島のように小さく細かい山が点在している。日本では見られない地形だ。

離陸から5時間半が経過(ベトナム時間15:30、日本時間17:30)。あと15分ほどでノイバイ空港に到着するらしい。この特徴的な河川、既にベトナムに入っているようだ。

出入国カード兼税関・検疫申告書が配られた。表紙にベトナムの国章が入っている。赤と黄色でなるほど社会主義だ。ベトナム語だったらやばいなと思ったが、幸い英語の合壁文だったのでひと安心。それでもなじみのない英単語があって書き間違えた。

occupationは「仕事」らしい。businessでいいのに。occupationは占領、占有の方の意味しか知らない。declarantは「申告者」。dutiableは「関税をかけられる対象」。duty+ableってことらしい。

ちょっと悩んだが、『地球の歩き方』巻末に書き方が乗っていることに気づき、それを参照しながら書いた。

カードに書き終えると、ノイバイ空港はすぐ。眼下には、真っ赤な屋根のベトナム住宅が見えた。やはり田んぼが多い。

また、ホンダの工場まで見えた。「水曜どうでしょう」によると、ベトナムはカブ社会らしいから、カブのメーカーであるホンダ工場が見られて感激した。この辺りから飛行機は一気に高度を下げ始めた。

ノイバイ空港に到着。エアコンの効いた空港なので、まだベトナムの暑さは分からない。

15:45(以下ベトナム時間で記していく)、定刻より15分ほど遅れて到着。まずはトイレ。蛇口やエアータオルに思いっきり日本語が…。日本製のものをそのまま使っているらしい。ちなみに小便器もINAXだった。

それから荷物を受け取り入国審査へ。緑色の制服に身を包んだ、いかにも「共産主義!」的な審査官から無愛想にパスポートを還されて通過した。この人たち、一切何も話さない。

荷物が出てくるまで結構待たされたので、空港を出たのは16:00になろうかというところだった。空港を出て、ベトナムの暑さを初体験。暑い! でも日本の酷暑とそれほど大差なかったかなぁ。ともかくも心配していた雨が降っておらず、曇りがちであまり陽射しが強くなかったのは良い。

空港出口で我々の名前を平仮名で書いたプレートを持った現地ガイドと合流。ちなみにプレートに書かれた名前は一文字間違っていたが、優しさで指摘しないでおいた。ガイドさんの名前はロアンさん。女性のガイドさんだった。自己紹介時「ランさん」と聞こえたが、後で名前をカタカナで書いてもらう機会があり、そこではじめてロアンさんだと分かった。

ここでベトナムの人名についてちょっと説明しよう。たとえば、現在のベトナム国家主席である「グエン・ミン・チェット」は、漢字では「阮明哲」と書く。ここで、グエンは姓、ミンはミドルネーム、そしてチェットがファーストネームとなり、中国や韓国、日本とは名前の付け方が微妙に違う。ベトナム人の姓は韓国ほどではないが、種類が少ないため、ただ単に「グエン」と呼んでも誰のことか分からないため、ファーストネームである「チェット」を呼ぶことになる。

したがって「ロアン」もファーストネーム。後で彼女のサインを見る機会があり、loanであることが判明。帰国後その意味を調べたところ「鸞」だった。「鸞」とは瑞鳥の一種。多分女性の名前には鳥の名前が多いのだと思う。

ちなみにベトナムの「顔」であるホー・チ・ミン(胡志明)は、これは彼が使っていた30を超える(一説によると70を超えるとも)偽名のうちの一つでしかない。彼の本名はグエン・シン・クン。

さて、ロアンさんはちょっとカタコトではあるが、なかなか日本語のうまい方だ。訊いたところ、日本に留学していたのではなく、ベトナムで日本語を学んだそうだ。顔立ちは日本人のそれに近く、多分ベトナム人と言われなければ分からないだろう。ファッションが洗練されているし、笑顔も素敵なベトナム美人だ。ベトナムでは髪を染めている人が少ないが、彼女はほんのり茶色に染めていた。

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