更新履歴

越南漫遊記 2010年5月24~30日

鎮国寺

chùa trấn quốc
thanh niên
7:30-11:30,
13:30-18:30

pre / top / next

鎮国寺

9:18。鎮武観を過ぎると、ようやく初日にも車で通ったタイ湖とチュオンバック湖に挟まれた道に出た。

タイ湖に浮かぶホテルも見えるし、ここまで来るとほっとする。

バナバだろうか。湖畔に咲いていた。

湖のほとり沿いに歩いていくが、ところどころ舗装が壊れいたり、ゴミが散乱していたりと道が悪くやっぱり歩きにくい。歩道が歩道になっていないのだ。

湖沿いでは釣りをするおっさんでいっぱい。あとは果物を売る露天商のおばさんなどがいた。

これがハノイ最後の目的地、鎮国寺。夜になるとなんとネオンで光るという寺院だ。さっきの一柱寺の観音像の後背といい、東南アジアというのはやっぱり派手な寺院が多いのだろうか。

ベトナムでは最古の寺として知られ、1500年以上前に建立されたとか。ただし建造物は創建当時のものとは違う。当初はホン河のほとりにあったらしいが、1600年頃に洪水で堂宇が破壊されたため、現在のタイ湖に浮かぶ島に移った。

この島はもともと舟で渡るしかなかったが、信仰者が埋め立てて道を造った。それが現在車も通る、タイ湖とチュオンバック湖の細い道、タイン・ニェン通りだ。ということは、チュオンバック湖はこの道が造られたことによりタイ湖から切り離されて生まれたということになる。

門前にずらりと並ぶバイク。寺院ぽくない光景ではあるけど、ベトナムらしい光景ではある。

鎮国寺を象徴する仏塔。

現在の建造物はグエン朝時代に建立されたもの。

その前には謎の文字が。梵字ではないし、デーヴァナーガーリー文字だろうか。何を意味するかはよく分からない。

「福無量」とあり、およそ仏教っぽくない。どちらかといえば道教的。おそらくベトナム人は敬虔な信仰を持っているわけではなく、一般的な日本人と同様、自分の都合の良いように現世利益、民間信仰を求めて寺院に来るようだ。

本堂内の仏像。観音菩薩かと思うが、なぜか何体もいる。たぶん海の守護女神である媽祖と同一視されているのではないかと思う。仏教と道教が混交してしまっている。

おそらく羅漢像。

こちらも観音菩薩? とにかくパンフレットも案内板もないためさっぱり分からない。

ちなみに、現在のベトナム人は漢字を理解できないが、僧侶は勉強するため漢字を理解できる。そのため、日本人とは漢字での筆談が可能だという。

寺院の奥に行ってみると祭礼のようなものが行われていた。太鼓をどんどんと叩いていて、この場の空気がふるえていた。中で何が行われているのか是非知りたかったが、近づけるような雰囲気ではなかったのでさっさと退散した。なお、右の大太鼓には、仏教寺院だというのに陰陽のマークがあった。

なお、山門近くには霊柩車のように飾り付けられた山車のようなものがあった。ベトナム語で「仏陀誕生祝い」と書いてあるので、花まつりと関係があるのだろうか? 日本の花まつりとはずいぶん日付が違うのでよく分からないが。

あとはホテルに戻るだけ。現在9:33なので、10:00までにはホテルに戻れるかと思う。暑くて疲れてはいるが、タクシーを拾うほどでもない距離なので歩いてしまう。大通りに出ると車やバイクの往来が激しいし、若干遠回りになるので裏通りを歩いた。かなり庶民チックな道でスリリングではあったが、ハノイの人の生活をかいま見たような気がした。

部屋に戻ったら10:15を過ぎてしまっていた。ロアンさんとの合流まで15分もない。ガンガンに冷えるエアコンでびっしょりかいた汗を乾かす。奥さんはさらっとシャワーを浴びていた。

水が欲しくなったので、部屋のミニバーの冷蔵庫からスプライトを取り出し飲み干した。ロアンさんは「有料ですよ」と何度も釘を刺していたが、物価などを考えると大したことないだろうとたかをくくっていた。

ベトナムで飲み物を調達しようと思うと大変だ。そのへんの小さな商店でも売っているのだが、値段が書かれておらず買う度に店員に値段を聞かなくてはならないし、そもそも冷蔵庫ではなく店先に置かれており、買うのを躊躇ってしまう。水は必須なのだがベトナムではとっても買いづらいのだ。その上日本ではすぐに見つけられる自販機やコンビニが無いため、飲み物の調達に苦労してしまう。今後のためにミニバーからエビアンを持っていった。

ここでベトナムドン札を紹介しよう。どの紙幣にもホーチミンの肖像画が図案として描かれている。ホテルのフロントで両替してもらったのが20,000ドン札でさすがにピン札。タクシーのドライバーからおつりとして受け取ったのがその他の札でよれよれだ。特に5,000ドンが酷い。20,000ドン札の裏には、後日観ることになるホイアンの日本橋が。その他の札にはこれぞ労働者、社会主義! という感じの図案が。

20,000ドン紙幣など高額紙幣になると、偽造防止のための細工が施されている。そもそもポリマー製であり紙ではない。ホーチミンの肖像の右側には、透明の部分もある。ただしベトナムにはここまでの印刷技術・造幣技術がないためオーストラリアに依頼して造幣しているらしい。自国の紙幣さえ自国生産できないというのは悲しい、というか情けない話だ。

程なくして10:30になるのでフロントでチェックアウトを済ませる。ミニバーの利用を訊かれたので、エビアンを三本、スプライトを二本飲んだことを伝えると、なんと20ドルも請求された。一本当たり平均4ドル。日本で買うよりずっとずっと高いじゃないか! ベトナムの物価が日本の1/5~1/7であることを考えると大変な値段である。ぼったくりと言って良い。今後ミニバーは二度と利用しないことに決めた。

ロアンさんと合流、ハノイを発つためノイバイ空港まで車で送ってもらう。

空港までの道すがら、ロアンさんに最後の質問をしてみよう。自販機は無いのかと訊いてみると、「昔は学校などにあったが、今は無い」とのこと。どうして無くなったのかは説明してくれなかったが、たぶん紙幣の種類が多すぎるからだろうと思う。分別するためにそれだけのチェック機構を設けなくてはならないからだ。

唐突に「ベトナムではアヒルをよく食べる」という話になった。ロアンさんは
「日本ではアヒル食べませんか?」
と訊いたので、
「食べないことはないんですが(=禁忌ではないが)、食べる機会がないんです。店で売っていません。北京ダックでもないかぎり食べませんね。」
と答えた。
「日本人も鴨は食べるでしょ?」
と訊かれたので、
「鴨はアヒルより食べる機会はあります。店で売っていることもありますが、ほとんど見かけません。」
と答えた。そういえばハノイ郊外ではアヒルの群れを見たことがある。牛と同じように、人気のない池で集団で泳いでいたりするのだ。不自然なのでどうみても野生ではないが、かといって、畜産業というにはあまりに周りに何も無さ過ぎる。放し飼いのレベルが日本とは全く違っている。

ハノイでは、ついぞコンビニ、それどころかスーパーすら見なかった。多分そういうところを「たまたま」通過しなかったからなのかもしれないが、200m歩けば別のコンビニにぶち当たる日本と比べると「無い」と言ってもいいかもしれない。というよりも日本のほうが異常なのかも。

ただ、値段の書かれていないところで物を買うのは、旅行者にとっては結構つらいものがある。しかし日本にもかつてはコンビニがないという時代もあったのだ。そういう時代、一人暮らしの若者が盆、暮れ、正月にどう過ごしていたのか不思議に思う。だけど、なんとかしていたわけであって、どこでもコンビニがあるという現状の方が異常なのかもしれない。でも、この暑い中、水を買うのは大事である。自販機もコンビニも無いというベトナムは、コンビニが腐るほどあって、いつどんな時でもすぐに利用できる環境に慣れてしまっている日本人にとっては不便ではある。

KFC、ロッテリアはそれぞれ一軒ずつ見たが、首都としては少なすぎる。外資系飲食チェーンがほとんど入っていないのだ。ただし、味の素、サロンパスの看板は見た。

時々ロアンさんは携帯電話でどこかへ連絡したり、誰かから受信したりする。その時「アロー?」と言うのだが、これってフランス語じゃなかったか? ついぞロアンさんには聞きそびれてしまったが、ベトナム語辞書にも載っている、れっきとした電話での言葉らしい。日本語の「もしもし」に相当する。ただ、やっぱり純粋なベトナム語ではなく、フランス語からの輸入語っぽい。なお、ロアンさんはNOKIAのユーザらしい。

45分かけてノイバイ空港へ。次の訪問先であるフエへ移動するため、国内線に乗る。行き先はベトナム中部のフバイ空港。ロアンさんにチェックインしてもらう。

vietnam airlinesの職員はやはりアオザイをベースにした制服を着ている。機内アテンダントは赤のアオザイだが、空港スタッフは青なのだろう。ロアンさんからチケットを受け取ってお別れ。本当にお世話になった。丁重にお礼を言って搭乗ゲート付近へ向かう。しばらくぼーっと過ごす時間。カフェテリアのようなところがあったが、利用客はベトナミーズのみ。店でカップラーメンを提供しているのがおもしろかった。ちょっと惹かれたが、昼食はこの先のフエでとることになっている。ただし、フエ着は14時近くなるので少し我慢しなければならない。

搭乗時間になったのでゲートへ。その先では一度外に出て、バスでタラップへと移動した。このバスというのがエアコンが全く機能しておらず、かなり辟易した。

12:30に離陸、フバイ空港着陸は13:30離陸。ロアンさんは軽食が出るとは言っていたが、結局ペットボトルの水が一本出ただけだった。ちょっとおなかすいたなぁ…。水がサービスされることを知っていたら、ホテルのミニバーからあのバカ高いエヴィアンを取ってくる必要なかったな…。500mlじゃなく350mlだったし…。

機内のエアコン排出口からはなぜかドライアイスのような冷気が出ていた。目にも涼しげでいいのだが。

12:30、ノイバイ空港を離陸。朝から動いて疲れていたのですぐに爆睡した。

フエ到着前、眼下には大きく曲がりくねった河が見えた。これぞ東南アジアって感じだ。いよいよフエ。一番楽しみにしていたところだ。

pre / top / next