雍州秋景 2007年11月3日〜4日

大徳寺では現在、非公開文化財特別公開として黄梅院、独自に興臨院、総見院を公開している。

まずは黄梅院。

黄梅院

黄梅院には、檀家の人も墓参りに入っていった。檀家にとってみたら観光客はうっとうしいだろうなぁ。

ここ黄梅院は、塔頭とは思えないほど広大で、拝観経路も複雑で見所も多いので、図を作ってみた。


縮尺もいい加減で、印象としてこんな感じだったというだけ。矢印は撮影した方向、中のアルファベットはそれぞれの画像のID。

 
AとB。入ってすぐの石畳と苔庭。ここだけでも素晴らしいのだが、奥にはもっとすごいものがある。先には火頭窓が見えるが、今は壁しか見えない。


C。奥に入ると何度か門をくぐることになる。そのたたずまいが素晴らしいのでいちいち撮ってしまう。


D。くねくねと何度か直角に曲がっているため、既に自分がどこを向いているのかが分からなくなった。


F。またまた門。先に進むと、今見ている先は、本堂とその前に広がる破頭庭ということが、後々に分かるようになる。

 
G。途中から靴を脱ぎ、黒で塗られた回廊を進むことになる。えらく迂回している。おそらく、右手に見える黄梅院メインの庭をぐるっと囲んでいるのだろう。


H。回廊の途中にはギャラリーもある。

 
IとJ。回廊から茶室へと連絡している。屋根に苔がこんもりと乗っている茶室は、黄梅院メインの庭に突き出している。


K。徐々に明らかになる庭園。中央の池には水が張られていない。


N。これが黄梅院メインの直中庭。飛び石は先ほどの茶室に繋がっている。途中のひょうたん池では石橋になる。その向こうには、大きな石とその左右に小さな石が置かれているが、これらは不動明王と脇侍の二童子を暗示しているとか。禅宗ならば釈迦三尊で良かったものを不動としたところがひねっている。


切り取り方や、座るか立つかで表情が様々に変わる直中庭。


直中庭は苔だらけだ。超モイスチャー地帯。


O。ススキが秋っぽさを演出している。左に見切れているのが朝鮮灯籠。朝鮮出兵の際の戦利品らしい。


S。方丈の裏は地味だが、品のいい苔庭になっていた。雲池庭という名が付いており、踏み石が連なっている。

 
WとT。方丈の背後には茶室と思しき堂が立っている。よく分からず。方丈裏から右手の方向を見ると(T)、本堂裏に広がる「作仏庭」が見える。


V。本堂裏へ移動して「作仏庭」を。石組の中央から水が流れ出ているのを、白砂で表現している。苔の「島」は石橋で連絡している。この水は一体どこまで流れているのだろうか。それを追っていくと、この黄梅院の枯山水庭園のおもしろさが分かる。

 
PとQ。作仏庭から流れている白砂がここまでやってきている。Qの坪庭とPの蹲の間には太鼓橋が架かっているが、これぞまさしく白砂が水であることを示している。蹲の先は垣になってしまっているが、この先、この「水」がどこへ繋がっているかというと…。


U。本堂前の庭園である「破頭庭」。ここに水が流れついているのだ。まさにここは水の行き着く先、つまり海なのである。そしてその先に見える苔は、彼岸を意味する。本堂を囲む枯山水は全て繋がっており、動きを含んでいた。

「彼岸」に見える二つの石は、聴聞石といい、すなわち、本堂の本尊である釈迦如来の説法をよく聞いている弟子を暗示している。大きいほうがカーシャパ、小さいほうがアーナンダを暗示している。大きいほうをカーシャパとするのが、なんとも禅宗らしい。

が、非公開文化財特別拝観の際に、京都古文化保存協会が出している「拝観の手引」に拠ると、聴聞石を観音・勢至という阿弥陀の脇侍二人に擬えている。

ちなみに、左に見える火頭窓は、入ってくる際、Bの位置から見えていたものだ。

 
いったん元に戻るが、この蹲、作仏庭から流れてくる水をくみ上げているということになり、面白い。

本堂内、中央には本尊として釈迦如来が安置されており、襖絵には竹林の七賢図が描かれていた。しかし七賢といいつつ、子供が二人描かれており、計九人となっていた。

庫裡側の間には、各種水墨画が展示されておりかなり興味深いものだった。

 
まずは雪舟画といわれる寒山と達磨。そして達磨の右には、拾得が描かれていた。寒山が何をしているかというと、岩に墨をこすりつけているのである。そして寒山は、その擦った墨を使ったのだろうか、岩肌に筆で何かを書き付けている。

 
雲谷等益による、これまたやさぐれな普賢菩薩と文殊菩薩。今朝芬陀院で見たように、どちらも髪を垂らしている。もっとも墨一色で、カラフルで気持ちの悪い芬陀院のそれよりはまともかもしれないが。芬陀院と同様、普賢菩薩は書を読んでいる。


そして彼らの主人である釈迦如来。これはまだまともだね。


また同じ間には「三十六善神」を描いたものがあった。画像は三十六善神で最も好きな深沙大将。どくろの首飾りを身につけ、腹には何故か童子の顔、腰巻きには虎皮、膝当てにはなんと象という異形の妖怪だ。なんでも三蔵法師が沙漠で倒れた時に助けたのだという。西遊記の沙悟浄のモデルだ。こいつは三十六善神中、いつも左の最前列に居るのでわかりやすい。

 
XとY。庫裡と本堂の間の中庭。特別名前は付いていないが、石二つだけとインパクト大。しかも小さいほうの石は苔が生えている。大きな石は船を、小さな石は蓬莱山を暗示しているとか。火頭窓から覗くと綺麗に見える。


Z。中庭の先には井戸。

最後に庫裡を一通り観た。いわゆる調理場。やっぱり韋駄天がいた。


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