雍州秋景 2007年11月3日〜4日

二日目。今日は東福寺の塔頭(特別公開のものを含む)、大徳寺の塔頭、他の非公開文化財特別拝観物件を、時間の許す限り見尽くしたい。


瀬田駅の朝。駅の向こうには琵琶湖が見えた。昨夜は全く分からなかった。先の山は比叡山だろうか。

簡単な朝食を済ませて早速京都へ。スタートは東福寺とした。素直にJRで東福寺駅まで移動。途中京都駅でロッカーによけいな荷物を預ける。いつも利用する携帯が鍵になるロッカー。初期費用が100円で済み、3時間ごとに100円が加算されるというリーズナブルな料金体系なのだ。

東福寺で非公開文化財特別拝観としての公開物件は、法堂と三門。ただし、法堂は内部には入れないものの、いつも正面が開かれているため、敢えて入る必要はない。また、三門も以前の特別拝観で観ているため、この二つはパスする。

それでは、何を観るか。独自に特別公開している塔頭の龍吟庵・天得院と、方丈の庭園である。

東福寺駅に到着したのは8:30を過ぎた頃。拝観は9:00から始まるため少し早い。境内をふらふらしていればそのうち時間は経つだろう。

 
ただし左画像の臥雲橋には既に人が集まっていて、みな紅葉しかけた木々を撮っていた。三ノ橋川には、その名の通り三つの橋が架かっているが、そのうちこの臥雲橋は東福寺の境内にあるものの、無料で通過することができる。

臥雲橋から見える通天橋(右画像)は、有料ゾーン。開山堂への途で渡ることになる。

それでは、残る一つはどこか? 今日初めてその橋を渡ることになる。

ちなみに、画像を見れば分かるように通天橋は臥雲橋よりも高い位置にある。臥雲橋は「雲に架かる橋」だが、通天橋は「天に架かる橋」なわけで、名がその高さを暗示している。

 
法堂では案内員がせっせと準備をしていた。正面に回れば見えるんだよね。法堂と三門は無視して目的の塔頭へ。

龍吟庵


龍吟庵に行くにはこの橋を渡る。この橋こそが残る一つの橋で、偃月橋という。特別公開期でなければ渡れないので、プレミアムな体験となる。場所としては寺務所の細い脇道を縫っていったところなので結構マニアックだ。


龍吟庵の庫裡と方丈。まだ拝観開始前だったが、既に受け付けは設えてあった。声をかけてみると「どうぞ」と言ってくれたので侵入。


庫裡に入って振り返ってみた。苔庭が素晴らしい。塔頭というのはどうも雰囲気がいいね。

 
方丈南庭。その名も「無の庭」で、白砂以外何もない。ただ、右の竹垣に稲妻のように走る装飾が施されていて面白い。


これは無の庭で見る唐門を表から見た図。


方丈には蔀戸があり、寝殿造りの趣を残している。禅宗では珍しいと思う。無関普門の住居跡だ。

ここ龍吟庵の方丈を囲むように、重森三玲作の庭園が築かれている。


これは西庭「龍の庭」。龍吟庵の寺名にちなむとか。

 
羽を広げたような石組がすなわち龍の頭を示すとか。角なのだろうね。白砂と黒砂はそれぞれ雲を表すとか。砂に描かれた模様が、雲が渦巻いている様子を示しているのだろう。という訳で、所々に散らばる石は、雲海から飛び出して見える龍の体の一部である。龍がとぐろを巻いて天に飛翔する様を描いているのだとか。

西の庭の竹垣にも大小の四角による文様が施されているが、黒砂は黒雲を示しているだとすれば、これらは雷鳴を示すのかもしれない。あるいは、寺名の龍吟庵というように、龍の声を現象として表したものかもしれない。音は空気が震動することにより生じる波だからだ。

 
方丈背後の開山堂。左画像は開山堂左のもみじ。少しグラデーションがかかっている。


方丈東庭「不離の庭」。無関普門の幼少の頃、病に倒れて山に捨てられた時、二匹の白犬・黒犬にオオカミから身を守ってもらったことを表しているとか。横に倒れる細い石が、無関普門で、その前後の二つが犬。そしてその外に散らばるのがオオカミなのだろう。ここは赤い石を使っている。

奥の竹垣には、今度は山の形の装飾がなされている。無関普門が山中に捨てられたことを暗示しているのだろう。


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