祖父江の善光寺(戒壇巡り) 愛知県中島郡祖父江町

地図(マピオン)「善光寺」は地図に出ないが、祖父江郵便局付近 名鉄尾西線山崎駅もしくは森上駅から徒歩20分。本数は少ないが、町営巡回バス(祖父江町ホームページ)もある。

 覚王山駅を9:17に出て、名古屋駅には9:30頃に着いた。次の予定地は祖父江だ。東海道本線で、尾張一宮まで向かう。9:45発、尾張一宮駅10:00着。新快速はかなり使い勝手がある。聞いた話では、下手な急行より早く、時には特急と互角のスピードらしい。尾張一宮駅で名鉄に乗り換える。名鉄は初めて乗車する。名古屋圏はJRより名鉄の方がメインの交通手段として活躍するらしい。新一宮駅10:07発。尾西線というこの路線はかなりの田舎を通る。駅舎がない。単線であるから、しばしばすれ違いのために停車した。山崎駅に10:29頃着。ここから20分ほど徒歩。祖父江の中心へと向かう。祖父江もかなりの田舎だ。

 これは祖父江簡易郵便局。かなりいい感じ出してます。

 祖父江は基本的に歩道がない。その脇を車がびゅんびゅん飛ばしながら走るので怖い。年寄りが自転車に乗っているのを見かけるが、かなり危ない。何度も冷や冷やさせられた。でも、年寄りはなんであんなに道路寄りに自転車で走るのだろうか。危ないよー。

 近くを通りすがったおっさんに道を聞いて、善光寺東海別院に到着。かなり奥まったところにあり、見つけにくい。

 
これが善光寺。屋根は錆びた銅のような色をしている。かなり古い寺だ。

 中に入るとおばあさんが一人で読経している。札などの売場があるが、人がいない。仏のとなりに目指す戒壇巡りの入り口がある。300円か。人がやってこない。入ってしまおうか。デジカメを取り出し、電源を入れようとボタンを押した所で、ズアッと目の前の障子戸が開き、寺の人らしきおばさんが出てきた。目があった。一瞬間があった。勝手に入ってしまおうとしていたものだから、後ろめたい気持ちがあり、かなり気まずい。ジョジョ風に言うと、ゴゴゴ・・・、もしくはドドド・・・という感じだ。しかも手にはカメラ。撮影禁止だと思うので、かなりやばい。「あ、あの、お戒壇巡りをさせて頂きたいのですが。」切り出したのは僕。こうなったら卑屈になるしかない。「戒壇」ではなく「お戒壇」。「あ、はいはい。」とおばさん。「大丈夫?電話中だったんじゃない?」「?」そうか、おばさんは僕の片手にあるものをカメラじゃなくて、携帯だと思っている。「あ、いえ、もう終わりましたから。」調子よく合わせるしかない。良かった。バレてない。こっちの印象をよくするために色々と誉めまくった。「ここのお戒壇巡りは素晴らしいと聞いてきたものですから。」「聞くところに拠れば、本家の長野善光寺さんよりご立派だとか。」「是非、一度拝見したいと思っていました。」と褒めちぎる。おばさんは気をよくした様子でうなづき、説明をはじめる。「2月に改修をしまして、さらに立派になりました。この階段を降りて、右手に手すりと壁を伝って行ってくださいね。」

 手すりを伝って入っていく。外の光が差し込まなくなってきた辺りから壁に変わる。細かくカーブする。右手を右壁に触れさせたまま左手を左方向に伸ばし、巾を調べる。1m位だろうか。今度は左手を上に。天井にはすぐにぶつかった。高さは180cm位だろうか。

 当然視界は無い。視覚は既に使っていない。触覚と嗅覚のみ。手でモノを見ている感じだ。正直、僕はこれが戒壇巡り初体験である。かなり興奮した。こんなに暗いのねー!


普通に写真を取ると、こんな感じ。これ、写真よ。黒で塗ったんじゃないよ

 程なくすると遠くから説法にも似たテープ音が聞こえる。男声だ。やがて遠くに緑色にぼやけて見える部分がある。かなり幻想的だ。目の感覚に頼らず、ずっと視覚を失っていたところに緑色の光が飛び込んできたので、ぼやけてなかなか焦点が合わない。目で見ているのではなく、頭で見ている感じだった(目で感じ取ったビジョンは当然脳で分析されるのだけれども)。これも計算のウチだとするならかなり凝っていると思う。緑色の光は、右の小窓から漏れていた光で、小窓の内部には、ライトアップされた立体マンダラが。

 
 凄い。凄すぎる。しかも、目の細かい薄い網で遮られている為、ぼやかされ、ますます幻想的になっている。仏像がホログラムのようにうかんで見える。さっきの男声はここの内部から発せられていた。どうやら仏の配置を伝える為の説明テープらしい。


小窓の下には金属の物体が。何だろう、これ。


無粋なことだと思うが、フラッシュを焚いて、付近の様子を撮ってみた。板張りだ。

 写真を撮りすぎた。大丈夫だろうか。バレていないだろうか。

 上り階段もいきなり現れるが、光の量が少ないためにぼんやりと見えるだけ。急に視覚に頼ることになるために、脳も分析が追いつかず、混乱をきたしているのだろう。寺の堂内も戒壇内ほどではないが、かなり暗く、4,5m先の人の顔は見えない。この光量も計算されているのだとしたら、ますます凄いと思う。戒壇を上りきるとおばさんが待ち構えていた。「待っていた」のではなく、「待ち構えていた」と表現するのは、僕に後ろめたさがあるからだ。さっきのフラッシュは、おばさんには届いていないと思うが、内部に赤外線カメラが仕込んであるとしたら・・・。おばさんは僕の様子を知ってか知らずか、「はい、はい、どうぞ、どうぞ。」と出て行かせようとする。追い出すような感じが怖い。やっぱり監視していたのだろうか。僕は見透かされないように、「どうも、ありがとうございました。かなり凄かったです。」と言いつつ、そそくさと逃げるように本堂を後にした

 時計を見ると、まだ11:00。これからの予定を考えると、この辺でお昼を済ませて置いたほうがいいと思った。しかし、こんな田舎に食べるところなどあっただろうか。てくてく駅の方へと歩みを進めると、小さなショッピングセンターに赤地に黄色の見慣れたマークが!そう、マックである!ショッピングセンター内にマックがあったのである。祖父江マック!かなり感動した。さっきの祖父江簡易郵便局を見たあとだから、ますますびっくり。こんなところに出店して、採算は取れているのだろうか、などと勝手な心配をしながら恐る恐る入店する。でも意外に客はいるかも、と思いつつ中をみると、しかし、というかやっぱり客は一人も居なかった。カウンターを見ると、レジ係りのおばさん(!)が袋を数えている。僕が今日初めての客って感じだ。・・・やばい。逃げよう、と思っているうちに気付かれた。「いらっしゃいませ〜」。うー、行くしかない。僕は誰もいないマックで一人で喰い、そして逃げるようにして帰っていったのだ。食べている途中、2,3人がマックの中を通り抜けて出ていった。どの人も僕に対して好奇の目を向けていたと思うが、僕はわざと気付かない振りをして、下を向きながらもくもくと、というか、押し込むようにして喰っていたから分からない。


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