この寺も門跡寺院。天皇の御殿を意味する宸殿があり、各堂が回廊で繋がっているのは、他の門跡寺院と共通。
一文字手水鉢。何の花のなのかは分からないが、はりついた花びらが雰囲気抜群。
境内の一番小さなお堂が本堂。回廊で繋がっているもののうち、南端に位置する。門跡寺院では、中心としての宸殿があるせいか、本堂の扱いがちょっと低いようだ。
宝形造りの本堂は、西向きに開いており、内部には、熾盛光如来が本尊として祀られている。
厨子の内部に、熾盛光如来の曼荼羅が安置されており、これが本尊。曼荼羅といっても、梵字で仏尊を表した種字曼荼羅であり、具体的な姿が描かれているわけではない。
厨子の手前の宝珠が、本尊の御前立ち。熾盛光如来を本尊とする寺院は他に聞いたことがなく、仏の肉髻を神格化したもの。宝珠を肉髻として見立てたのかもしれない。
熾盛光如来は、天台宗の熾盛光法の本尊でもあり、国家鎮護などを祈念するものというから、門跡寺院独特の本尊なのかもしれない。
東向き、すなわち本尊の裏には、青不動の仏画が安置されている。といっても本物は奈良国立博物館に委託されており、みることができるのは複製。後ろの火炎が赤と橙色で表現されており、猛烈さが伝わる。
他に左から愛染明王、毘沙門天、不動明王。毘沙門天は地天女、ニランヴァ、ヴィランヴァの三体に載っているかのようであり、ひょっとすれば兜跋毘沙門天かもしれない。
不動明王は、青不動画像に似ており、三次元に表現しなおしたものかもしれない。
他に薬師ファミリー。十二神将は重なってしまっており(ひな壇になっていない)、他の8体が全く見えなくなっている。
襖の孔雀図。一緒に蝶も描かれており、華やか。
宸殿。御簾も下がっており、天皇の御殿といった風。宸殿前には苔庭が広がる。
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