山陰九州四国異境巡礼 2004年2月27〜3月5日

安来駅前では一台の黄色いバスが待っていた。経営不振を理由にした民間バス会社の撤退に代わって自治体が資金を提供し、この「イエローバス」が誕生したのだそうだ。このバスを使って、今回最初の訪問地である清水寺へアプローチする。「観光ループ外周り」という路線を使うのだが、かなり本数が少なく、清水寺では1時間半以上滞在しなくてはならなくなりそうだ。

バス内で待機していると、運転手が「どこまで行くの?」と訊いてきた。とりあえず「清水寺です」と答えたが、それは停車ボタンを押せば分かることじゃないのか?と、この時は思っていた。

バスが発車した。5分経過、10分経過…。何かおかしいぞ…。何だろう。!車内放送がない!次のバス停案内が無いのだ!それに普通のバスに設置されているべき料金を示す電光掲示板も無い。そうか、だから運転手は発車前に自分の降車場所を訊いたんだな。凄いバスに乗っちゃったなぁ。

「観光ループ」とは名ばかりに、自分一人を乗せてバスは進む。土曜日だってのに…。

清水寺


清水寺駐車場から少しばかり歩くと清水寺の入口が現れる。高い木が立っていて歴史を感じさせる。


山門までの階段の隣りには岩山。一番上には不動明王の石像が建っている。

境内までにはいくつかの旅館と茶屋めいたものがあったが、しーんとしていた。シーズンオフなのかな?


境内で最初に見た弁天堂。お堂そのものはいいんだけど、なんで後ろにトイレを設置するかなぁ。


本堂が石垣の上に建っているのが見えた。結構な階段を登らなくてはならない。


本堂内には観音菩薩が安置されているらしい。


本堂の奥を進むと、目的である三重塔が見えた。

三重塔へ続く階段の下で掃き掃除をしていたおばさんに三重塔が開いているかどうかを尋ねたら、「開いてないです」と返されてしまった。「予約したんですけど…」というと「!ごめんなさい…」と鍵を取りに行かれてしまった。ちゃんと予約したし、土曜は基本的に開けるということだったから安心していたのに…。


おばさんが鍵を持って来るまで三重塔を撮っておこう。

 
江戸時代末頃のものという。階段文化が花開いた時代だ。

さて、やっとおばさんが鍵を持って来てくれた。拝観料200円を払って侵入。入口は西に面した扉だった。


初層の東側に向かって撮ったもの。階段が見える。


一階から上に続く階段。この塔の初層と二層、二層と三層の間にはそれぞれ中階層が2つあり、3つの階段を使って次の層に上るのである。


最初の階段を登りきって、振り返ったところ。今自分が立っているのは、中階層の最初の層。

ここでこの塔の構造を図式しよう。各部位の比率や大きさは不正確、おおまかな構造を示すというだけのもの。


二層目に上がって、下を見下ろしたところ。かなり狭い場所だし、転落事故の可能性さえある。


二層目の図。


二層目。奥には上り階段の背中が見える。上に上がるには、ぐるっと右回りすることになる。四面に小窓があり、無理をすれば外に出られそう。


二層目の中心には塔のミニチュアが置かれていた。その奥に見えるのは、塔の心柱。


二層目から中階層へ上る階段。三層目までは、一層目と二層目と同じく中階層が2つあり、3つの階段を使って三層目まで上ることになる。


三層目の中心に安置された仏像。その奥に見えるのは心柱。


四面に窓がある。二層目の窓よりは大きいので、外に出た。


ふー、手すりが低くて結構怖い…。安来市街が見えた。


下では、住職が護摩を焚いていた。

ふー、凄かったなぁ…。塔の中に入ってさらに上ったのだ。凄い。木造建築でこんな高さまで上るなんて貴重な体験としかいいようがない。

こういう建築は、上る時より下る時のほうが大変なのだ。それに足の筋肉を変に使ったので膝ががくがくした。こりゃ年寄りは大変だぞ。

塔を出たところで、お寺のおばちゃん二人と遭遇。「どこから来たの?」という問いに、「茨城からです」と答えると、あまりピンと来ない様子で「…東京のほうから…?」。自分たち東日本の人が山陰の事にピンと来ないのと同じように、山陰の人も茨城って言われても分からないんだろうなぁ…。とうとう自分のやってきたところが分からない人たちが住むところにやってきてしまった。

時間は10:45。帰りのバスまであと45分ある。どうしようか…。駅までは4km、歩けない距離ではない。実は初日の予定はこの清水寺で終わりなのだ。極端な話、あとはどうでもいい。というわけで電車の時間は気にしなくて済むので、歩いてもいい。しかし初日に足をおかしくしてはいけない。大人しく待つか。

バスでここに来る前に、交差点に小さなお堂があったのを見た。少しそこまで歩き、また清水寺バス停に戻れば時間はつぶせるだろう。


交差点のお堂がこれ。何の情報も無いが、近くに六地蔵が立っていたので、勝手に地蔵堂と呼ぼう。小さいが、茅葺きの綺麗なお堂だ。民衆に護られてきたのだろう。

腹が減ったな。お堂の近くに小さな商店がある。パンくらいはありそうだが、せっかく食べるなら出雲の美味しいそばがいい。少し我慢しよう。

清水寺に戻り、バス停のある駐車場で待つ。んー、ヒマだ。携帯も圏外。完璧にやることがない。参った…。

やがて来たバスに乗り込み、安来駅へ戻った。イエローバスはどこまで乗っても200円。車内には3人の地元の人たちが乗っていたが、方言がきつくて何を言っているのか分からない。いよいよ遠くにやってきたんだという感じがする。

安来駅から松江へ向かう。割りと方言の度が低い車内の女子高生の会話から、この辺りの方言が少し分かった。「〜けん」とか、「〜けんね」という語尾がつく。また一人称が「うち」。広島弁に近いのだろう。っていうか、接しているんだから当たり前か。山陽、山陰と分けて考えているから、とらえどころがないと感じるのかも。

安来から松江の間、たまに右手車窓に中海を望む。


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