本法寺
左画像は本堂、奥には多宝塔。右画像の左側の堂宇は…経蔵か、祖師堂か…。祖師堂かな…。申し訳ない。
唐門と庫裡前庭園。桐の紋と、寺名に因んだとおぼしき「本」の字の瓦。棕櫚が生えていたりとエキゾチック。
庫裡を抜けると、宝物館のような建物に出る。まずは本堂を、と促された。本堂へは左画像のような回廊で。本堂との間には、右画像のような箱庭。回廊と小書院(?)を太鼓橋が連絡する。
書院の軒下では、住職が団体に向けて熱心に説明していた。書院前庭である「巴の庭」。中央に据えられた池は、十角形。夏には蓮が咲くのだという。その奥には、滝に見立てた石組み。そして三尊石もあるとか。よく確認できなかった。とにかく人が多くて難儀。
先ほど庫裡前で見た唐門の内側。「十(つなし)の庭」という。この「十」とは、石の数らしい。目の前にある石を数えると9個しかない。もう一つは観ている自分なのだという。一「つ」、二「つ」…と数えていくと、「つ」が最初に無くなるのが「十」だから、「つなし」だとか。最後に自分を入れて(=十個目の石)、謎が解けるということのようだ。
謎も面白いが、単に庭として観てもなかなかのもの。宝物館手前にある。
宝物館の最大の見物は特別公開中の大涅槃図。 涅槃図といえば、動物だ。 |
涅槃図は、釈迦如来に近いほど「ランク」が高いという構図になっている。つまり菩薩や羅漢などが最も近くにいて、その外に天部、そして、最も外側に動物を置いている。涅槃図は、宗教的な意図だけでなく、描く人個人の世界の観る仕方を探ることができるし、博物的趣味などをかいま見ることができるので面白い。
左画像で面白いと思ったのが、半人半鳥の迦陵頻伽が、動物(鳥)のカテゴリーに含められていること。あくまで鳥として捉えられていたことを示している。
また、つがいで描かれている動物があったりする。シカ、ニワトリ、ホウオウ、キジがそうだが、雄雌で姿が異なるため、わざわざつがいにしているようだ。そこで興味深いのが、トラとヒョウ。おそらく、トラのつがいのつもりで描かれているはずだ。ヒョウはトラの雌と思われていたからだ。
あと興味深いのは、ゾウとシシが同じ大きさで描かれていること。ゾウに関しては、容姿や大きさがある程度正しく伝わっていたようだが、シシについては、正しく伝わっていなかったようだ。 |
さらに面白いのは、この涅槃図にはネコが居ること。釈迦如来のための薬袋が、木の枝にぶら下げられていて(おそらく湿気を避けるためか)、ネズミがそれを取る役割を担っていたために、ネコが描かれることは基本的に無いのだが、ネコが描かれている涅槃図も少なくはない。ここの涅槃図もそうだったのだ。
それと、ウサギが! かわいすぎます…。
それとこのフクロウは何だろうか。他すべてが視線を釈迦如来に向けるなか、こいつだけが正面を向いている。しかも真顔。おそらく、これを描いた人はフクロウを正面からしか見たことがなかったのではないかと思う。 |
他に輪蔵の前に据えられているはずの大士像が。たぶん、昔には本法寺にも輪蔵があったのだろう。それが無くなってしまったため、宝物殿に移されているのかもしれない。 |
庫裡に入ってすぐ見える衝立。獅子が描かれていた。無銘のようだが、素晴らしいので撮影させてもらった。 |