庄内・置賜・羽後・津軽巡覧 2005年5月2〜5日

5月2日

連休を利用して、4月に秋田県に越した相方に会いに行くついでに日本海側の東北の諸物件を見て回ることにした。

弘前まで北上する予定で、かなりの遠距離になる。時間を有効活用するために今回は寝台特急でアプローチすることにした。帰りは東北新幹線で。

今回も、距離が伸びれば伸びるほど1km当たりの値段が下がるというJRのきっぷの特性を活かして交通費を抑えた。日本海に出てから秋田で折り返し、山形を南下して帰るという「上野〜大宮」の長距離片道きっぷを用意。

さて、今日は平日、出勤日。18:00前、まだまだ仕事があったようだが、主任の計らいにより退勤。

一度自宅に戻り荷造りと夕食、風呂をすませて上野へと向かった。

今夜乗る予定の寝台列車は21:45発だが、上野に着いたのはまだ21:00前。まだ早いと思っていたが、ホームには既に入線していた。


これが今日の宿となる寝台特急「あけぼの」。電車の写真を撮ったのはこれが初めてだろう。

今回に限って撮ったのは、いつ廃止されるか分からない寝台列車の運命を知ったからだ。今年の2月で二台の寝台列車が廃止になった。今日日既にその存在理由はかなり薄れているのだ。早さ・速さを求めるなら素直に新幹線に乗ったほうがいい。寝台券も高く、新幹線のほうが安いのだ。

その存在理由の薄さにより、いつ廃止されるか分からない。今のうちにカメラにおさめておこうと思ったのだ。

ペットのお茶と菓子類、夜食を買って乗車。まだ出発まで30分以上もあるが、席の半分くらいは既に埋まっていた。見たところ年配の人が多いようだ。時間に余裕のある人くらいしか利用しないのだろうね、きっと。おおきなザックをしょっていたりするところを見ると、登山客も混じっているようだ。既に酒宴が始まっていたりする。言葉に東北弁の臭いを感じる。連休を利用した里帰りなのだろうか。

今回、実は寝台を利用するのではない。


ゴロンとシート。寝台券は不要、特急券だけで乗れるが、その代わりシーツ、まくら、浴衣、スリッパなどのサービスがないという廉価ヴァージョン。普通のB寝台に横になれるわけだから、座席夜行よりはずっと快適のはず。…しかしオヤジ臭いキャラだね。ちなみに最後尾の車両にはレディース・ゴロンとシートという女性専用車両がある。


ここが自分の席。横になるだけならまぁ充分な幅があるかな。


車窓は大きく取られており、折りたたみ式の椅子が壁に取り付けられている。


改札も終わったし、酒宴がうるさいし、たばこの煙が気になるので早速カーテンを閉めて自分だけの空間を作る。狭いところが好きなので落ち着く。カーテンを閉め切ればプライバシーは保てる。

ゴロンとシートの車両は喫煙席なのでたばこの煙は仕方ない。ただカーテンを閉め切ればある程度まで侵入を防ぐことができる。

室内灯は弱く、読書をするには光量が足りない。夜食を食べてさっさと寝てしまおうか。

しかし一睡にできずに4時。


日本海の一枚。まだ日の出の時間が遅いようで、かなり前から日本海には出ていたのだが光が足りず撮れなかったのだ。

今日最初の訪問先は鶴岡。山形県の日本海に面したいわゆる庄内と呼ばれる地方の一都市。特急券自体は弘前まで買っているが、その後の予定立て直しなどで鶴岡で下車することに決めたのだ。


鶴岡に入る前に撮った一枚。まだ水の入っていない田の上にかかる朝もや。


他の客はまだ寝静まっている。こっそりと下車。

ホームは冷え切っていた。かなり寒い…。5月とはいえ東北。迷ったがジャケットだけで来たのはやはり間違いだったかな…。ホームに降りたのは自分だけだった。まだ4:25。こんな早い時間に下車するような利用客はいないのだろうね(順当に上越新幹線+特急を利用するのだろう)。

改札を抜け(まだ駅員は居なかった)、駅舎内へ。思っていたより狭い。鶴岡はそれほど大きくない街のようだ。最初の訪問地行きのバスが出るのは2時間後の6:35。それまで2時間をどこで潰すか、計画段階から心配だったのだ。微妙な大きさの街となると難しいぞ。

駅舎内の待合室なら寒さをしのげるだろうが、開くのは5:30からとの張り紙。まだ1時間もある…。ひょっとしたら駅前に24時間営業のネットカフェくらいあるだろう、と思っていたのだが、鶴岡の実情を知ってしまった今、もうそんな期待は…。

とりあえず駅舎を出よう。駅には日本海庄やという勤め先の近所でも見るようなチェーンの飲み屋がくっついていた。明かりがついていたし、中に人が居たのでここで時間を潰そうと思ったのだが、「営業は4:00まで」と…。店の人が残って仕事をしていたのだった。

駅前は小さなバスターミナルとタクシープール。

とりあえず駅前通りをずんずん進んでみることにする。いわゆるシャッター通りだった。「ラーメンや」という名のラーメン屋があった。


シャッター通りを抜けた先には山王神社が。旗がたくさんがささっており、それなりにもりあがっている神社のようだ。近々祭が催されるようである。


誰もいない…。でも明かりはついている。桜…じゃないよね。なんだろうか。

いい加減飽きたので駅に戻る。再び駅に着いたのは5:15。まだ張り紙に書かれた待合室の開放時間には早いが、既に開いていた。

一番奥の席に陣取り本を取り出した。

本を読み始めてまもなく自分以外の客がやってきた。…いや客とは言えないような雰囲気の人。キャップをかぶった60くらいの男性。イヤな予感がする…。老人は待合室に入るなり声をかけてきた。あまり関わりたくないので無視したいが、自分以外に人は居ない。同じベンチに座って来てしまったので仕方なく本を閉じ、しばらくこの老人と会話をすることになった。

訛りがきつい上に前歯が数本抜けているために、言っていることの半分も理解できなかったが、昔この駅の改札はもっと広く、大勢で出稼ぎに行った、そうだ。東北の中都市はだいたいこんな感じなんだろうな。

どこに行くのかを訪ねると、老人は散歩に来ているだけだ、と言う。待合室の開放時間にあわせてやってきたので、毎日来ているのかもしれない。一通り会話が終わった頃、他の普通の客もやってきて少し待合室はにぎやかになった。新潟行きの特急を待っているようだった。やはりこの辺りで出かける先といえば新潟なのか。新幹線で首都圏にも出られるしね。地方では電車が到着する時間にならないと改札を始めないので、みんな待合室で待つことになる。未だに自分はこの不思議な風習の根拠を理解できない。

6:20になったので待合室を出て外でバスを待つことにした。老人は旅行楽しんで来い、と声をかけて自分を見送った。

外は先ほどよりは少し暖かくなっていた。やがて来たバスに乗車。他の客はやはり地元客ばかり。湯野浜温泉行きのバスなのだが、こんな早い時間に観光客が乗るはずもないか。


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