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北陸の庭園めぐり 2009年9月25〜28日

大安禅寺

だいあんぜんじ

福井県福井市田ノ谷町21-4

北陸本線福井駅京福バス鮎川・小丹生線、川西・三国線「大安寺門前」下車。

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大安禅寺

さて、午後からは福井の物件を巡っていくが、候補となった物件すべてが交通の便が悪く効率よく回れない。そこでこれは観ておきたいというものだけを残して時刻表とにらめっこしてやっと回れるのが、大安禅寺、瀧谷寺、養浩館の三つ。それでも瀧谷寺の前後は忙しくなりそう。

まず大安禅寺。福井駅前のバス停から出るバスに乗っていくが、いざとなるとバス停の場所が分からない。西口なのは分かるが、タクシープールはあれどバス停が見あたらずちょっと困惑した。下調べを怠ったのだ。時間も迫っているので焦ったが、駅前の商店街の中にあることが分かった。

「○○駅前バス停」というと、小さい駅なら駅を出たらすぐ。大きな駅だと駅内に案内があるし、大きなバスターミナルがあるため分かりやすい。一番困るのが中都市の駅前。「駅前」だから安心しきっていると、駅からちょっと歩いたところの商店街にあったりして乗り損ねることがあるのだ。危ない。

そんなこんなでバスに乗車。20分のバス旅。

大安禅寺前のバス停にて。駅前から20分くらい(15kmほど?)でこんなにのどかな雰囲気。バス停からはしばし歩く。ここでは1時間半使えるのでゆっくり行こう。

山門が現れた。ここまででも結構歩いたが、その先に石段が連なっていた。まぁゆっくり行こう。…ただ、年々こういう階段が苦しいと感じるようになってきた。この旅を始めた9年前と同じようにできると考えちゃいけない。

這々の体で寺にたどり着いた。ここではヒガンバナが咲き誇っていた。

まず現れたのは重厚な造りの本堂。玄関は閉ざされてここから入ることができない。庫裡は本堂の向かって右側にある。玄関と庫裡がこんなに離れているのは久々に観た。大安禅寺は臨済宗の寺院。

こちらは本堂の向かって左側の門。開基堂への通路がある。開基堂へのアクセスは、この参道と本堂から連絡している回廊の二つある。回廊が段々になっているのが面白い。まずは参道から。

この参道の両側に庭園がしつらえてある。ここがこの寺のハイライトだと思う。本堂側に枯山水、その反対側に苔庭と贅沢なデュアル仕様。「阿吽庭」という。おそらくこのデュアル仕様を以て阿吽というのだろう。どっちがどっちかは分からず。

開基堂を外から。とりあえずここから中の様子をうかがうことは出来ない。

本堂正面。とりあえず外から内陣を。

本堂内に入るには奥の庫裡から上がる。庫裡も本堂に負けないくらい重厚なつくり。庫裡天井も梁が何本も渡されている。

天龍寺のように、入ってすぐ達磨の衝立がある。インパクトは天龍寺のほうがあるが、荒々しさではこちらのほうに軍配があがる。だって耳毛がすごいから。剛毛。ちなみに大安禅寺は妙心寺派。額の「萬松山」は大安禅寺の山号。

庫裡の伽藍神である韋駄天が祀られていた。久々に観たかもしれない。兜は獅子、前掛けに獣皮という仕様。ここまでワイルドな韋駄天は初めてかもしれない。

杉戸絵には猫のような虎が描かれていた。眼光は鋭いが、猫っぽいと思わせるのは巻いたしっぽだと思う。虎はこういうことしないでしょ。

実性院でも観たような本堂。こういう本堂を方丈型本堂と言うらしい。右は本尊が安置された壇。かなりコンパクトだと思う。

本堂内の襖絵が凄いのでそれぞれ紹介する。たぶん羅漢図だと思うが、それぞれが独特で、観るものをいらいらさせる。左は龍を手なずける羅漢。よく見かけるが名前が分からない。この羅漢図のイライラポイントは羅漢がにっと笑って出している前歯数本と、手入れをしていない獣のような手のツメだろう。龍よりずっと荒々しい。

mぎの二体は激流に身を任せている。奥のほうは布のような何かに乗って体育座りをしている。手前は亀に乗っており、後ろに童子が一人いて羅漢にしがみついている。このイライラポイントは、奥の羅漢が退屈そうにあくびのように口を開けていること、そして手前の羅漢の目つきと亀が人間のような表情をしているところ。

左は瞑想羅漢。これも激流に布をしいているが、四体の鬼のようなものが運んでいる。イライラポイントは羅漢の耳。福耳にピアスあとがある。それと鬼がアヒル口であること。

右の二体も面白い。こちらも激流の上だが、左は鯉に乗り、右は杖に乗っている。八仙図にインスパイアされているようだ。イライラポイントはつぎはぎの服と鯉が人間のような顔をしていること、そして右の羅漢が笠のようなものを帆にして進んでいること。

本堂南西側の「御成の間」。開基の松平光通が利用した間。床の間に吊された達磨図は八方にらみという。

襖絵はまだまだ続く。こちらは中国の仙人っぽい。水牛とロバ。

とにかく達磨図が多い。これで三枚目。

また杉戸絵。江戸に入ってからの寺なのでこういう派手なのが多い。色も残っている。むさくるしい獅子とつがいの雉。雉の目つきにもイライラさせられる。

開基堂への階段。全部で三段になっている。

本堂側から眺めた「阿吽庭」。奥の山々が借景となっていると説明があったが木々が生い茂っていて見えない。とりあえず視線を下に落として涼しげな砂と苔を眺めるだけでも醍醐味を味わえる。

開基堂内部。開基の松平光通の像が祀られているというが、厨子の中に納められていて見られない。欄間には葵の紋と桐の紋が交互に彫られている。

開基堂のもっと先には開山堂が建っていた。この延々と連なる回廊がいい。

これらの他に禅堂があったが、エアコンが効いてて変な感じだった。禅堂には文殊菩薩が祀られていた。ただし僧形ではない。

本堂の裏手の廊下。この達磨図の見せ方はどうだろうか。歩くとそのたびにどんどんと近づいてくるのだ。

須弥壇裏には達磨像が安置されていた。かなり小さく、びんずる尊者のように撫でられたのかつるつるしていた。

裏手にも庭園がある。こちらは池泉回遊式庭園。

戸で切り取ってみた。

本堂東側にも奇妙奇天烈な襖絵があった。右の黒い馬に乗っている武人(?)の顔が潰されている。何か都合が悪いことでもあったのだろうか。

官僚のような人に傅くのは妖怪。なんだこれ? 雲も立ちこめすぎ。

やたらと独特な水墨画が多い。わかりにくいが、眼は金、口には赤が入っている。竜巻のようなしっぽがいい。

縁側にはどこかの猫が警戒心ゼロでくつろいでいた。気づいていても寺務員が動かないところをみると、追い返しても追い返してもやってくるのだろう。

最後に宝物館を観る。ここにも羅漢図。左の手前で文机に突っ伏している童子は、仁和寺の経蔵内壁で観た。大人がたしなめている。右の羅漢の背後には波濤が。神奈川沖浪裏のようなかぎ爪の波。不必要に細かく描かれているのにイライラさせられる。

花鳥図。誰の作かは失念。注目したのは鳥の視線。それらを辿っていくと8の字を描いて閉じている。鳥たちが視線をリレーしているのが面白い。。

南蛮船屏風絵。細かいところが面白い。

肉を肴に酒を飲んでいたりキセルを吸っていたりしている。奥には黒人もいる。

ここでは囲碁をやっている。右側には犬もいる。他にカルタ遊びに興じる人びとも描いている。海外の商船内の文化に対する強い関心が窺える。

大安禅寺も終わり。石段を下ってバス停へ。これから瀧谷寺へ向かうが、いちいち福井駅に戻っていては効率が悪いので、三国駅方面の路線バスへ乗り込み瀧谷寺を目指す。この方法が取れたため、この二か寺を併せて訪問することができたのである。

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