思明陵(聖宮陵)
次は阮朝9代目同慶Ðồng Khánh(ドンカイン)帝廟とその周辺に点在する小さな陵墓だ。もうだいぶ暑くなっていてくたびれてきているが,ここを攻略すれば後は楽になる。ここが正念場だ。 ところで,ニンさんはÐồng Khánhを日本語のガイドブックで表記されている「ドンカイン」ではなく「ドンカン」のように発音していた。そういえば旅行の調査段階で,YouTubeでフエの史跡を紹介する動画を検索して観ていたのだが,そこでもやはり同じように発音していた。私も混乱を避けるため真似をして発音してみた。13:46。ドンカイン帝廟の南にある陵墓。この辺りの陵墓の名前が不確かだ。おそらく思明陵Lăng Tư Minh,俗称聖宮陵Lăng Thánh Cungかと思う。調査段階ではWikimapiaの表記を信じるほかなく,そこにはベトナム語表記しか記されておらず,誰の陵墓なのかも分からない。漢字音を復元して中国語サイトの記述と合わせることで何とか比定した。
思明陵はドンカイン帝の聖恭純皇后阮友氏嫻の墓かと思われる。聖恭純皇后は正室だったが,帝位を嗣ぐ子を生まなかった。本当は思明陵の前に安化公陵Lăng An Hóa Côngに行きたかったが,車で通れる道からの入口が見つからないまま思明陵の前まで来てしまったのである。とりあえずここを見学してから,安化公陵に向かうことにしよう。正面以外からも中に入ることができるほか,背後を回ることのできる回廊があるようだ。まるでドラクエの城のような構造に興奮する。
拝庭。三段となっていた。整った形をしているので,おそらく近年に改修が入っているのだと思う。
思明陵の入り口。空とのコントラストが素晴らしい。
門に至る台の下は,まるでトンネルのような巻立てになっている。
門の前に立ち,振り返ってみた。かなり立派な華表柱が一対建っている。
内部。タイル張りになっていて非常に綺麗。ただしそれだけに照り返しがきつく,蒸し焼き状態。さっさと見終えて外に出たい…。
屏風。外(南)側から。
雑草もほとんど生えないくらい。
背後にはやはり巨大な屏風になっていた。これは外側。
これは内側の屏風。
時計回りに一周して門に戻ってきた。一本の雑草がささやかな清涼感を与えてくれる。
屏風。内(北)側から。鳳凰が彫られていることから,皇后の陵墓であることは間違いない。
内側から門と屏風を一緒に。玉のような装飾は花のつぼみだったんだな。
これが宝城。正面(南)側からと南西隅から。
宝城側面にも鳳凰が彫られていた。
背後の屏風には「福」とあった。