金剛峯寺
さて、いよいよ金剛峯寺の中心堂宇。外国人もたくさんいた。世界遺産に登録されているからだろう。
左は大広間、他の寺でいうところの方丈。右は大玄関。厳かな雰囲気がある。
大玄関の彫刻も素晴らしい。切妻の彫刻は龍。レリーフから龍の首が飛び出している。 軒下左部分は二頭の虎、右部分には二頭の獅子がいる。 |
大広間は後回しにし、いきなり別殿のほうへと移動しよう。上の写真は別殿への回廊と塀との間にもうけられた庭園。こういうスペースにも几帳面に作庭しているのが心憎い。冬などもっと雰囲気がいいだろう。
別殿内部には白犬と黒犬の襖絵。 かわいいんだけど、なぜ? と思って調べたところ、これは高野山の縁起を描いた一連の襖絵のひとつで、空海を高野山に導いたのはこの二匹の犬という伝説があるからだそうで。 |
奥殿とその前に広がる枯山水庭園「蟠龍庭」。「蟠」とは「とぐろをまく」という意味だから、龍が天に昇る前に地上で構えている状態を表したものだろう。とすれば、砂は海を表し、そこに点在するひとつひとつの石は、大きな龍の一部を表しているということになるのだろう。
ちなみに日本最大の石庭という。なるほど、禅寺の石庭ではこういうのは観られない。
さて、大広間に戻って先ほど見逃していた杉戸絵や襖絵を観ていこう。 柳の間。柳の木に乗っているのは鷺。 |
こちらは上の杉戸絵の左側。先ほどは冬だったが、こちらはおそらく夏。鷺が群れを成して飛んでいる。 あるいは、これもアニメーション的に鷺の動きを表現しているのかもしれない。 |
大広間の群鶴の間の杉戸絵。きっと親子を描いているのだろう。核家族だ。子供は親を見上げている。 |
上壇の間を火頭窓越しに。 一面に金箔が貼られたこの間は、天皇が行幸した際の応接間として機能した。 |
奥書院内の襖絵。雲谷等益、雲谷等爾の筆によるものらしい。一番左のサルは長谷川等白のものと似ている。名字は違うが、名に「等」が付いているので、系譜上なんらかの関係があるのかもしれない…と思って調べたが特に何もなかった…。何かをつかもうとしている。悟りを得ようとしている人を擬えたものだろうか。
真ん中は鶏。酉年の護り本尊は不動明王だが、真言宗ということでそういう意味が嫁せられているのだろうか。
右は…牛に乗っているということで老子しか思い浮かばないが、ここは寺院だし二人もいる。それならば寒山・拾得かと思ったが牛に乗っているのは観たことがない…。牛はインドでは聖なる動物としてみなされているし、禅宗では十牛図があるように、悟りの象徴として牛が登場する。その辺りを意味しているのかもしれない。
稚児の間。祀られているのは地蔵菩薩。襖絵は探斎の筆によるもの。天皇の守護のため、ここにさむらいが詰めていたようだ。今で言うSPだ。
さて、次は金堂へと急ごう。あまり時間はない。