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越南順化巡覧 2012年7月5~8日

南郊壇

đàn nam giao

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南郊壇

10:30,南郊壇đàn nam giaoに到着。王宮の真南にあり,皇帝自らが祭祀を行うための壇である。チュンさんは管理人と思しき男性に声をかけていた。

ちなみにチュンさんは,ここを「ナム・ザオ」とベトナム語そのままで紹介していた。おそらく「なんこうだん」と日本語で読むことを知らないのだと思う。ここに日本人をガイドしたことはない,と言っていたし。ベトナム語表記を調べておいて本当に良かったと思う。このお蔭で「カタカナベトナム語」でもチュンさんと意思の疎通が図れるのだ。

【注】
nam giaoを「ナム・ザオ」のような発音をするのは,ベトナム北部のみ。フエ以南のベトナムでは「ナム・ヤオ」となる。ガイドブックなどでは,日本人観光客が混乱するのを防ぐためかベトナム北部の発音を「標準語」と捉えて,フエ以南だろうが「ナム・ザオ」とカタカナ表記している。チュンさんがフエ以南出身だとすれば,気を遣ってベトナム北部の発音に合わせて話してくれていたということになる。
ベトナム語の発音の地域差について詳しく書けば,上の例のようにgia/gioなどは北部で「ザ」「ゾ」となるが,中部・南部では「ヤ」「ヨ」となる。da/du/doなどは北部で「ザ」「ズ」「ゾ」となるが,中部・南部では「ヤ」「ユ」「ヨ」となる。表記は違えどgi/dの発音の間に差はない。伝統服アオザイÁo dàiは,フエ以南の発音では「アオヤイ」となる。私の勝手な解釈だが,英語でjaを「ジャ」,ドイツ語では「ヤ」と発音するといったくらいの「近さ」ではないかと思っている。
漢語「平民」に由来するベトナム語bình dânは北部で「ビンザン」だが,南部で「ビンヤン」となる。ベトナム語でインドシナを意味する「東洋」はđông dươngで北部では「ドンズン」,南部で「ドンユン」となる。このように,元の漢語の発音に比較的近いのは,南部の発音である。
他にrは北部で「ラ」行となるが,南部では「ザ」行に近い発音,sは北部で「サ」行となるが,南部では「ザ」行に近い発音になるという地域差がある。
ちなみにベトナム語にはdとđといった子音の区別がある。前者は上のように「ザ」・「ヤ」行だが,後者は「ダ」行となる。

なお,南郊壇には北口から入った。

【注】
というより,南郊壇は北からしか入れない。

この辺りまで来るといくらかバイクも増えてくるが,それでも閑静。人が一人もいない。ただ,チュンさん曰く,デートスポットらしい。ほんとか?

照明もあるので,夜も入場できるのかも知れない。

方形の壇(方壇)の上に,円形の壇(円壇)が載っている。方壇は地を,円壇は天を意味するという。乾坤ということか。陰と陽が混じり合う太元を意味するということかもしれない。

円壇の上には小さな台があるほかは何もない。

円壇の四方には,邪気が来ないようにそれぞれ屏風がある。

円壇の手前,方壇の上にはちょっとした祭壇がしつらえてある。

さて,南郊壇はこれで終わり。自分が予想していた時間通りに進んではいるが,先のトゥドゥック帝廟でかなり時間がかかると思われたため,当初予定していた慈孝寺Chùa Từ Hiếuをパスすることをチュンさんに伝え,トゥドゥック帝廟に向かってもらうことにした。

トゥドゥック帝廟は2年前にも訪問しているが,寝部分を観ただけで終わったので,くまなく観ようと思って再訪した。以前のレポートと被る部分もあるが,厭わず記すことにする。なお,ここに向かう途中で,独特の形状をした線香を作っている,その名も線香村を通る。